Y.

雑記帳。日記のようなものから始めるかもしれない。

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最近の記事

星に願いを、なんて

七夕は秋の季語だ。 駅の改札口を出て、ちらほらと七夕飾りを見た。 個人的には陰暦の七夕の方が、時節とマッチしてしっくりくるが、今年の夏は暑くてそれどころじゃない。 駅の構内を出ると、また七夕飾りが見えた。 家族が携帯に送ってくれた、七月の七夕祭りの写真を思い出す。 笹の葉が隠れてしまいそうなほど沢山下がった色とりどりの短冊たち。 幾数もの短冊が、風鈴の舌のごとく優雅に風に揺れている姿さえ見えてきそうだった。 子どもの頃は、ロマンティックに考えていた一年にしか会えない恋人

    • MUSIC=TRUE,FALSE

       懐かしい物を見つけた。  十数年前のウォークマンだ。使ったのはまだ学生の頃だった。受験期によく聴いていたのを一番に思い出す。  結構良い物なのに、何故聴かなくなったのかな。あ、充電器がない。  しばらく悩んだ挙句、懐かしさの余り充電器を購入した。充電後につけてみる。  うわ、まだ使える。画面は暗くてバッテリーの持ちは悪そうだけれど。  懐かしくて、昔のアルバムたちを見て思わずにやりとした。  記憶通りのジャケット、見たら存在を思い出したジャケットがずらり。  過去の私の世界

      • nutmeg

        ナツメグの存在を知ったのは おそらく小学生の頃 夕食のハンバーグを作る手伝いをしたとき 興味本位に少し嗅いでみて その独特なスパイスの香りに 顔を顰めて 香りを嗅いだことを後悔した こんなものを ハンバーグに入れる必要があるのかなと 内心とても訝しんだものだ 思わぬナツメグの活躍は パンプキンパイを作ったとき 最初はレシピ通りに作ろうと 省略をせずに ナツメグを入れた 焼きたてのパンプキンパイ 出来たてのおいしさと 完成の喜びのなかに ふわりとシナモンとナツメグの

        • 太陽の色

          小学生の、図画工作の時間だったと思う。 クレパスを持って、校舎から運動場に出て、私たちのクラスは外の絵を描いていた。 その授業時間の終わりだっただろうか。 みんなが運動場に集まって、小学校の担任のせんせいが私たちのクラスに聞いた。 「みんな、太陽の色は何色だと思う?」 赤、と思った。 みんなも「赤!」と元気よく返事をしていたと思う。 担任のせんせいは頷いた。 「そうだね。太陽の色は《赤》だよね」 だからこういう色で太陽は塗っちゃいけない、とせんせいはクラスの一人

        星に願いを、なんて

          2021/11/17 手記

          今夜の月は十三夜月。 今夜も本当にきれいで、うっとり。 でも多分、素直に「綺麗だな」と思える心の方が大切なのではないかな、と思ったりしてた。 月の光彩は日と時間によって違う。 今日は昨日より白っぽい。 あの月と光をずっと見ていたい。 いつでも思い出せるよう 瞼に刻みつける気持ちを超えて 心の中に埋め込みたいぐらい。 そして夜になる度に 胸の奥でずっと光ってくれないかなあ。 (ウルトラマンじゃないけど。) 月に行きたい気持ちも分かるけど 私は地上でずっと見上げていたいな

          2021/11/17 手記

          2021/11/14 秋晴れの昼下がり

          集中が切れ、ふ、と読みかけていた小説から顔を上げた。 窓から射し込む光に照らされた部屋は明るく広い。今日は近所の子たちも静かだ。 蒼穹の秋晴れの昼下がり。 なんて平和なんだろう。 平日の時間や行動の制約はなく、真新しい新刊の頁を捲るひととき。 舌がキャラメルポップコーンの味を思い出した。 世間には、一秒を惜しんで生きるひと、働くひとがたくさんいるだろう。 時間は戻らない。惜しむべき時間の貴重さの実感などまるで考えなかった、あまりに自由だった若い学生の頃。目の前にある時間を無碍

          2021/11/14 秋晴れの昼下がり

          秋分のプラットフォームにて。

          文庫本にはスピンがない。図書館から借りる単行本に慣れているせいで、そのことに気づく。適当な栞をいつも所持しているほど意識は高い読書家でもない。スーツのズボンのポケットに無造作に入れたレシートを挟んだ。意外と使い捨ての方が、無くなったときに焦らなくて済むので、意外と私には合っているのかもしれない。見映えはしないが。 誰もいないプラットフォーム。 夏には斜陽が刺すような時間帯でも、今はとっぷりと闇に囲まれて、涼しい秋風が肌を撫ぜ、髪を揺らす。疲れを癒すのは、その時々で違う。歌や音

          秋分のプラットフォームにて。

          始まり - 2021 September-

          書いてみよう、と思った。 長短に関わらず、頭の中にあるだけでは、たとえそれが完璧であっても、何かを何かに記すなり表現して形にしなければ、人に伝わらない。 それが下手でも、中途半端でも。 ある小説家は、書きたいのに読んでばかりいる人って好きじゃない、というようなことを仰っていた。 ぐさ、と心の中に刺さった。間違いなくそれは私のことだ。インプット、それっていつまで? と書いてあったことにも心にぐさぐさ、と刺さった。 自分は駄文でもいいからとにかく書いている、思い浮かんだら書いて

          始まり - 2021 September-