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ブランドは魅力の多面体と見なくちゃいけない

モノには名前があるけれど、一つの意味しかないわけではない。
 
 
たとえばガラスのコップが目の前にあったとして、それは「ガラスのコップ」と呼ばれているけど、透明の器でもあるし、結晶の塊でもあるし、閉ざされた空間であり、空間を仕切るモノでもある。24人のビリー・ミリガンが流行ったのは随分前のことだけど、人には何人もの人格があったって不思議ではない。

ブランドもそうだ。
  
ブランドは一つの意味しか持たないわけではない。無数の意味や価値を持っている。ブランディングをするときに、僕らが最初にするのは、ブランドの多面性を発見することだ。ということに改めて気づいたのは、社内でインタビューをされたからだった。ブランディングに対する考え方とか方法、そもそもなぜブランディングをやろうと思ったのか、ほかのブランディング会社との違いは何か、そんなことをまとめていろいろと話した。
 
 
その中で、ブランディングで一番大切なことは何か?と聞かれて、僕は独自性だと答えた。ブランディングは競争優位性を高める方法でもあるし、マーケティング効率を高めるための手段だけど、何より大事なのは独自性の発見だと思うのだ。ブランドはそのブランドの想いやらしさの発見をするが、独自性は何かと問われると答えに窮するところも多いのではないだろうか。うちは特徴がないから、とか私たちの自治体には何もないんですよとはよく聞く話だ。
 
 
独自性とは、どんなブランドにもある。それは商品やサービスの中だけにあるのではなく、たとえばバリューチェーンのような手法をとれば、そのプロセスにも見い出すことができる。

スターバックスが豆の仕入れに他社との違いがあるとかサードプレイスというインフラに独自性を見つけることができるのは有名な話だ。それだけでなく、顧客との関係性にだって独自性は見出せるかもしれない。とある商品は、ネット販売を開始したらキルギスで異常に売れるようになった。誰に買われているかということだって独自性になりうるだろう。社員が元気がいいということだっていいし、取引先に好かれていることだってあるかもしれない。
 
 
ブランドはあらゆる角度から見たり、関係性を見たりと多面体にしてみると魅力の塊になる。その中で、競争優位性の高いポイントを見極めて一点突破できたならば、それは強力なブランディングの第一歩になるだろう。まずはブランドが魅力の多面体であると認識すること。そして、ブランドの内部だけでなく、関係性にも目を向けて魅力を探すこと。その視点がブランドを魅力の塊に変える。

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