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久しぶりの法事にまつわる作品紹介                映画「四十九日のレシピ」を観た話


以前何度か、お葬式にまつわる映画やドラマの作品紹介をしてきましたが
久しぶりにまた映画のご紹介です!

今回はお葬式ではなく "四十九日" にまつわる作品。

と言っても、四十九日のその当日がメインなのではなく、
それまでの準備期間がメインで描かれています。

そして法事にまつわる映画ではあるあるですが、
それぞれの人の人生、生きてきた軌跡が紡がれます。

今回の作品は、「四十九日のレシピ」です!





映画「四十九日のレシピ」


「四十九日のレシピ」が公開されたのは、10年前の2013年11月
作家の伊吹有喜さんの長編小説が原作です。

監督は、「百万円と苦虫女」や「ふがいない僕は空を見た」を手掛けた
タナダユキさんです。

主演は永作博美さん。故人の娘役を演じていらっしゃいます。
その他、石橋蓮司さん、岡田将生さん、二階堂ふみさん、原田泰造さん、
淡路恵子さんなど、豪華な俳優陣で描かれています。

◆あらすじは?


なかなか子供に恵まれない中、不意に夫の不倫を知った百合子は、
乙美(育ての母)を亡くし遺された父の住む実家へ戻ることに。
実家に戻ってみると、そこには父の他に不思議な少女 "イモ" が居た。

イモは、乙美(母)から頼まれていた四十九日までの家事を引き受けに
来たと言い、乙美が残したレシピの存在を伝える。

乙美が残したそのレシピには、乙美が人生で書き留めた様々な事が書かれ、
そのレシピによって、傷ついたそれぞれの心が再生していく。

レシピの中にあった希望を叶えるべく、四十九日を執り行う準備を
みんなで始める中、百合子は母の年表を作成することに。

「子供の居ない女の人生は空白が多いのか」

そんなことを思い傷つく百合子だが、
母の人生に触れていく中でそんな思いに変化が生まれていく。




"子供がいる人生"という一つのテーマ


映画の冒頭、主人公の百合子はなかなか子供に恵まれず、
思い悩んでいた描写が描かれています。

亡くなった母も、産みの親ではなく、子供を産んでいない人生。
母の人生年表を作成する中、空白だらけの年表が自分の人生に重なります。

「子供の居ない女の人生は空白が多いのか」

10年前とは言え、このご時世ではかなり踏み込んだテーマだな
とは思いますが、これは映画のテーマの一つだと感じました。

映画の中では、子供を産んだ女性も、産まない女性も、
生まれてきたけど親に愛されない子供たちも登場しています。

それぞれの人生にそれぞれのストーリー、悩み、楽しみ、幸せなど
濃厚な時間が沢山あって、どれも人生の味として噛みしめている
そんな姿が描かれていたように感じました。




人生は人で彩られる


亡き母が残してきた「暮らしのレシピ」や大切に関わって来た人たち。

母に頼まれて来たというイモや、ハルの存在もまた、
知らなかった母の人生や人柄を知っていくことに。

母が関わってきた人たちを知っていくことで、
空白だらけに見えた母の人生が彩に溢れていく。


これは映画の中の女性だけではなく、沢山の人の人生に当てはまるのかな
と思います。

自分1人ではなんてことないと思っていた人生も、
関わってきた人たちによって、何倍にも彩られていくのかなと。

法事にまつわる映画などの作品では、
なんてことはないと思っていた故人の人生が
実はとても豊かで幸せだったと知る…
という展開は多くあるように感じますが、

多くの映画がそれを伝えているように、自分の感じ方考え方次第で
日との人生は本当はもっと豊かなものなのかもしれません。

映画の中では、子供がいない人生に独善的にものを言う親戚も
描かれており、このご時世ではなかなか踏み込んでいますが、
(最後の方の展開は賛否両論ですが…)
その人にもその人なりの愛と関わりがあったなと
中の人は感じました。


人の人生に触れ、自分自身の人生もまた彩られる。

それが一見マイナスの関わりだったとしても、
自分次第でいかようにも変わるのかもしれない。

人生が少し愛おしくなる、少し前向きになる…
そんな作品だなと思いました。

そして、映画に登場する「暮らしのレシピ」
そんな丁寧な暮らし方、生き方が素敵でした。

最後は型破りな四十九日が描かれますが、
故人を弔うのにこんなに素敵な時間があるなんて!
と少し羨ましくも感じます。

自分の人生を見つめ直す、そんな時間の参考に
レシピを覗いてみてはいかがでしょうか?






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