見出し画像

医療者のスティグマについて

「医療者は聖職」なんていうが、ごく一部に聖人みたいな人がいるというだけで、大体は普通に普通の人間だと思う。清濁あるのです。

僕が医療者として医療者に実際に言われた言葉を紹介しよう。ちなみに僕は職場で自分のメンタルヘルスをカミングアウトしていない。

精神科に行きたいの?精神科病棟なんて動物園みたいなもんでしょ。君みたいな優秀で健康でコミュ力ある人が行くのはもったいないよ!体力ありそうだし整形外科とかいいんじゃない?

医師A

精神科病院って最終処分場みたいなところあるからさ、そんなところいってもねえ。

医師B

精神科の薬飲んでる人って怖いよね、どうせ話できないからすぐ検査だしていいよ(患者見る前)

医師C

LGBTとか、性欲異常者だと思ってるよ(LGBTは厳密には精神疾患の範疇から外れる場合がほとんどですが)

医師D

プシコだから話だけ聞いて帰せばいいんじゃないですか

看護師A

まあこんなもんです。諦めてます。人間なんてこんなもんです。「健常者」だと思われている世界で日々こういうことを言われながら愛想笑いをしています。

もちろん、特に精神疾患の人がより手間がかかることは認めつつもジャッジはせずに淡々とこなす人は上に挙げた人と同じくらいいます。でも圧倒的マジョリティではありません。

彼らも普通に普通の人達なので普通にスティグマを持っていますし、医療者であるがゆえにより強化されたスティグマを持っている人も多くいます。実際に(一昔前の)精神科閉鎖病棟とかを見ているわけですから。

特に医師は機械論と要素還元主義に基づく西洋医学をやっているわけなので、よくわからないものは嫌いなんだと思っています。

精神疾患やマイノリティはそういう一言でくくられますが、実際にはとても多様な状態を一括りにしているわけで、スティグマ軽減への道のりもとても多様なアプローチが必要になると思っています。

精神疾患やマイノリティそのものの複雑さをそのまま受け入れるのと同様に、それに対するアプローチも複雑性を受け入れて部分をゴニョゴニョやっては全体を観察し、別の部分をゴニョゴニョやってはまた全体を観察し、みたいな感じでなんとなくやっていくしかないと思っています。

僕は学生の頃は精神と脳に関するバイオロジカルはアプローチに興味を持っていましたが、今は反-機械論至上主義で精神科をやっていこうと思っています。医療と社会の境界領域でなにかできたらなと思っているところです。

医療者のスティグマに関しても、身体科の医師に一目置かれる精神科医になる必要があると思っていて、一目置かれた上で物申したい。

見てろよ。今の愛想笑い、全部返してやるからな。人を裁くものは同じ秤で裁かれるんだぞ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?