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特権。

先週の出来事。

とある障害者と共になんちゃらという、
イベントがあった。

3年ぶりの、そのイベントは、厳重な体制で、
流行病対策を、へて開催された。

そこで、私はスクリーンにひたすら、
文字を書いていた。

手話を使う人もいたが、遠い人には、
見えない為、私が司会者や参加者の皆様の、
声や、進行状況等を、文字にしたものが、
スクリーンにすらすらと、流れるのだ。

ある程度のシナリオは、用意されていた。
司会者の言葉も決まっていたし、
ある人の朗読も、手元にあり、
それをひたすら、文字として書いていく。

合間に拍手や、音楽等があれば、
それも、文字におこして、伝えるのだ。

知的に障害がある人だろう。

合間、あいまに、「アンコール!」

と叫んでいて、笑い声が聞こえた。

はじめ、文字を書きながら悩んだ。

進行している最中に、この言葉を入れるか、
文字の途中に急に「アンコール」と書く事が、
読んでる人達を困惑させてしまうかも…。

でも、たとえ耳が聞こえなくても、
この会場に参加して、まわりとの違和感を、
差別をさせたくなかった。

だから、進行している文字に空白を開けて、
会場から「アンコール!」の声援。
そして、また空白を開けて、進行している、
文字を書いていった。

はじめは、耳の聞こえない人達の席から、
どよめきはあったものの、
何度も、会場から「アンコール!」の声援。
と空白と共に書いていくと、ドッと笑い声が、
だんだん聞こえてきて、会場が一体になった。

そんな感覚になって、あー書いて良かった。
と思えて、障害のありなし関係なしに、
人は一体となり、同じ空間で同じ感覚に、
なれるんだなーと、感動をしたのだ。

きっと、
「アンコール!」と叫んでた人も、
みんなが笑ってくれて嬉しかったはずだ。

過去に、知的障害の人と、
とあるイベントに参加した。

その知的障害の人は、舞台にまで立って、
楽しそうに、「アップル」と連呼していて、
その時、会場が爆笑していたのを思い出した。

それまで、しーんと静まりかえっていたのに、
一気に爆笑と和んだ空気にしたのだ。


あの時の、
知的障害の人も嬉しそうで幸せそうだった。

こんな、何気ない一言で、
会場を爆笑させ、会場を和ませるなんて、
すごい才能だと、今も思う。

私には到底、出来ない事を、
絶妙な間でやり、まわりを引き込ませる。

それを体験すると、やはり障害なんて、
関係なく、個性であり、魅力なのだと、
痛感させられてしまう。

今回は、私の文字ので、あの時の様に、
空白という間で、一言を添える事で、
会場をドッと沸かせられて、光栄である。

かあちゃんの影響で、筆談を覚えて、
手話だけではなく、こうして文字として、
役割りが、与えられて、出来る私は、
かあちゃんから、もらった特権である。

この様な、体験を味わえる。
とても素晴らしい特権である。

それは、私に聞く力や周りの雰囲気を、
察知し、感じて、そして記憶させてくれる。

そして、こうして、文章として、
それが活かされているのだ。

かけがえのない特権。

この特権は、生きる糧になってくれる。

もっと、活かして生きたいな…。

贅沢な特権だな。



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