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【間違えやすい表記】「歳」

   漢字は表意文字です。したがって、その漢字の成り立ちを知ることで、「その漢字がそのように書かれることの意味や理由」を理解し、漢字の覚え間違えや書き間違えを避けることができます。

   本日は「歳」。

「歳」


   この左下を「示」とする間違えが、中高生の皆さんには多いです。

   「歳」は形声漢字です。意味を表す「步」(歩の正字。しかし異体字である「歩」が当用漢字として採用された)に音を表す戉(サイ)が組み合わさったものです。「步」は時の歩みを意味します。「二十歳」は、一年の巡り(歩み)が二十周目という意味になりますね。

   部首は「止」。これは「步」の上の部分です。つまり、その下の部分が戉の中に入った形です。

   このように「歳」の中に「示」はないです。間違えないようにしてください。

   なお、この漢字に関係するトピックとしては、「年齢を示すのは『歳』か、『才』か」というのがあります。これは言うまでもなく、正しいのは「歳」。「才」に一年の巡りという意味はないので誤りです。では、なぜ「三才」などという表記が存在するのか。それについては、光村図書(国語の教科書でおなじみの出版社)の校閲者が自社サイトで回答しています。

年齢を表すときには「○歳」と「○才」のどちらを使うのでしょうか。

公用文や法令など、正式には「○歳」と書きます。
ただ、「歳」は中学校で学習する漢字であることや画数が多くて難しい字であることから、小学校低学年向けの読み物や日常生活などでは、「○才」と書かれることも多く見受けられます。
けれども、小学校の教科書では、「才」という漢字は使わず、「○さい」のように、平仮名を使っています。
「才」は、2年生で学習する漢字ですが、たとえ6年生の教材であっても、年齢を表す際には、「○○さい」という平仮名の表記を使っています。
実は、「才」は本来「才能」や「能力」といった意味をもつ漢字で、年齢という意味をもっていません。そのため、漢字がもつ本来の意味を重視して、年齢を表す「○さい」という場合には「才」を使用しないことを、原則にしているのです。中学校で「歳」という漢字を学習した後は、「○歳」 という漢字の表記を使って年齢を表しています。

光村図書「子どもと大人の『ことばQ&A』」

〈参考資料〉

光村図書「子どもと大人の『ことばQ&A』」2023年6月9日 更新

https://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/kotoba-to-manabi/kotoba-qa/detail05

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