S.K.

好きなのは、猫と本と北欧雑貨。 元雇われWebライター。

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最近の記事

おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(9)

おばあが死んだ。 「死んだら人間の肉体は『物』に近くなる」 と私は思っているけれど。 冷たいはずなのに、あたたかい。 あたたかいはずなのに、冷たい。 明日はおばあが大好きだった紫色のお花を買うね。 最後に 「愛してるよ」 と言えて良かった。 少し落ち着いてから、また書きます。

    • おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(8)

      おばあ、いよいよあと数日らしい。 数時間かもとのこと。 子どもたちのご飯ストックをたくさん作っておこう。 夫が帰ってきたら引き継ぎして、お義母さんにも状況説明して必要な場合はお手伝いを頼まなきゃ。 私との電話で病状を説明するおかんは、妙に冷静。台風前の静けさみたい。 私はというと、今にでも涙が溢れてきそう。 今夜は眠れないかもしれない。

      • おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(7)

        週末、おばあに会いたくて帰省した。 今回は夫と子供たちとともに。 おばあの病状はというと、やっぱり悪くなっていた。 血中の酸素の値がよろしくなく、酸素吸入をしながらベッドで横になる。 食事もほぼ流動食で、それでもほとんど食べられない。 歩いているおばあの姿は今回一度も見ることができなかった。 私がおばあの顔を見に行くと、ベッドの上で体を起こしてくれたけれど、それも辛そうに見えた。 でも、おばあは綺麗だった。 「おばあって綺麗だね」 とおばあに言ったら、嬉しそうに笑ってくれ

        • おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(6)

          「人はどうなったら『死んだ』ということになるのだろうか」 小学校の頃、担任が尋ねてきたことがあった。 道徳の授業だったかなあ。 授業で保険証の話になり、保険証の裏側について先生が教えてくれた。 当時私の保険証は親が管理しており、保険証の裏側なんて見たことがなかったので新鮮だった。 保険証の裏側に臓器提供の意思を示す欄があるのだけれど、それで 「人はどうなったら『死』なのだろうか」と。 当時の私と今の私の意見はあまり変わっていない。 心臓が完全に止まって体中の組織が全てスト

        おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(9)

          蝶々を殺したのは私かもしれない。

          猫、犬、トカゲ、金魚、カタツムリ、カブトムシ、クワガタムシなどなど。 私は幼い頃からたくさんのペットたちと育ってきた。 生き物好きの両親がいつの間にか増やした仲間たちもいれば、私が「これ飼いたい」とせがんでOKをもらった仲間たちもいる。 小さな私が特に興味を持ったのが『虫』だった。 セミの羽化を観察するために早朝に起きたり、クモが巣を張るさまを記録したり、近所の森へ父とともにカブトムシを捕まえに行ったり(父がマムシと遭遇し腰を抜かしたため早々に帰宅)、虫に関する思い出は多い

          蝶々を殺したのは私かもしれない。

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(5)

          おばあの余命宣告を受けてから約1ヶ月が経った。 ということは、あと余命2ヶ月ということになるのだろうか。 先月の医師の見立てでは「余命3ヶ月」ということだから、そうだよね。 私は、大好きなおばあの余命宣告を受けてから『余命宣告』についても考えるようになった。 大好きな人の余命宣告を受けてリアルに実感したことは「余命宣告はとても残酷であり、優しい」ということ。 テレビで余命宣告シーンを観て察するのではなく、私が生きている現実で起こった。 『余命宣告の残酷さ』については想像し

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(5)

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(4)

          先日実家近くでお仕事があったため、実家に帰省。 芸術系の現場なのだけれど、去年お世話になった方が亡くなったので、その方を追悼するための会を兼ねている。 私も20代前半からその方にお世話になっていて。 お話ししたのは数回だけれど、同じ現場で何度もご一緒させていただいた。 渋くて、かっこよくて、優しくて、深海レベルの深みを持った、本当に素敵な方だった。 訃報を聞いたとき、そりゃあ驚いた。 驚きすぎてあまり実感がなかったのだけれど。 いつもご一緒している現場に、今回はいない。 不

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(4)

          二世帯住宅暮らしを子供目線で語る

          私は5歳から、私の両親・弟に加え、祖父母と叔父叔母とともに暮らした。 叔父叔母もともに暮らしていたので「二世帯住宅+α…?」のような感じですが、少々話がこんがらがりそうなので『二世帯住宅』としてお話ししていきます。 「二世帯住宅って子供目線からしたらどうなの?」と思っている方、どうぞ二世帯住宅育ちの子供(=私)のリアル話を聞いていってください♪ 【子供目線】二世帯住宅のメリットまずはメリットからお話しします。 二世帯住宅、さいこーう! 寂しくない! いきなりですが、

          二世帯住宅暮らしを子供目線で語る

          初めての流産。宣告、手術、そして今

          私は去年2回流産宣告を受けた。 確か、去年の秋と冬。 2人無事に出産していることもあり、自分が流産経験者になるなんて思っていなかった。 この記事では去年の秋の流産、つまり私の初めての流産経験を書いていく。 「三人目、もしできたら欲しいねえ」 と夫と言っており、妊活はしなかったものの、避妊もしていなかった。 妊娠検査薬で陽性が出たときはそりゃあ嬉しかった。 つわりらしきものはあったものの、過去の妊娠と比べるとずいぶん軽い。 このときから 「なんか過去の妊娠と違う」 という違

          初めての流産。宣告、手術、そして今

          1歳&3歳の母ちゃん、運転免許証取得への道

          「私は車の運転を一生しない」と思っていた。 が、私は昨年末に運転免許証を取得し、週数回運転している。 もともと何かを操作することに苦手意識があったためか、車の運転時はとても緊張する。 コロナウイルスが蔓延しだし、夫がほぼリモートワークに。 さらに緊急事態宣言中に私は第一子を出産した。 当時私たち家族は東京住み。 「子供をのびのび育てたいし、俺もリモートワークになったし。東京脱出(移住)をしてみないかい?」 夫からの提案に私はノリノリであった。 子供時代を田舎で過ごした私にと

          1歳&3歳の母ちゃん、運転免許証取得への道

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(3)

          昨日と今日、実家に帰っておばあに会ってきた。 車で片道5時間。夫と子供たちと。 おばあはというと、さらに幼くなっていた。 認知症がだいぶ進み、同じ話を繰り返す。 でも、こんな言い方するのはあまり良くないのかもしれないけれど、おばあは愛らしくなっていた。 認知症を患う前のおばあは、負けん気が強く、ヒステリックになりがちな人だった。 私が学生時代、おじいとおばあの喧嘩声で起きることがしょっちゅうあった。 「どうしてこんなに仲が悪いのに夫婦やってんの?」と思ったくらい。 しか

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(3)

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(2)

          おばあの余命があと3ヶ月と聞いてから、私はできるだけ何もしない時間をなくすようにしている。 というか、何かしないと落ち着かないのかもしれない。 悲しい時間を何かする時間で埋めていくことで、毎日を私らしく過ごせるよう努めている。 私がおばあの余命宣告を受けてから、さらに没頭するようになったこと。 まず子育て。 私には2人の小さな子供がいるので、子育てで毎日バタバタ。 子育てについては、おばあの余命宣告を受けるまで「大変だあ」と思うことが多々あったが、今では『子育てで大忙し』

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(2)

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(1)

          「おばあがあと3ヶ月で死んでしまう」というので、今の気持ちをできるだけ欠けさせたくなくてnoteを始めてみることにしました。(でも、いざ文字にしようとすると上手く進まないものです) 私の母は、私が幼いときから多忙であった。 いわゆる「何かをしていなければ死んでしまう!」という、チャキチャキとしたタイプ。 そんな母に対して「寂しい」「もっと構え」など私は一度も思ったことはない。 私にとって母は素敵な人であることに間違いはない。 と思えるのは、多分、おばあがいたから。 私が生

          おばあがあと3ヶ月で死ぬらしい(1)