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シャルル・ドゥ・ゴール

 佐藤賢一さんの書いた、「シャルル・ドゥ・ゴール」の文庫版を読了しました。

パリの国際空港の名称にもなっているフランス現代史の英雄で、
第二次世界大戦の緒戦で破竹の勢いであったナチスドイツにパリが占領され、フランス中南部にドイツの傀儡政権が樹立された後も、
英国に逃れてレジスタンス運動を指揮し、第二次大戦後に大統領となって強力な指導力でフランスの復興を進めた、
ぐらいの知識はありましたが、
レジスタンス運動を指揮していたときは陸軍次官に過ぎず、英国や米国も別な指導者を立てようとして、ドゥ・ゴールははじめのうちは相手にされていなかったことをはじめて知りました。

ドゥ・ゴールは、ドイツに占領され、英米などの連合国にフランス本土のナチスドイツからの解放を頼らざるを得ない、弱い立場にあったフランスを、
第二次大戦後の戦勝国の一角に加わらせて、国連の常任理事国入りを果たし、核兵器の独自開発に成功し、長年にわたる最大の敵国であったドイツと和解して仏独を欧州の中心たらしめ、それによりフランスの国際舞台での政治力を確保、
今日まで、超大国アメリカとは一線を画した独自の外交路線をとることができる、現在のフランス共和国の基礎を作ったわけで、
ナチスドイツに半ば取り込まれ、危うく敗戦国に組み込まれそうな立ち位置からの道のりは困難を極め、尋常ならざる手腕であると思います。

また、北アフリカのアルジェリア独立を巡る国内の対立や混乱はフランス本土に及び、一時はアルジェリア独立に反対する、現地駐留軍の将校による軍事クーデターのようなことが起こったことは、まったく知りませんでした。

世界史に関する本は、高校時代から幾多の本を読み漁り、自分なりに詳しいと自任していたつもりでしたが、
日本に近いインドシナ半島のベトナムやカンボジアと異なり、アルジェリア独立といったところは、アフリカ諸国の独立の一連の動きの中で包括的に捉え、完全に盲点であったので、今回の本を読んだことで、一つのピースがはまったように思います。
 
今回は、純粋に、読んだ本の紹介でした。


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