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「スーパーアマチュア」目線を大切にしよう

こんにちは、米田 @ 富士通にてマーケティング変革実行中です。最近、アップルがEVプロジェクト断念との報道があり、驚きました。エンジン車から電気自動車へのシフトが簡単に進むわけではないことを匂わせる出来事で、業界の変革は一筋縄ではいかないことを改めて認識しました。ただし、このようなことは、なんらかの変革に関わっている読者の皆様の身の回りでも大なり小なり発生していることと思います。この記事では、変革の際に大切にすべき目線について考えてみます。


「新結合」を作り出すのに必要なこと

新しくイノベーションを起こす際には、いままでの業界の常識にないアイディアを持ち込んで、これまでに組み合わせたことのない要素を組み合わせて「新結合」を作ることが必要だと言われます。

この新結合を作り出す際には、「業界」の既成概念にとらわれず、色眼鏡を外して物事をシンプルに見る必要があり、その際にはその道の専門家だけでなく、専門外の人の知識や思考が大きく寄与することがあります。最近の目立つ例としてはイーロン・マスク氏が挙げられるでしょう。

マスク氏はSpaceXの起業やテスラへの出資、ツイッター (現在のX)の買収等、様々な業界に影響を与えているいわずと知れた著名な実業家です。楽天の三木谷氏は、マスク氏のことを

『実際に誰も見たことのない「未来」を作り出すためには、そうした「できない理由」をいったん横に置いて、物事の本質だけを見据えるシンプルなものの見方が必要...彼の強みとはアマチュアであることで、だからこそ、いきなり「火星に行くぞ」なんてことも大真面目に言える。「未来」を想像する彼の姿勢は常に一貫している』

と評しています。

「スーパーアマチュア」の視点

「未来」を構想していくためには、「素人」として物事を観察する姿勢がとても大事であり、それもただの「素人」であるだけではなく、素人の視点で物事を徹底的に考え抜き、どこまでも徹底した「スーパーアマチュア」であることが大事ということです。

また、組織の変革を行う際に、外部人材を登用すると効果的であるのも、新結合を促していままでの常識にとらわれない新しい視点や解決策を導入できるからです。

もちろん、スーパーアマチュアの視点でいままでの常識を打ち破りブレークスルーを行ったとしても、そのまま最後まで走り切れるわけではありません。冒頭で出てきた通り、EVのような新市場の開拓には政治的な課題を含むテクノロジー以外の様々な難しい課題が複数存在するため、違う壁にぶつかることもあり、その過程で撤退してしまう企業もあります。

課題にぶつかるたびに新結合を含む新たな解決策で課題を解決できる企業や組織のみが、変革をやりきり新しい世界を見ることができるのです。新しい課題が見つかるたびに、それまでの既成概念を捨てて、色眼鏡を外して物事をシンプルに見る「スーパーアマチュア」の考え方で打開策を探るのです。

マーケティングにおいても「スーパーアマチュア」視点は大事

ちなみに、この「スーパーアマチュア」の視点は、顧客視点で行うマーケティングでも重要になります。企業で商品を開発した際には、開発者や商品担当は作った商品に強い思い入れがあり、自分たちの作った商品はこんなに良い所があるのだということを主張する商品起点の視点 (インサイド・アウト) に偏ったコミュニケーションをしてしまいがちです。

ただし、この「インサイドアウト」な視点では、顧客から共感が得られない場合が多く、効果的なマーケティングコミュニケーションが行えません。そのため、マーケティングコミュニケーションを企画する際には、商品に詳しすぎる担当者が企画するよりも、「素人」として商品のことを観察できるメンバーに企画をさせる方が良い企画になることが多いのです。

ただの「素人」であるだけではなく、素人の視点で物事を徹底的に考え抜く「スーパーアマチュア」の視点でマーケティングの企画を考えることで、商品 (Product) のことに偏りがちな商品担当の視点だけでなく、顧客の声も取り入れながらマーケティング4Pの他のP (Price, Place, Promotion)も駆使した客観的な視点のコミュニケーションを組み立てることができるからです。

商品の良さにこだわりすぎる姿勢は、「良い商品さえ作れば売れる」ことを信じてきた伝統的な日本企業に多く見られる傾向ですが、多種多様な企業から同じような商品が溢れるようになった現代の市場では通用しません。商品のマーケティングにも「スーパーアマチュア」の視点を取り入れることで、そのような傾向を転換することに役立つでしょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。では、また!

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