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ごくせん〜ヤンクミの孤独

先日ごくせん2002が再放送されましたね。
学園ドラマだと思っていたのですが、ふと、あれ、これって組織、体制、男社会の中で孤軍奮闘する女子がテーマなのかな?と思いました。

学校を会社に置き換えるとわかりやすい。教頭とその一味=頭の固い上司たち。固定観念にしばられる彼らに抗いながら、自分らしい仕事に勤しむヤンクミ。

3ーDの不良生徒は、やる気のない同僚。
勉強したくないなら学校にこなけれりゃいいのに、退学になるのもいやという、、でも、こういう大人いっぱいいますよね。会社行きたくない、仕事楽しくない、でも給料のために惰性で会社勤めしている。
そんな面倒くさい奴らなのに、ヤンクミは同僚(仲間)として信頼関係を深め、仕事を遂行していく。

同僚の女性教師が二人出てきますが、一人は毎日ミニスカ、仕事より外見、男、お金、が大事。
もう一人は保健の先生。隠し子がいるという設定。
いい人なんだけど、どこか無気力、日和見的、ヤンクミの味方なのかそうじゃないのかよくわからない、何考えてるかわからない人。
表面的には仲良さそうなんだけど、3人ともそれぞれ心を開こうとはしていない雰囲気。
女子あるあるな気がします。

任侠という裏社会に生まれ育ったヤンクミ。
マイノリティであり、表社会とはどこか隔絶された世界にいる、
しかも、女ですから、いくら”お嬢”と呼ばれていても
現実的には表で活躍することはできない存在でしょう。

外見は無駄な色気を排除し、中性的とも言えますね。
裏社会で、美貌と家柄を武器に生きることもできるのに、その武器は使わない。
ヤンクミが武器として使うのは、パワー。ケンカが強いという設定ですが
それは人としての強さの比喩なんでしょう。

金八先生、熱中時代、夕陽丘の総理大臣、などなど今までいろんな学校ものを見てきましたが、いつも先生は男性で、生徒に上から教えるというスタンスでした。

でもヤンクミは違う。友だちではなく仲間を強調する。教師である自分も生徒とは仲間であり、フラットなつながりの中で共にトラブルを解決していく。上から目線で、「おまえらを教育してやる!」って感じはない。
アドラーの言う水平な関係にも見えます。
そういうの好きだなあ。

女友達とは表面的つきあい。
片思いはしているけど恋人はいない。
実家が一番しっくりする場所のように見えるけど、継ぐ気はないし、教師という立場上重荷でもある。
両親は他界。
唯一心を開けるのはおじいちゃん。
ただ、母親がかたぎの男と駆け落ちしていて、そのことでおじいちゃんが苦悩したことも知っている、だからおじいちゃんを置いてどこかへ行くなんてことはできないんですよね。
大好きなおじいちゃんですら、ヤンクミにとってはいわば足かせなわけで。
実家の事情で、そうそう簡単に恋愛、結婚できない苦しさ、、、。

うーん、ヤンクミって孤独だなあ。
孤独だからこそ強いのかなあ。
生徒たちとはいい関係を築くヤンクミなんだけど、それは仕事のひとつ、生徒は卒業して旅立っていきますから。

仲間由紀恵さんの佇まいがさらにヤンクミの孤独を浮き上がらせるんです。
目がね、なんかいつもどこか遠い遠いところを見ている。
哀しいような寂しいような強いような弱いような、不思議な目をしてますね。

再放送は今回で終わりで来週からは新番組がはじまるようです。
成宮フリークとしては野田君メイン回も再放送してほしかったなあ、残念。

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