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SaaSのサービスと、SaaS+オペレーターのサービスを同時に提供する難しさ

先日Spectrum Tokyo Meetupで「SaaSのサービスと、SaaS+オペレーターのサービスを同時に提供する難しさ」というタイトルで5分のライトニングトークをさせてもらいました。
この記事では、その内容のまとめ+余談を書きます。

ちなみに、司会の方が「LTやった方が楽しいイベントです!」とおっしゃってたのですが、それは本当だな〜!と思いました。とても楽しかったです。今度は英語回でもやってみたい。5分でハードルが低いのもよかった。


Shippioの事業

これはとてもShippio独自の事情が関係している話なので、本題に入る前に、まずShippioの事業の説明をさせてください。
Shippioには今2つの事業があります。一つが「フォワーディング」、もう一つがクラウドサービスです。

Shippioの事業、フォワーディング:輸出入にまつわる各種業務の遂行+クラウドサービス クラウドサービス:貿易業務の共有・可視化・効率化(Shippioがフォワーディングするものもしないものも両方OK)

「フォワーディング」って聞き慣れないと思うのですが、輸送とか通関の手配をする仕事のことで、旅行代理店をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。国際輸送は手配がとても大変なので、輸出入したい企業が直接手配をするのではなく、たいてい「フォワーダー(代理店)」を通して行います。

社内にはオペレーター部隊がいて、お客様の「中国から機械パーツを輸入したい」みたいな依頼に対して、船や通関、国内でのトラック輸送の手配なんかをしています。輸入を依頼したお客様は、クラウドサービス上で船がいつ日本に着くかといった情報を確認したり、必要書類のやり取り、オペレーターとのチャットなどを行います。また、セールスはお客様が発注するまでの、何をどういった条件で輸送するかといったサポートを行います。

セールスとオペレーター

また、クラウドサービスのみの提供もやっています。こちらでは、Shippioがフォワーディングをしない輸送を管理することができます。お客様の多くはExcelやレガシーな基幹システムや紙の書類で情報の管理をし、メールや電話でコミュニケーションを行っているので、更新が大変だったり情報が分散したりしてしまっています。Shippioのクラウドサービスを使うことで輸送とコミュニケーション、関係する書類等を一元管理できるのです。

紙の書類での管理と、クラウドサービスでの管理

今回は前者の「フォワーディング事業」が関係するお話です!

クラウドサービスと社内ツールの両方を変更しないと、ユーザーに価値を届けられない

フォワーディングを利用するユーザーは、2種類のものをサービスとして受け取っています。「人の手によるサービス」と「クラウドサービス」です。

人の手によるサービス(発注までをサポートするセールスと、輸送や通関の手配をするオペレーター)とクラウドサービスの両方がある

したがって、社内には2つのアプリケーションがあります。オペレーターやセールスのメンバーが使う「社内ツール」と、顧客が使う「クラウドサービス」です。

セールス、オペレーター向けの社内ツールと、顧客むけクラウドサービス

オペレーターは、顧客が入力した情報を見て意思決定したり、手配をしたりしています。なので、例えば新しい機能を作ってユーザー側で入力できる情報を増やす場合は、社内ツール側も合わせて変えないと価値が提供できません。

顧客が新しい情報を入力する、オペレーターはユーザーの入力を見て手配したりサポートする

…のだけど、社内ツール側は運用でどうにかしようとしがち

でも常に開発期間は短いので、社内ツール側の更新が後回しになりがちです。オペレーターがいることに甘えてしまい、「社内ツールで見れないけど、他のツール使ってSQL叩けばわかるから」みたいな感じで、オペレーターが手間をかけることで代替しようとしてしまいます。

オペレーターは別のツールでデータベースを見に行ってサポートや手配をする

その結果、社内ツールの全容がよくわからなくなり、オペレーターにひたすら頑張ってもらっている状況になりました。クラウドサービスと社内ツールの差分も大きくなり、オペレーターは何が顧客側に見えているのか把握しにくくなりました。

あちこちでオペレーターに運用で頑張ってもらっている、何がクラウドサービスでできて何が社内ツールでできるのかわからなくなってきた

対策1:オペレーションを設計するリーダーを設けた

これは自分が全然関与していないので自慢げに書ける話ではないのですが、組織体制としてオペレーターチームにプロダクトを使ったオペレーション設計をするリーダーを設けました。この人が、オペレーションに変更が出る場合に、新しいフローを考えてチームに共有したり、体制を整えたりします。

ちなみに現在の業務を変更して効率化していく場合のリーダーと、オペレーション品質を管理するリーダー(変更に対してオペレーション品質が下がらないかを監視する役割)の2人がいます。

こういった役割が存在することで、デザイナーやプロダクトマネージャーがオペレーションに関係する変更を加えようとする時に相談しやすくなりました。また定期的にオペレーションチームとプロダクト/開発チームと課題の共有ミーティングなども行われています。

オペレーターのリーダー

対策2:オペレーションとセールスからのレビューをフローに入れる

また、開発のフローとしてオペレーターやセールスの利用に影響しそうな点についてはレビューをしてもらうようにしました。微妙な時は念の為全部共有します。こうすることで、前述のオペレーションリーダーに対策をとってもらいやすくなったり、考慮漏れを防いだり、妥当性が判断しやすくなりました。

また、これは個人的な所感ですが、こういった活動を通して、前よりもオペレーターやセールスチームに共有したり相談したりがしやすくなっている気がします。(ただ単に自分がShippioに馴染んできただけかもしれませんが)

セールスとオペレーターにスペックを共有する

余談ですが、先日パートナーセールスの方に梱包会社(※コンテナに入れる貨物を、壊れないようにがっちり木材とかで箱を作ったりして、梱包をする企業)や、コンテナ搬入前の貨物を置いておく倉庫の見学に連れて行ってもらったのですが、大変楽しかったです。


We’re hiring!!!

Spectrum Tokyo Meetupは「宣伝・勧誘禁止」のイベントなので(素晴らしい)言えなかったのですが、今Shippioではプロダクトデザイナーを積極的に採用しています。

前よりも今の方が、ソリューションやスペックを検討・決定するにあたって考えることが増えたので、シンプルに仕事が大変になって人が足りていないです。考えることというのは、上に書いたような「オペレーション、セールスなど他の部署の人たちの使い勝手」だったり、あとは機能が増えてきたので一つの変更が影響する範囲が増えてきたりしたこともあります。オペレーターやセールスの使い勝手の面でも、取り扱う案件の量が増えてきたことで、業務効率性などがより求められるようになってきました。

企業間の情報セキュリティ?データ出力?ユーザーの課題?サービスの価値?OLT?自動処理?オペレーション効率?通知?メール?原価?マスター共有?
ソリューションやスペックを決める時の我々

デザイナー同士で頻繁にディスカッションする機会を設けているので、難しい課題については担当デザイナーだけでなく、デザイナー全員で総力戦みたいな感じで考えたりしています。最近は以下の記事のようなことが話題になりました。

また、事業的にもお客様やユーザーが増えてきて、プロダクト全体を見直さないといけない時期に来ています。なので…考えることが多く…やることも多く…今はすごくチャレンジングな時なので、できることが色々あるなあと思います。もし興味のある方いたらぜひ


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