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【私の感想 #12】お前は「真の男」を見たことがあるか?『RRR』(2022年、インド)

 俺だ、透々実生だ。(今日はマジでこのノリの挨拶をしたくなりました。
 RRRをさっき見終えたので、もう衝動のまま書きます。ぶっちゃけた話、消化し切れてないけど、この映画の凄さと熱量よ伝われ!!って感じです。もう書き殴りに近い。でも書かずにはいられない!
 あと、ぶっちゃけ観ている方が多いという前提の下(何せロングランもロングラン、最終コーナーに差し掛かった辺りで漸く足を踏み入れた訳ですから)、ネタバレとか気にせずに行きます。嫌な人はブラウザバック!

真の男にまみえる映画

真の男とは何か? まずはこの話からしなければならないけれど、この映画を観れば一発で答えが分かります。
 真の男。それは、自らが是と信じる大義の為に突き進み続ける男の事だと定義します(異論は認めます)。この映画に出てくるのは、二人の男。

 大英帝国に叛逆する為に警察官になった男、ラーマ。
 攫われた少女を救出すべくデリーに潜入した男、ビーム。
 この二人が出会い、それぞれの信じる大義の為に突き進んでいきます。

 ですが(最初に言ったことを早速覆す様な発言になるかもしれませんが)この映画は、別に完成された真の男同士がぶつかり合うという映画ではありません
 この映画の真髄は正に、二人の男が出会い、親交を育み、対立する中で、真の男になってゆく事にあります。

 そう、二人とも、最初から真の男であった訳ではありません。二人は最初に親交を育んでいくからこそ、自らの大義が正しいのかどうか悩み、苦しみます。
 ビームは、少女を救う為に潜入しますから当然大英帝国に目をつけられます。その逮捕に動くのがラーマ。但し、初めはどちらも素性を知らず、人助けをする事で意気投合。その人助けもハンドサインで全て伝わってしまうほどの阿吽の呼吸。まるで、前世では仲の良い兄弟だったかのように。

 しかし、互いに素性を知ってゆきます。ラーマがビームの正体に気付き、ビームは自分を捕まえに来たラーマを見て正体に気づく。
 進むべき道は同じ。大英帝国への叛逆です。しかしその奥の奥まで知り合わなかった二人は、激突していくのです。

 そしてビームが捕まり、その処罰をラーマが担当する。「もういい、屈しろ」とばかりにビームを鞭打つラーマに、心がぎゅうと締め付けられる。そして、ビームを犠牲に自らの大義を成そうとするラーマは葛藤します。

俺は、本当にこれでいいのか。と。

 そして、ビームを助けることを決意します。親友を犠牲にした大義など、大義などではない、と。
ここでラーマは真の男となり、ビームを助ける為に動き、今度はラーマが反逆者として捕まります。

 ビームはその事をラーマの妻の話で漸く知り、「俺は、何も知らずになんて事を」と激しく後悔。そして直様ラーマを助けに向かいます。
 ここが、ビームの真の男としての転換点

真の男同士になった二人に、最早敵など存在しない! この後は、大英帝国を薙ぎ倒してゆくのです。
 この過程が凄まじい。見ながら私はいつの間にか怒りに拳を握り、悔しさに歯軋りし、歓喜に心でガッツポーズを決めていました。

真の男を彩る映像表現

 この骨格だけでも十二分どころか三十分くらい強いのに、そこに肉付けされた映像表現にも余念がありません
 これを観れば一部伝わります。それでも迸る凄まじいエネルギー量!

 ラーマが炎を、ビームが水を表しており、本来ならば相容れず打ち消し合ってしまう者同士のぶつかり合いを、VFXや怒涛のアクション、ハイスピードなバトルで描いてゆく! 拳で語り、銃を放ち、時に凄惨な拷問を挟みながら、人を次々薙ぎ倒してゆく!!
 個人的には、ビームが総督の官邸に潜入しラーマと戦う時の戦闘の入りがめちゃくちゃにかっこいいと思ってます。ぶっ壊れた噴水と吹き荒れる花火をそれぞれバックにするあの対比構造は、今も目に焼きついています。
 兎も角も、真の男を語る上では欠かせない暴力性と理性的な野生性を、余す所なく描き切っている! もしこの映像表現がショボかったら、如何に題材が良くても真の男を語れなかったでしょう。ラージャマウリ監督の信じる「これこそが、クールでハードな真の男!」という頭の中のイメージを完全再現されたからこそ、私達観客の心を打つのです。

インド映画に欠かせない音楽すらも!

 インド映画と言えば、突然パワフルに踊り出し歌い出す音楽が有名でしょう。ぶっちゃけ私は、ニコニコ動画でネタにされてたような面白おかしさしかイメージがありませんでした。
 しかし、RRRはそれすらも真の男を表す舞台装置に据えてしまったのです。一部の日本人にとってコメディ的に伝わる不利を全くモノともせず、力強さでただただ観客を殴ってくる

 それどころか、音楽によってビームがラーマの真の男を目覚めさせるなど、直接的に関わってきます。鞭で打たれても血を搾り出されても、歌でもって群衆を動かし、大義に向かわせる力を民衆に、そしてラーマに与えることとなります。此処は本当に痛々しいながら、心の奥底に炎が燃え上がるのが確かに感じました。もし一人で見てたら映像の中のインド人達と同じく、雄叫び上げてました。そのくらい、心に訴えかけるものがありました。

RRRで真の男を知れ

 とにかく。
まだRRRを観ていない人は(観ていないのに此処まで読んで下さった方は感謝です)、その足で劇場に足を運びましょう。もう多分残りわずかの上映ですが、観れるのならば絶対に観た方が良いです!!!

 以上だ。

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