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Johnny's B Good

倅が産まれ、家に居ることが多くなったのでテレビを観る機会が増えた。考えてみれば今の視聴時間は暇を持て余していた中高生の頃に並ぶ勢い、いや寧ろ倅が信奉するEテレ a.k.a 教育テレビの視聴機会が増え、更にTVerだの何だの当時存在しなかった媒体の多用でそれ以上となっている気がする。かつて反骨精神溢れるレベルミュージック支持者は「テレビは嘘っぱち」という思想を抱く風潮があり、多感な時期の私もそんな風に思って部屋にテレビを設置せず生活していた時期もあったが、今はよっぽどwebの方が嘘っぱちに思うことも多々ある。まあ俄然テレビのニュースを観るよりもネットニュースの方が情報が早く、ある意味忖度もなくフラットに事実だけを知ることが出来て便利なのでテレビのニュースなんて必要ないと思ったりもするが、精査されていない情報も多く飛び交っている状況なので、いずれも一長一短だったりする。いずれにしても今の生活においてテレビが個人的に欠かせないものとなっているのが実情だ。

最近、そんなテレビの秩序を揺るがす大騒動が巷で起こっていた。かのジャニーズ事務所の創業者である故・ジャニー喜多川氏による性的搾取について、これまで国内メディアの一部が報じるだけで黙殺され続けた歴史があったが、今年に入り被害者の証言を交えてイギリスBBCが特集番組を組み、世界にその狂気かつ異常な様を露呈することになってしまった。それを機にネット上などでも憶測が飛び交い、ファンの有志連合を名乗る団体も現れ、終いにはこれまで公に出てこなかった現・代表取締役が謝罪動画を発表する事態となってしまった。

以前からジャニーさんの所謂ショタコン疑惑についてはある種の都市伝説となっていたが相当有名な話で、古くは北公次、豊川誕などの暴露騒動があったのだが、それに対して黙殺し続けたのが国内のマスメディアと芸能界だった。マスメディアの過剰なまでのジャニーズ事務所に対する忖度も誰もが知っている事実で、所謂「辞めジャニ」に対するわかりやすい程の冷遇や他事務所競合グループへの圧力など、あからさまでありながらも「まあ、ジャニーズだから」で済まされてきた歴史があった。また、過去のマッチ明菜金屏風事件SMAP謝罪事件、更には近年のキンプリ謝罪事件などの明らかに他事務所とは異質の闇深い顛末についても度々「ジャニーズだから」で済まされてきたのだが、本件については海外から笑い物となってる上に国会の証人喚問などにまで発展する可能性があるとかないとかで、流石に「ジャニーズだから」で済みそうもない。

伝説の「金屏風事件」。中森明菜という希代のアイドルを精神的に崩壊させたマッチはなかなかのカスキャラ。

そもそも日本の芸能界なんて清潔で純粋さなど一切ない、汚れた世界だ。というか大金が動く世界はだいたいダーティーなものだ。長けた一つの芸があって多少ネジが外れた奴らが集まる場所が芸能界で、そのネジが自然に外れない芸能人が鬱になったり薬物などに手を染めて無理やり外してるような世界では、我々庶民の「あたりまえ」があたりまえじゃない世界なのかもしれない。

確かにジャニーさんの性的搾取、性加害に関する話は、長い年月に渡り数百人の被害者が居るなどと考えれば極めて悪質なものではあるが、この件が枕営業が横行するクソ芸能界の中で所謂「枕営業男版」として成立していたのならば、故人は当然ながらこの腐った業界の風潮が悪い。更に日本では「ボーイズラブ」といういかにもなカルチャーが存在しているのもあって、どちらかと言えば美少年アイドルは若い女性タレント等との接触の方が悪と捉えるファンが多く、そういう意味でも世の中全体がジャニーさんの寵愛エピソードを異常と思っていなかったというか、寧ろ「その話込みでジャニーズ」と思っていたのかもしれない。昭和は確かにアイドルに対する偶像崇拝が強く、「アイドルがクソもセンズリもスケベもしない時代」だったようだが、その思想を令和の時代でも現役バリバリやっているのがジャニーズで、どこぞのビッチよりも理解力のあるみんなのお父さん的存在といちゃついていた方が可愛い的な思想を、事務所側は利権に縋るマスメディアを上手く利用して世間に塗り込み正当化してきたのかもしれない。

私自身、10代のころにSMAPTOKIOV6KinKi Kidsの番組や「8時だJ」などを観ていた世代なのだが、いち視聴者として大変楽しませて頂いたし、様々な疑惑や目に見える忖度が垣間見えたとしても全くどうでも良いと思っていて、正直本件についても最初は「ああ〜」ぐらいにしか思っていなかったし、どうせまた黙殺して終了になると思っていた。そのためジャニーズの飼い犬である日本のマスメディア各局が本事件を少ないながらに報道したことに対しては非常に驚くしかなかった。この件について、まずはこれまで営利を優先して忖度を繰り返してきたマスメディアに責任があることを認識しなければ、この国のマスメディアは終わる。社会主義国家によるメディア統制と同じレベルで日本のメディア忖度は異常だ。ジャーナリズムもクソもない、商業主義にも程がある笑い話だ。

それでも各局は他のニュースと比べると未だ弱腰な姿勢が伺える。あれだけ芸能人の不倫等をまるで凶悪な事件のように毎回面白おかしく報じている割に、今回の件は流石に普段顔を見せないジュリー社長が出てきたのもあって多少話題に触れたものの、深く追求することなく終了という感じが強い。確かに内容が「少年たちに対する性的虐待」というショッキングでセンシティブな内容なので慎重に扱っているということもあるかもしれないが、各局のニュース番組にキャスターとしてジャニーズ所属タレントが出ているので、彼らの出演番組内で報道しにくいという事情があるのだろう。先日櫻井翔が出演している「news zero」においてはメインキャスターの有働由美子だけがこの件についてコメントし、櫻井本人は完全無視という姿勢に結果的に批判が集まっているという話らしいのだが、櫻井自身は単なる所属タレントにしか過ぎず、変なことも言えないのであのような対応が精一杯なのだろう。そもそもアイドルをキャスターに迎えるあたり最初から報道番組として勝負する気はなくて、視聴率稼ぎのバラエティ番組の延長という位置付けだと思うので、事件・事故に対する報道はあまり深入りせず、延々プロ野球とかの話だけをしていた方が無難なのかもしれない。

いずれにしてもこのタイミングでこの話題が沸く時点で事務所が弱体化しているのだろう。口を揃えて被害者達もジャニーさんに対する感謝を述べているのだが、結局亡くなってから告発した辺り、相次ぐタレントの離脱と同様に現体制打倒の機会だと思っているのかもしれない。

このネットニュース記事にもある通り、形が違えど本件は若干「同族企業あるある」な部分も含んでいる。私の勤務先も典型的な家業からの同族経営だったのだが、先代の頃はワンマン極まりない会社だった。先代のやり方は乱暴な部分もあったがカリスマ性があって、社内の古い人間達は「先代に仕えた」感が強かった。しかし先代が亡くなり、その子が代表になって以降は後継者とウマが合わず古株・ベテランやエース級逸材の離脱が増加し、更には小規模ながら諸問題の告発などもあったりして、その度に「それは先代の頃から〜」などと言い訳している様は藤島ジュリー社長が今般取った手法と酷似していたりする。ここ最近は弊社も業績不振な部分もあるため「ああいよいよか」などと思うタイミングがあったりもするが、その隙を虎視眈々と狙う輩たちが内部にいることを忘れてはならない、とか言っておく。

いずれにしても私も10代のころからテレビでジャニーズのタレントを観て育ってきた故、この件に関しては所属タレントが傷つかないように配慮し、誰もが納得出来るような形で着地して欲しいというのが本音だ。やはり最終的に藤島ジュリー社長が金屏風の前で会見を行うくらいギャグセンスの高いことをやって、真のエンターテイメントを見せて頂きたい。

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