見出し画像

【差別化戦略の成功事例】ミツカンが納豆業界No.2になるまで

納豆業界のシェアNo.1と言えば、「おかめ納豆」で知られる茨城県のタカノフーズ。創業は1932年。お面のおかめマークは納豆を食べる人なら誰もが見たことのあるマークだろう。

ではシェア第2位は? これが意外に思う人もいるかもしれないが、醸造酢メーカーのミツカンである。「金のつぶ」「ほね元気」といった商品名を挙げればピンと来る人もいるかもしれない。

ミツカンは創業1804年の老舗。ただ納豆業界に参入したのは1997年とその歴史は浅く、シェアトップ10の中では一番の新参者である。逆に言えば、20年程度でシェア2位まで登りつめた納豆業界のニューカマーとも言える。

彼らは明確な差別化戦略を打ち出して納豆業界に参入した。その旗手となる商品が「金のつぶ・におわなっとう」である。この商品のターゲットは納豆のヘビーユーザー。毎日でも納豆を食べたい人のニーズを深掘りし、食後の口の中にいつまでも残る「におい」を気にする人が多いことに着目した。

もともと、ミツカンのドメインは酢の醸造であり、発酵に関する技術やノウハウは超一流。それを納豆に応用することは容易であった。さらに、発酵に関する研究力も国内トップクラスの実力を誇るため、「におい」に対する科学的アプローチも優れていた。1年かけて約2万の納豆菌の中から臭いにくいものを見つけ出し、商品化を可能にしたのだ。

「におわなっとう」のヒットに続いて発売されたのが、「ほね元気」。この商品も同社ならではの研究力を生かして、骨を丈夫にする成分であるビタミンK2を作り出す菌を見つけ出したことから始まる。そして、科学的なデータを根拠に厚生労働省から特定保健用食品の認可を受けたことで、ほかの納豆との明確な差別化に成功した。

また、同社の主力であるお酢を生かした「金のつぶ・梅風味 黒酢たれ」も、黒酢ブームに乗っかってヒット商品となる。通常は納豆に酢を混ぜると異臭が発生するが、こちらも同様ににおいを消す技術によって実現させることができた。

自社の強みを生かした独自性のある納豆を続々と発表することで、市場における存在感を高めてきたミツカン。やがて数ある伝統メーカーを追い抜かしていき、王者タカノフーズに次ぐ堂々の地位を築くに至ったのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?