手紙の効能に思いをはせる。
こんにちは!tamasiroです。
手紙、書きますか?
昨今は手紙よりもメールのほうが早くて便利といった理由から、手紙を書く機会がありませんでした。
年賀状などの葉書も、暫く書いた記憶がありません。
身内への連絡も電話やPC。
声を聴きたい、離れていても顔を見たい、これが理由です。
しかし、この度、手紙の良さを再認識させられました。
知人からの相談です。
「私の代わりに、手紙を書いてくれない?」
当初、状況が把握できず、怪しささえ感じてしまいました。
詳細をうかがうと、なるほどと納得です。
成人を迎えるお子様に、親として思いを手紙で伝えたい。
でも伝えたいことが多すぎて、文章としてまとめることができない。
会話で伝えようと思っても、恥ずかしさがあり行動できない。
お子様に語りかけたとしても、聞き流されてしまうかもしれないと思うと言い出せない。
“なるほど・・・。”
聴くほどに共感です。
確かに、私も同じかもしれない。
しかし難しい相談です。
これほどまでの重い手紙を気軽に請け負うことはできません。
でも、ここまでの本心を吐露する相手として私を選んでくれたことが、とても嬉しい。
頷いたとしても、金銭や見返りはいっさい発生しません。
私にとって初めての試み、大切な知人からのお願いです。
思いに答えたいと思った私は、了承させていただきました。
この記事は、詳細を明かさない条件のもと了承を得た上で、書かせていただいています。
まず知りたかったのは、何を書きたいのか。
手帳を取り出し、愛用のシャープペンシルを紙の上に走らせました。
話している様子から愛情を感じます。
優しく、楽しそうに、途切れず話し続ける様子。
今までいろいろあったであろうことも、すべてが楽しい思い出になっているようでした。
言葉に情が込められていて、聞いている私は自然と涙ぐみ、少し恥ずかしくなってしまいました。
話し終えた時には数ページに及ぶ書き取り。
確かに手紙にしたら十枚以上になってしまうかもしれません。
便箋と封筒は指定されていて、その場で手渡されました。
これで間に合うような内容で、ということです。
清書は依頼主が書き上げます。
花柄模様、押し加工が施された可愛らしいレターセット。
便箋は2枚。1枚10行のA5サイズです。
どちらかというと気が短いお子様の気質を考慮した枚数だと感じました。
時間をかけずに読み終わる、ギリギリ負担にならないサイズ。
ここからも、相手への考慮が感じられます。
持ち帰り、PCに向かい書き始めようとしたところ。
言葉が浮かばない。
通常、文章を手掛ける際、書き出しは自然と言葉が指先から流れるように漏れ出していくような感覚が多少なりともありますが、今回はまったく・・・いっさい・・・なにも・・・。
これは、まずい。
初めての経験に焦りを感じつつも、開いた手帳のメモに目を走らせました。
とりあえず項目ごとに分割してみよう。
A4サイズのルーズリーフを取り出して、5項目に分類。
さらに内容を箇条書きにして、まとめました。
聞き取りの際、思い出の中の状況把握を優先しましたが、誤りだったことに気が付きます。
感情の部分を、優先的にうかがうべきでした。
ここでお願いして、再度お話をうかがう機会を設けることに。
ひと月時間をいただいて、仕事や家事の合間に手掛けるつもりです。
けれど、この時の私はすっかり失念していました。
自分の特性が、共感しやすい部分があるということに。
読書をしていても感情移入してしまい、喜怒哀楽に引き込まれやすいため穏やかなジャンルを好みます。
普段は特性を理解した上で、自身を俯瞰で見られる部分を残すようにしているのですが、今回の手紙とは感情を吐露するコミュニケーション手法です。
心のこもった手紙は、感情を言葉に乗せてこそ書けるもののようです。
気づいてしまったところで、うかがった内容に素直に浸ってみるしかないと覚悟を決めざる負えないことがわかりました。
案の定、切ない感情が心身を駆け巡るような感覚に、寝食が疎かになってしまいます。
別人になったかのような感覚に勢いのまま肝心の手紙を書き始めました。
知人の感情に浸食されている状態で書き出したおかげで、難なく書き上げることができました。
言葉として書き上げた直後、急に現実感が戻り、少しふわふわとした感覚のもと、書き上げた内容を見直します。
知人に確認してもらい、無事に終えることができました。
うかがった内容をすべて文字に起こすことはできませんでした。
多くの思い出の中から、最終的に未来に向けて伝えたい事と連なる思い出を中心に、なるべく普段の会話の延長となるよう務めた内容となっています。
読み終えた知人の笑顔がとても素敵だったことが印象的で、安堵しました。
今まで手紙に縁のなかった私。
特に意識したことがありませんでしたが、今回のことで手紙というコミュニケーション手法に宿る、心をつなぐ効能を実感しました。
早くて便利と対極にある、手紙。
手紙とは、思いを言葉に託し、託された言葉が相手の心に直接語り掛けるものであるということ。
時間をかけて、ゆっくりと相手を思いながら綴る一文字の繰り返しに思いをのせて、大切な人の幸を願いながら言葉を託した今回の手紙。
開封されたとき、何をもたらすのだろう。
愛情が詰まった手紙は、きっと嬉しい連鎖を生み出すのではないかと思います。
わたしも、家族に書いてみよう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今日が素敵な一日となりますように😊
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