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よるにねて、あさおきる

夜に寝て、朝起きる。
それだけのことで、最近、時間が増えたような気がする。

朝とは一生仲良くなれないと思っていた。
子どもの頃から"朝起きる"ということが苦手で、何度起こされても「んー」「おきた、おきた」という返事は夢の中。現実ではちっとも起きていない。
遅刻ギリギリで家を出ることは日常茶飯事で、高校生の頃、起床後5分で電車に乗ることもあった。家から駅まで徒歩10分。自転車を爆速で飛ばして2分で着けて無事乗車。
"朝起きる"という行為はそれくらいギリギリを強いられるものだった。

「夜ちゃんと寝ないからだ」
と言われることもよくあった。
その度に「ちゃんと寝てるよ」と思っていた。
平日は1時や2時には寝ていたんだから。
夜の時間は魅力的。
夜起きていられることの優越感。
みんなが寝ている時間に好きなことをするのは、ふわっふわなパンケーキにたっぷりホイップを乗せメープルやらはちみつやらチョコレートやらのソースをたっぷりかける、くらいの甘美な誘惑だ。
お休みの前の日(日付変われば当日だけれど寝るまでは前日の気でいる)は、4時や5時まで起きていて、外が明るくなってきてから眠て、お昼過ぎにもそもそと起きる。
それはすごく贅沢な気がしていた。
だから、1時や2時に寝ていれば"ちゃんと寝ている"にあたいした。

それは大人になっても変わらず、徹夜で作業することを続けていた時期もあった。
けれど仕事を変えたことで朝早く起きる必要が出てきた。
朝起きることは絶対で、それでも夜は起きていたくて、睡眠時間が削られると必然体調を崩すことが多くなった。

これではまずいと渋々、
0時には寝よう。遅くても1時。
そう決めて生活してみた。
それでも朝は眠たくて、起きたくなくて、まだ寝ていたくて、毎朝眠気と格闘する日々。
なんでこんな思いをしてまで起きなきゃいけないんだ。
やっぱり朝とは仲良くなれない。
体を優しく包み込んでくれるお布団からどうにかこうにか抜け出して、自分の方が抜け殻みたいになりながら、仕方ない思いで一日を始めていた。

朝起きる生活が続くと、不思議と休みの日も朝目が覚めるようになってしまった。
目が覚めてしまったら仕方ない、やりたいことは多いのだからやってしまおう、と午前中から活動することが増えた。
そうすると、当然のことだけれど、「あれ?アレもコレもやったのにまだ12時まで時間がある」と気付くようになった。
午前中を長く使えた方が得した気持ちになることに気付いた。
それでもやっぱりまだ朝は苦手だった。

そんな日々を過ごす中、最近、こんな言葉を聞いて目から鱗だった。
「一日働いて疲弊した脳を使うより、睡眠中にリセットされた朝の脳を使う方が、脳の活動も活発で効率がいい」
確かに!と脳が叫んだ。
朝起きるようになったとは言え、相変わらず夜の時間の方が魅力的に見えていたけれど、この言葉を聞いて納得してしまった。
夜は確かに眠いのだ。
眠たいと思いながらも作業をする。でも眠たいからだらだら作業になってしまう。集中力も低い。
そりゃそうだ!一日生き抜いた脳みそはもうへとへとだ!

それから睡眠時間改善を始めた。
朝5時半。
その時間に起きるために最適な睡眠時間を知ることから始める。
様々な時間に寝て、いちばん身体の調子が良かった時間を就寝時間に設定する。
もう毎日寝る時間も起きる時間も決まっているから、夜だらだら起きていて、朝だらだら眠り続けることがなくなった。
同じ睡眠時間でも夜早く寝て、朝早く起きた方が回復力も高くなるみたいで、案外寝覚めがすっきりしている。

朝とは一生仲良くなれないと思っていた。
夜型人間だと思っていた。
けれど、そんな人間が今朝活をするに至っている。
朝活が出来る人はすごいな〜自分を律することが出来るんだろうな〜偉いな〜私には無理だな〜なんて他人事にしていた。
朝の方が頭の回転がいい。
それだけでじゅうぶん時間が儲かる。
朝活をしている人はそのことを知っていたのかもしれない。

朝5時半に起きると、美容室も朝イチの時間で予約できるのだ。
今までは起きられないからお昼近い時間で予約していた。そうすると残りの活動時間も限られる。美容室のあとに少し遠出するなんてことはできなかった。
美容室の日はそれがメインであとは近場で食材や日用品の買い物を済ませ帰宅する。
それだけだった。

早朝に起きると、美容室に行くまでの間に家のことができる。
洗濯をして
夜ごはんと明日のお弁当の準備をして
美容室に行って
ちょっと遠出してお洒落なパフェを食べて
そのままふらふら街散策をして
明るいうちに帰って来れて
洗濯物を取り込める。

美容室に行く時間が遅いとそのあと遠出はできない。もし遠出したとしても帰ってくる頃にはとっくに日は暮れている。
洗濯物はひんやりしてしまうから干したままでは出かけられない。
美容室と遠出と洗濯ならどれか一つでも別の日に回さなければいけなかった。
早起きをすることで、今まで分割してこなしていたことを1日で済ませられるようになった。
これは休日もう1日が他のことに使えるようになるってことだ!

子どもの頃から言われ続けた言葉
「早起きは三文の徳」が身に沁みる。
三文であろうと「塵も積もれば山となる」のだ。
そして実際に得たものは三文どころではない。
常々「時間が足りない」と思い過ごしてきたけれど、時間を増やす方法は案外簡単だったのかもしれない。

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