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94.幸せは2段階ある

アメリカの心理学者のマズローは、人の欲求は5段階あるという欲求5段階説を唱えています。

人の欲求は、まず最初に、食事・睡眠・排泄などの生命を維持するための本能的な欲求である「生理的欲求」が生まれ、2番目に安全性、経済的安定性、良い健康状態の維持を求める「安全欲求」、3番目に自分が社会に必要とされ果たせる社会的役割があるという感覚を求める「社会的欲求」が生まれるとされています。

さらに4番目の欲求として自分が集団から価値ある存在と認められ尊重されることを求める「承認欲求」があり、最後に、自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえるものになりたいという「自己実現欲求」が生まれるといわれます。

これらの5つの欲求を一番目の「生理的欲求」から満たしていき、五番目の「自己実現欲求」を満たすことができると、人は「幸せ」を感じられるようになるといっていいでしょう。

そして、我々の多くは5番目の欲求である「自己実現欲求」を満たしたいと思って生活していると考えることができます。

しかし、マズローは晩年、この5つの欲求の他にもう1つの欲求があると唱えています。

それが「超越的な自己実現欲求」です。

では、この「超越的な自己実現欲求」とは何かといいうと、次のような内容になります。

マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階があると発表した。それが、自己超越 (Self-transcendence) の段階である。 自己超越者 (Transcenders) の特徴は 

1.「在ること」 (Being) の世界について、よく知っている
2.「在ること」 (Being) のレベルにおいて生きている
3.統合された意識を持つ
4.落ち着いていて、瞑想的な認知をする
5.深い洞察を得た経験が、今までにある
6.他者の不幸に罪悪感を抱く
7.創造的である
8.謙虚である
9.聡明である
10.多視点的な思考ができる
11.外見は普通である (Very normal on the outside)

Wikipedia 自己実現理論 

つまり、人の幸せには、自己実現欲求を満たすことで得られる幸せの他に、自己を超えたところにある幸せを満たしたいという欲求があるのです。

今回の記事のタイトルである「幸せは2つある」ということは、ひとつは「自己実現欲求」を満たすことで、もうひとつが「超越的な自己実現欲求」を満たすということです。

現代は、ひとつめの幸せである「自己実現欲求」を満たせる人が、ますます増えていると考えられます。

なぜかといえば、現在は、自己実現を達成するための情報がたくさん存在していて、それを活用できている人が増えているからです。

たとえば、映像を制作することは10年前は、今よりもハードルの高い作業でした。

しかし、現在はスマホ一つで動画作成ができ、映像で表現するということを容易くさせ、youtubeなどの動画サイトなどで自己実現を達成させた人をたくさん産み出しています。

こういったことは動画に限らず、他のジャンルにおいてもSNSメディアの充実によって自己実現を可能にさせた人の数を増やす要因になっています。

こういった技術的な進化が、個人で生きていける人を増やすことになり、より自己実現をしやすくしているといってもいいでしょう。

また情報の多さは、多角的な視点で物事を見る力を養うことになります。

多角的な視点を得ることができると、いわゆるステレオタイプの生き方をしなくてもいいという考えを持てるようになるため、自分にあった幸せのカタチで生きられるようになり、結果的に自己実現をしやすくしています。

しかも、自己を満たすことができた人が増えれば増えるほど、当然、「超越的な自己実現欲求」を満たしたいと考える人が増えていくものです。

では「超越的な自己実現欲求」を満たしたいと考える人が増えるとどうなるかというと、人類の集合意識が変わり平和的な世界へと近づいていくことになります。

人の欲求は限りがありません。

人は自己実現しただけでは飽き足らず、さらに上位の欲求を満たしたいという思いを持つものです。

しかも、そういった欲求は、自分より上位の欲求を満たしている人に憧れを持つことで加速されます。

つまり、自己実現欲求を満たした人が増えれば増えるほど、超越的な自己実現欲求を満たした人に憧れを持ち、更なる高みを目指す人が増えていくため、結果として、この世界の集合意識がよりよい方向に変わっていくのです。

現在は、個人的な幸せを実現する時代から、集団的・社会的幸せの実現の時代に突入しています。

なぜかというと、個人的な自己実現だけでは、本当の幸せは手に入らないということに気付いている人が増えているからです。

おそらく、晩年のマズローは、人の欲求は個人的な幸せだけではないということに気付いて、第6番目の欲求である「超越的な自己実現欲求」を加えたのだと思います。

我々が実現したい幸せとは、自分が満たされることはもちろんのこと、身の回りの人も、遠くで暮らしている人も幸せであってほしい、ということなのです。

とはいえ、社会的・集団的な幸せを実現するには、まずは自分を満たすことが大切です。

なぜかといえば、自分を満たした上で、自分から溢れ出る幸せが他者の幸せの助力となるからです。

そういった意味では、自分を簡単に満たせることをするのが、自己実現の最短の道といってもいいでしょう。

自分を簡単に満たせることとは、「嬉しい・楽しい・大好き」と感じられることをすることであり、こういった「嬉しい・楽しい・大好き」が自らの幸せを溢れ出させる力となります。

そして、自分の内側から幸せが溢れ出るようになると、それが自己を超えた幸せを生み出す力となり、他者によい影響を与えるようになっていきます。

自分に満足し自分を生きる人が増えていけば、この世界がよくならないはずがありません。

自己実現がしやすくなっている現在は、そういった新しい世界へと移行している時代なのかもしれません。

マズローのいう、「在ること」  (Being)とは、「いまここ」を生きることです。

「いまここ」に意識をおいて生きることができれば、すぐに充足感を得ることができるものであり、自然と自分に満足できるようになります。

「いまここ」の意識は、「自己実現欲求」を満たすだけでなく「自己を超越したい」という欲求へと導きます。

しかも、幸せは今を楽しもうとする気持ちで容易に生み出すことができるものであり、そういったシンプルな思いが、自分だけでなくこの世界のあり方を変える力となっていきます。

なので、まずは自分に満足すること。

そして、自分の満足を何かしらの形で他者に分け合えるようにすること。

これができれば、社会的・集団的な幸せを実現できると思います。

もう争うことを終えたいというのが、多くの人の願いです。

集合意識が変われば、世界のあり方が変わります。

その思いを実現するためにも、まずは自分を満たすことに注力していく。

そうすれば、自己を超越したいという思いが生まれ、それが集合意識を変える力となることでしょう。

我々の一人ひとりに集合意識を変える力があります。

この力を活かしていくことができれば、今の世の中を良い方向へと向かわせることができるようになることでしょう。

2つある幸せのうち、まずは自己実現の欲求を満たすこと、それが今の我々がすべきことなのかもしれません。


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