見出し画像

「教育」で世界を良くするってそういうことだったのかな?


子どものころ、好きだった担任の先生に
「どうして先生になろうと思ったの?」
と聞いた時、
「世界を良くしたいと思ったからだよ」
という答えが返ってきた。

教育に関わる仕事をする中で、ふとした時によくこのやり取りを思い出します。

教育で世界を良くする。その意味合いはきっと色々あるけれど、支援が必要な子を早くに見つけて、道を外さないようにサポートすることも、教育で「世界を良くする」ことに含まれるのだろうなと思った本を紹介したいと思います。

「ケーキの切れない非行少年たち」

この本のタイトルの衝撃さからも話題になりました。児童精神科医である著者の宮口幸治さんが、多くの非行少年と会う中で、少年院には「ケーキを等分に切る」ことすらできないほど、認知力が弱い少年が大勢いたことなどを語っています。

しかしこの本で重要なのは、「ケーキを切れない非行少年がいる」ということではなく、何故このような少年が生まれてしまうのかという部分です。
その何故を紐解き、どう解決していくのか。
宮口さんの教育的な実践と、それに対する非行少年たちの反応や効果は、「教育」の大切さと可能性に改めて気づかせてくれます。

反省以前の問題の少年たち

関わった非行少年たちの多くが、認知力が低く、自分の行った行為がなぜ悪いのかを顧みることができない。つまり、反省する力すらない状態だったと宮口さんは語っています。本来はサポートを必要とするような少年たちがなぜ、犯罪に手を染めてしまったのか。次の話が印象的でした。

"この少年の場合、中学校で先生が障害に気づいてくれて、熱心に勉強への指導をしてくれていたら非行化しなかったでしょうし、被害者も生まれなかったのです。非行化を防ぐためにも、勉強への支援がとても大切だと感じたケースでした"

できる子の学力を伸ばすだけではなく、こういった子たちをいかに救うことができるか。この部分を読んだ時、教育が持つ役割の大きさを改めて感じました。

どんな子でも「教育」次第で変わることができる

ただ同時に、教育の持つ大きな可能性も改めて感じました。

"実は、非行少年たちは学ぶことに飢えていたのです。認められることに飢えていたのです。やり方次第で、非行少年たちでもいくらでも変わる可能性があるのです"

これは宮口さんが、非行少年に、見る力や聞く力を養う様々なトレーニングをする中で実感した言葉です。

実際に宮口さんが、話を聞かず「こんなことやって意味あるんですか?」と言い始めた少年たちに対し、半ば投げやりに「では替わりに授業をやってくれ」と前に出させてみると、非行少年たちがウソのように生き生きしだし、それをきっかけに、真剣にトレーニングに取り組むようになり、力もグングン伸びたというエピソードが書かれていました。

教育の方法次第で、どんな子でも学びの意欲を持ち、力をつけて自分を変えることができるのです。

「教育」の力で世界をより良くできる

この本では、非行少年がどのように物事を捉えているのかなども詳しく書かれています。認知機能を高めるトレーニング方法なども解説されています。しかし私にとっては、たとえ非行少年でも「教育」の力で変わっていくことができるのだという事実がもっとも印象的でした。

「教育」の力で世界をより良くできる。私のように教育に関わる仕事をされているあなたにも、きっと希望を持ち続ける活力を与えてくれるはずです。




この記事が参加している募集

読書感想文

読んでくださりありがとうございました😊 ほんの1ミリでも良いので、あなたの行動や考えに影響があれば嬉しいです。