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おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(7)

週末、おばあに会いたくて帰省した。
今回は夫と子供たちとともに。

おばあの病状はというと、やっぱり悪くなっていた。
血中の酸素の値がよろしくなく、酸素吸入をしながらベッドで横になる。
食事もほぼ流動食で、それでもほとんど食べられない。
歩いているおばあの姿は今回一度も見ることができなかった。
私がおばあの顔を見に行くと、ベッドの上で体を起こしてくれたけれど、それも辛そうに見えた。

でも、おばあは綺麗だった。
「おばあって綺麗だね」
とおばあに言ったら、嬉しそうに笑ってくれた。
急性骨髄性白血病という大病を抱えているのにも関わらず、おばあは美しい。
多分、おばあは美しいまま亡くなっていくんだろうな。
「亡くなる」ということは私にとって驚くほどに悲しく辛いだろうけれど、「美しく終わっていく」ということはちょっと羨ましい。

ひ孫が大好きなおばあ。
ベッドに横たわりながら、
「ひ孫ズの顔見せてー!」とニコニコしながら言ってくれた。
すごくあたたかい気持ちになったし、おばあが繋いでくれた命のバトンの尊さのようなものを感じた。
ありがとう、ありがとう。

おばあの介護を頑張ってくれているおかん、おじい、おじさん。
日に日に弱っていくおばあの姿と介護の負担に少しやられつつある。
しんどそうだった。
週数日、病院での緩和ケアを利用しようかと考え中らしい。
おかんにも、おじいにも、おじさんにも、それぞれの人生がある。
彼らの心がなるべく平和であれるよう、彼らにとっての最善の選択をしたらいいと思う。

おじいの話なのだが、長年連れ添った妻の死が目前ということもあり、何も手につかない時間が増えてしまったのだとか。
おかんも言っていたが、本当に「ぼー」っとしているらしい。
おじいの変化におかんも驚いたそうだ。
しかし、ひ孫パワーはすごいもので、そんなおじいをパーッと笑顔にさせた。
一番上のひ孫くんが、おじいのことが大好きで
「ひいじいじー!」とおじいにハグ。
何度も何度もハグ。
お風呂を出たらすぐにおじいのところへ。
ソファに座ったおじいの上によじ登りお喋りたくさん。
ごはんを食べるときもおじいの隣。
おじいの喜んだ顔を見て、私も幸せいっぱいな気持ちになった。

次回帰るのは5月上旬。
とうとうおばあの余命宣告が出てからほぼ3ケ月経過する時期だ。
おばあが弱っていく姿は正直怖いけれど、それでも会いたい。
どんな姿であろうと、愛していることに変わりはない。


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