ヴィニシウスは何故放置されるのか。ラリーガ会長は自らの首を絞めていると何故気付かない。スペインで、いや世界中で繰り返される人種差別に(ノД`)ハァ


Ciao!!
以前もここで取り上げさせてもらったラリーガにおける差別の問題がちょっと看過できない事態に発展しているので、ちょっとここでぼやきたいと思いました。

激昂するヴィニシウス

5/21 メスタージャで行われたバレンシア対マドリーの試合でですね。
スタンドから”猿”のコールが鳴り響きました。

それはたった1人に向けられたものです。

ヴィニシウス ジュニオール。
マドリーの若者は今、マドリーを除くスペインの各地でこのような目に合っています。

もう世界中で知られていることですけど、ラテン系が多く存在し、移民が多い国は何故か差別意識が高いですよね。

そして、それは世界中いたるところで起こっているんですが、フットボールの世界では主にスペイン、イタリア、フランスのスタンドから黒人選手に対してチャントやコールが起こります。
これに対して浴びせられる選手は怒り、悲しみ、感情を爆発させることもしばしば。
主審が試合を中断させたり、アナウンスで止めるよう静止しても止まることはありません。

今回も同様でヴィニシウスは激昂。
相手チームの選手もなんとか仲裁に入って何とか収まりますが、そんな状況でプレーなんて出来るはずもなく、この後のアディショナルタイムにレッドカードを受けて退場しています。

この試合の後でマドリーの監督、カルロ アンチェロッティはインタビューでヴィニシウスに対してこう語っています。

「彼には『このまま試合を続けたいか?』と尋ねた。彼を外したくはなかったが、スタジアムの雰囲気は人種差別的なものだったからだ。これまでの私のキャリアを振り返っても、こんなことは1度たりともない。スペインサッカー、ラ・リーガの問題なのであって、決して受け入れられないものだ。ヴィニシウスの問題ではない。彼は被害者なんだ。何をしなければならなかったんだい?」

またあのシーンを振り返って「あんな状況で試合なんて出来ない。」
「私が率いるチームが勝っていてとしても同じことを言うだろう。これは深刻すぎる。いつだってヴィニシウスは侮辱され、今日のような場面ではレッドカードが出されてしまう。正直悲しいよ」
「私はレフェリーに『彼をこれ以上プレーさせることはできない』と伝えたが、『続けるべきだ』と言われた。リーグ側のプロトコルがあるのは事実だが、我々はあんなことが起こったら家に帰らなければならない」

本当にそうですよね。(#ーωー)

更に問題は試合後にも続きます。
この試合で起きたことに対するペナルティがスタンドの閉鎖になるとラリーガが発表。
これで何が防げるって言うんですかね。
当然、被害者のヴィニシウスは噛みつきました。

「初めてでも2回目でも3回目でもない。ラ・リーガでは人種差別は普通のことだ。リーグ側は、それが正常だと考え、連盟も同様であり、相手もそれを奨励している」

「かつてロナウジーニョロナウド、クリスティアーノ(・ロナウド)、メッシのものだったリーグは、今は人種差別者のものとなってしまった」とSNSで投稿。
これを見て、どこかおかしなことを言ってるでしょうか。
もう何度も何度も同じことをされているのに、助けてくれないリーグへの不満を言う権利が被害者であるヴィニシウスにはありますよね。
これに対して、まさかラリーガの会長であるハビエル テバスが反応します。

「人種差別に関して、それが何なのか、何ができるのか。我々はあなたに説明しようとしたが、2つの合意された日程のどちらも現れなかった」

これが1回目の反応です。
正直、私には意味が分からなかったですよね。
”説明しようとしたけど、そっちが来なかったから勝手に決めた”ってことなんですかね。
なんか責めてる物言いで。
当然、ヴィニシウス側も黙って無いわけでこれに返答する形でこう投稿。

「またしてもラ・リーガの会長は人種差別主義者を批判する代わりに、僕を攻撃するためにソーシャルメディアに現れた」
「あなたの投稿に対する反応を見て、驚きを感じてほしい」
「僕は人種差別について話すあなたの友人ではない。行動とペナルティが欲しい。ハッシタグでは僕を動かすことはない」

まぁ、当然のこと言っているだけなんですけどね。
更にこれにテバスが反応。
ですが、ヴィニシウスに対してというよりは対外向けにどれだけ自分たちが行動してきたかのアピールでした。
これも的外れなんですけど。
1.スペインもラ・リーガも人種差別主義者ではありません。これを言うことは不公平です。

2.ラ・リーガでは、自分たちの権限の範囲内で可能な限り強力な方法で人種差別を報告し、追及しています。

3.今シーズン、我々は人種差別的侮辱に関して9件報告しました。8件はヴィニシウスに対してのものです。我々は常に犯人を特定し、彼らを処罰する権限を持つ関連機関に苦情を持ち込みます。たとえ人数が少なくても、我々の努力は絶え間なく続きます。

4.我々は毎週42クラブから200名を超える黒人選手がファンから尊敬と愛情を持って迎えられる、何よりもコミュニティ間の団結の象徴であるこの大会の評判が傷つくことを許すことはできません。人種差別の事例は非常に稀な出来事(9件の報告)であり、我々は完全に排除することに取り組んでいます。

こんな投稿でした。
私なりに要約しました。
”リーグは人種差別擁護してないし、あったらすぐに報告受けて追及してますよ。”
”でも今シーズンあったのは9件でそのうちの8件がヴィニシウスに対してのものでした。終盤になっても9件しかない稀なケースですけど、私たちは排除するために頑張ってますよ。”ってことですよね。

これ本気で言っているとしたら、ラリーガに碌な人間がいないんだなとしか言えませんね。
ハッキリ言って呆れました(*´Д`)=3ハァ・・・
まず第一にかなり大きな問題として扱われる案件を国外にも多くのファンを持つリーグの会長名義で稀なケースとか言っちゃうのも問題ですし、言外に”お前が文句ばっか言ってる”って被害者であるヴィニシウスを責めてますよね。
もちろんね。
これをテバス会長が自らポチポチしているとは思いませんよ。
でも、自分の名前で世界中に発信するのであれば、あまりにも軽率で立場を理解していない発言としか言えませんね。
リーグの長のアカウントでこんなのが出てしまう以上、ラリーガっていう世界的コンテンツの中にもかなり根深く差別意識が根付いていることは明らかです。

私いつも疑問に思ってることがありまして。

我々が生きるこの世界ではイジメは絶対に無くならないって言われてますよね。
どれだけダメなことと分かっていても社会悪だと分かっていても無くなることがないんですって。

これ人種差別にも言えることですよね。
これだけ世界中で皆が口を揃えて”やってはダメ”と言っても、みんなが愛するフットボールっていうスポーツの中でこれだけ有色人種が躍動しているという環境下であっても、世界中でモニター観戦している人がいるフットボールスタジアムで何万もの人がしてしまう行為なんですから。

それでも、差別を無くしたいと言うわけですよ。
その為に何の拘束力も持たない反対運動やら抗議パフォーマンスをして。

言い方悪いと自覚してますし、反対意見があることは重々承知であえて言いますね。

これに何か意味があるって本気で思っているんですかね?
私的にはこれ100万回やったとしても無意味だと思うんですよ。

今日までスポーツでの人種差別撤廃の運動といば、フットボール選手やバスケットボール、野球選手たちがCMに出て訴えたり、試合前にスピーチしたり、バナーを持ってスタジアムを回ったりしてますよね。
NFLプレーヤーのコリン キャパニックが行った社会正義を訴える膝つきは今やパフォーマンスとなってしまってますけど、世界的に拡大してます。

キャパニックが何で膝をついたかなんて誰も考えずにやってるのが嫌だよね┐(´∀`)┌ヤレヤレ

これやって、その場では確かに皆が思うんですよ。
”人種差別なんて何でするんだろ?”って。
でも、試合が始まってアドレナリンが出て、ヴィニシウスのようなプレーヤーが活躍するとちょっとずつ忘れていきますよね。
そして、それが最高潮に達した時に誰かが口にするわけです。
今回で言えば”猿”。
これは前にも書きましたが、スペインの代理人協会の人間がヴィニシウスに対して”まるで猿のようだ”と口にしてから、問題があったクラブすべてで聞かれています。
結局、選手たちやクラブ、リーグでやっていることは客の善意によって”守ってもらう”ってロジックなんですよね。
でも、相手も人間ですから皆が皆、そんな言葉を律儀に守ってくれるわけはなく、この運動を何度も何度も何度も何度も行っては、裏切られ、ヴィニシウスのように傷つく選手が生まれてしまうんですよ。

そこで私が何が言いたいかと言いますとですね。

もういい加減、客の善意に期待するの止めようよって話です。

SNS見れば分かるじゃないですか。
人間は自分っていう個を隠すことが出来る場所なら、どんな行為でもするんですよ。
それが匿名SNSであるT〇〇〇〇〇rだろうとウン万人入るフットボールスタジアムだろうと同じことです。
人間が他者と比較して心に平穏を感じる生き物な以上、そして、相手から攻撃を受ける危険性を心のどこかで警戒してしまう生き物である以上、それがどんなに意味が分からない理論であっても先手必勝とばかりに相手に対してマウントを取りに行くのは無くならない遺伝子に刻み込まれたものなんです。

だって、同じ人種間ですらいがみ合ってマウント取り合ってますよね?
人種も性別も志向も体のハンデも全部同じで多かれ少なかれ差別的意識は消え去ることはないですよ。

でも、大半の人はそれを面と向かっては言わないじゃないですか。

それは理性があって、腹の中で何を考えていたとしても社会性を保った行動をしていかないと自分の生活に不利益があるからですよね?
それで良いじゃないですか。
自分にとって不利益があるから、例え”性差別的思考を持っていても違う性別の人間と交友できる”。
”趣味が合わないけど、この人との関係が途切れると自分の生活に何かしら支障が出るから付き合いは続ける。”
これと同じ理屈で自分たち自身や、自分たちの応援しているクラブに不利益があるとすれば、心の中でどれだけ黒人やヒスパニックやアジア系を見下していようとスタジアムで差別的な野次を飛ばさないようになるとは思いませんか?
抑止力になりうるペナルティの策定。

これが一番即効性があって、かなり高確率を期待できる”差別的なチャントをスタンドから消す方法”だと思うんですよね。

具体的に言っちゃえば、ピッチにいる選手が差別的チャントがあったと認識したとしてクラブ側が報告。
報告先はリーグでも裁判所でも第三者機関でも良いですよ。
それで調査して程度の軽重あれ確認されたら勝ち点没収。
程度の重さでマイナスされる勝ち点が増減する。
これだけで相当変わると思いますよ。
まず第一に加害者側のクラブが大きく変わりますよ。
だって、自分たちのサポーターのせいで勝ち点没収になるわけですから。
躍起になってそういうサポーターを排除に向かうと思います。

ただ、こういうことを言うと反対意見がたくさん出るのももちろん承知してますよ。
例えば、”どこまでが人種差別なのか?”とか。
確かにスタンドからのチャントに対して反応するかしないかは選手によって変わります。
ただ、この反対意見はぶっちゃけ頭悪いですよね。

対象の選手が感じたら、それはそうなんですよ。

だって、どう考えてもフットボールのスタンドから聞こえるはずがないヤジが飛んでるわけで、それを当事者たちがどう感じるかで程度が変わるのは当然ですよ。

では、次の想定される意見は”ペナルティの重さは誰が決めて、適用の判断は誰がして、公平性のある判断がされるのか”ってのがありますね。
もちろん、これは懸念材料ではありますよ。
同じ差別的な問題なのに重さが違っては公平性が保たれないとか言われるのも目に見えてます。
ペナルティの重さや判断する部署なんてのは先に決めればいいですよね。
公平性のある判断が出来るかどうかなんてのは言い出したらキリがない話ですよ。

事前にペナルティの適用範囲や軽重などの公表、事例の発生から実際に適用される時の透明化などやらなければいけないことは多いですが、それくらいやっていかないといけないですよね。
これやるのとクラブ側が試合をボイコットするなどで発生する経済的、社会的損失を天秤にかけてどちらが重いか判断すれば、おのずと答えは出ますよね。

私は色々な差別問題を見る度に”またか”って辟易としていますが、今回のメスタージャでヴィニシウスが怒り、悲しむ姿を見て、その後のテバス会長の無神経な対応を見て、久しぶりに怒りが湧きました。

差別の加害者と被害者の温度差がこれだけある。
それが、現状のフットボールの世界です。
であればこそ、なんのしがらみもない第三者が罰則規定を早々に決めて、スタンドから差別を消さない限りは自分たちが破滅するという空気で全く論理的でなく馬鹿げた思考を抑えつける以外にないと今回の事例で痛感しました。
中には、こういう規則を動物のしつけのようにして反発する馬鹿な輩がいますが、人間はそんな高尚な動物ではないので”しつけが必要なんだ”と再認識して欲しいですね。

さて、次回は今日(5/31)開催のサンフレッチェ戦のレビューをしていきたいと思います。
ではでは、ごきげんよう。Arrivederci(。>ω<)ノ゙

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