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思い出したのは、母の「朝だよ起きて」の声だった。


「With a simple smile. A gentle touch, you gave us everything〜〜♪」

RAMが歌うRAMeliaから私の朝は始まる。

am5:00.

いつもより少し早く目覚ましをかけた私は、まだはっきりしない意識の中でいつものようにアラームの’’stop’’に指を突撃させ、RAMの綺麗な歌声をぶった斬る。


ぼんやりと「こんな時間に起きるのは久しぶりだな〜」と思いながら、肌寒くなった朝の空気に耐えきれず布団の中でぬくぬくしていると、ふと今までずっと忘れていた、母の「朝だよ起きて!」という声を思い出した。

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私の家族は、今の世には珍しい’’朝派’’の一家だ。特に父は本当に朝に強く、休みの日でも朝4時位には起きて活動を始める。それにつられるかのように母も私も弟もぞろぞろと起き始めて、平日も休日も関係なく朝6時には全員集合していることが多かった。

そんな朝に強い我が家で育ったためか、私は幼い頃から早起きの習慣が身につき、小、中、高での勉強はきまって朝にやることが多かった。

私がまだ自分の目覚ましを持っていなかった時は、いつも母が起こしてくれた。母はいつも、夜寝る前に私に「明日は何時?」と聞いてくれた。そして母もまだ眠いであろう時間に起きては、「起きて!」という掛け声とともに私の布団を剥がし、一緒に起きて私の勉強に付き合ってくれた。

数分経つとシャキッとする頭を必死に回転させて勉強している時にふと、母の方に視線を向けると決まって母は口を開けて寝ていた。心の中で「ごめんね」と思いながらも本当は、母が一緒に起きてくれることがとても嬉しかった。


私がやっと自分の目覚まし時計を買った後でも、その習慣がなくなることはなかった。

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今日、久しぶりに早く起きた私は、そんな母の優しさを思い出した。無性に悲しくなって、会いたいなと思った。私は父に似て、自分の気持ちを言葉にするのがとてもヘタクソだから今頃母は寂しい思いをしているかもしれないと思うと、鼻がツンとなった。だけど、まだ家には帰れない。ここで帰っては見せる顔がないという、北岳にも差し迫るようなプライドの高さが心底嫌になる。

だけどまだ私は、そのプライドを守るために東京でもがいていたいと思う。お母さん、私が立派になって帰るまで絶対に絶対に健康でいてね。

ママ、大好きだよ。









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