やっぱり実家の料理が一番


我が家の母は中程度の潔癖症だと思う。

昔からよく洗うし、人には触らせない。洗濯の量や洗剤の量も自分で決めて、掃除は足りないと怒られる。勿論台所の皿洗いなんて自分以外がやるのは気持ちが悪いから全部自分でやるという徹底ぶり。やっても予洗いまでしか許可が出ない。

そういう家庭に育ったので母以外は家事ができない。だってやらせてもらえないから遠くから見るだけ。料理なんて家を出る1~2ヶ月前に何回か習った程度で、僕の料理の腕はもやしすら焦がすレベル。

それでもなんとか結婚してからは自炊をするようになった。申し訳ないが旦那の稼ぎは多くないし、外食やデリバリーの文化が彼の家にはなかったというのでほぼ年中毎日僕が家で料理をする。

調味料やキッチンツールを選ぶのはわくわくして気分が高揚したけど、いざやってみるとよく零すし焦がすし生焼けになる。レンジで追加で火を通すなんてざらにある。レシピサイトの有料会員になってレシピ通りに作っても思ってた味にならない。

幸い旦那は食に文句を言わない人だから黙って僕の失敗料理をたべてくれる。でも美味しい物を食べさせたくて、毎日やっていったら意外となんとかなるらしい。

今では調味料を混ぜて自分で一から料理ができるようになった。キットは全然使ってないけどそれなりの物ができる。自分の味付けもなんとなく覚えて、レシピサイトをベースに少しアレンジするようにもなった。

「なんだ、やればできるじゃん」
そう思って少し天狗になっていた部分はある。コロナでなかなか人の料理を食べに行かなくなっていたから、自分の料理がほぼ全てになっていたからかもしれない。或いは、手際よくこなせるようになり、調理時間を短くできる事にタイムアタックのようなゲーム性を見出したり、旦那も美味しいと言う回数が増えたりしたのもあるかもしれない。


ところがこの間久々に実家に遊びに行って夕飯をご馳走になったらそんな気持ちもがらっと変わった。母の料理は圧倒的に美味しかった。実家暮らしの時には当たり前だったのに、家を出てから改めて食べてみると、自分の料理が本当にしょうもない物つくってるなと思うくらいに最高だった。

やっぱり実家の母の味には敵わない。
美味しい美味しいって何度もお代わりして、満腹超えるくらい沢山食べた。いつもバタバタしながら料理を作って、遅くなったからぱぱっと食べて片付けたらもう22時を回る、そんな料理とは全然比べ物にならなかった。

実家で美味しいごはんを沢山食べながら家族で会話するのはもっと楽しかった。あっという間に22時になったけどその日の22時は充実した気持ちで受け止めた。

やっぱり予洗いまでしかできないけど、美味しい物をご馳走になったお礼に皿洗いをして自宅に帰った。久々に幸せで充実した夜だった。

#おいしいはたのしい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?