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【部下育成】ケーススタディから学ぼう 〜3年目以上の社員編〜


人事コンサルタントをやっていると、よく経営者や管理職層の方から「部下の育成でこんな時どうしたらいいの?」とお悩みを聞くことがあります。

今回は3年目以上の社員の人材マネジメントに関するお悩みを実際のケースから対策方法を考えていきたいと思います!いつもよりもケースも多く、一問一答形式に近いかたちで解説しますので、実際のシーンを想定しながらお読み頂けますと幸いです。

ケース① 毎月目標が未達に終わってしまっている部下

チーム会議等の場面で、目標進捗を確認したところ、目標との乖離幅が大きい。本人へネクストアクションを確認したり、今月の現実的な着地見込を確認するもい、結果的に有言実行されず、毎月目標未達に終わってしまっている部下への対応

ケース① 対処法

⇒ まず本人へ、過去の実績結果の推移や事実をしっかりと認識させることが必要です。上記のケースの場合、楽観的な思考の部下であるケースが多く、数字という事実を把握せずに、「来月は大丈夫」という楽観視から達成見込精度が低いことを指摘する等のコミュニケーションが必要です。

⇒ 本人へ目標に対する「計画の精度が低い」理由を考えさせる。上司から一方的に課題指摘するだけでは、あまり効果がありません。何が問題であるのか、本人に考えさせるような「問い」、今後同じことを繰り返さないようにする仕掛けを上司も一緒に考えてあげるスタンスも大切です。

⇒ 今回のケースの一番の問題は、「物事を楽観視して捉える思考の癖」があることです。本人へその自覚があるのか否か、なぜ楽観的に考えてしますのか、万が一うまくいかなかった場合にどのように対処するのか、といったリスク回避策まで思考の範囲が及んでいないケースが多く見られます。本人の中で「万が一・・・」が想定できない場合は、上司がその可能性を示唆するなど、考えが表層部分で留まっていることを伝えて、問題を深掘りしながら考える思考力を鍛えてあげることに問題解決の糸口があります。

⇒ 安易な見通しを立てているで、結果目標未達に終わってしまう。そのことが繰り返されることで、周囲からの信頼を失ってしまう怖さを伝えてあげる。課題が生じることで、影響の及ぼす範囲がどこまでなのか、社内メンバー、お客様など関係者への影響範囲や課題の重要性を認識してもらうことも、本人任せでは解決しないケースが多いため、上司から欠けている視点を補完してあげる要素も必要となってきます。

ケース② 業績目標は毎月達成しているが、アドバイスを素直に聞き入れることができない部下

先輩から引き継いだ優良顧客を担当しているため、業績目標数字は毎月達成している。一方で本人がそのことに自信過剰になっており、上司からの忠告やアドバイスを素直に聞き入れない部下への対応

ケース② 対処法

⇒ 目標達成できている理由を質問して考えさせる。うまくいっている理由(成功要因)は意外と考えられていないというケースが多いです。「勝って兜の尾を締める」ということわざもありますが、物事がうまくいっているときは「油断」が生じやすいので、成功要因を振り返ることが肝心です。

⇒ 上記の振り返りですが、うまくいっている理由が本人起因しているのか、それとも環境要因・本人以外が起因なのか、上司から客観的な視点でフィードバックしてあげることも大切です。本人起因でうまくいっている部分は承認・賞賛する。それ以外の要素が起因している場合、そのことに本人の自覚がない場合、先輩からの優良顧客によって、現時点で恩恵にあやかっているだけにすぎないことを厳しく律することも重要です。

⇒ 顧客担当引継ぎしても、自分の実力が身についていることが大切であると目標設定をしてあげる。この視点も大切です。再現性のあるやり方が身についているのか、状況や環境が異なっても成果が上げられるだけの実力が身についているのか、本人が気づいていない成長課題に触れながら目標設定してあげる。

ケース③ 仕事の能力は高いが、チームや組織の仕事を引き受ける積極性が見られない部下

与えられた仕事に対しては能力も高く、日頃から期待に応えてくれるが、指示されないと動けないなど、自分からチームの仕事を引き受ける等の積極性が見られない部下への対応

ケース③ 対処法

⇒ 与えられた業務に対するパフォーマンスの高さは評価しているとフィードバックする。まずは承認・賞賛してあげるべきことを伝えます。最初の起点は行動強化のフィードバックからしてあげると良いでしょう。

⇒ 今後、プレイヤーではなくマネージャーとして組織をマネジメントする立場になった場合に、今の自分に必要なことは何かを本人へ考えさせる。言われたことをきちんと対応するだけでは、不十分であり、自ら能動的に仕事を作り出す、言われる前に提案してみるなど、仕事の能力以外のスタンス面、取り組み姿勢に関する課題を伝えます。

⇒ 上司からどのような仕事の要求水準を期待しているのかを明示します。指示された仕事を確実にこなすだけでなく、自ら課題を設定して、自ら行動できる人財のレベルに育って欲しいという期待値を伝える。

ケース④ 仕事の能力は高いが、新たな仕事が増えることを拒んでしまう部下

業務知識も長けており、実行力も高い優秀なスタッフに「新しい仕事を任せたい」と伝えたところ、「これ以上仕事量が増えると残業が増えるし、業務品質も落としたくないので無理です」と拒んでいる部下への対応

ケース④ 対処法

⇒ まずは承認・賞賛です。プレイヤーとしては十分に活躍してくれていることに対する感謝や労いを伝えます。また業務知識が豊富なこと、伝えたことの実行力も高く、要求したことにしっかりと応えてくれている点を評価します。

⇒ 今後、プレイヤーではなくマネージャーとして組織をマネジメントする立場になった場合に今の自分に必要なことは何かを考えさせる。新しい仕事を任せたい理由、今後どのような期待をしているのか、どんな成長をして欲しいのか期待値を含めて、新しい仕事を依頼していることを丁寧に伝えます。

⇒ 上記の部下のケースの場合、石橋を叩いて渡るタイプ。確実性や堅実なことを重視するタイプによく見受けれます。本人が仕事の責任感が高いため、安請け負するのではなくしっかりと現実的なリソースや実現可能性を検討した上で、できるできないの判断をしてくれることは評価すべきことなのですが、部下の中期的な成長を考えた場合に、慣れ親しんだ仕事だけしていると、コンフォートゾーンに留まってしまい、成長がストレッチしづらくなることを示唆する必要があります。業務委託社員など、契約上で業務内容が固定化されているケースは当てはまらない場合もありますが、正社員としてキャリアを歩んでいる方、特に管理職一歩手間の中堅社員によく見受けられるケースです。上司が甘やかしてしまうことで、本来はもっと成長できたはずの部下が仕事の範囲を狭め過ぎてしまい、ストレッチアサイン候補として、名前が上がりにくくなってしまうことにも繋がりかねません。

⇒ このケースの場合、今現在生じている問題点は一見するとなさそうですが、実は中期的な視点に立ち、人材育成の観点で、さまざまな会社のポストやポジションを担える選抜候補としてなり得るか否かを考えると、将来発生するであろう課題を上司側が先回りして考えてあげるといった、ちょっと高度なアプローチが必要となります。組織・人の成長に感度が高い上司の方の場合は、こういった場面で部下に対する次の成長課題を与え続け、良い意味で甘やかさない教育ポリシーをもっている方が多く見受けれます。

1年目社員編から3年目社員編まで、さまざま育成課題と対処法を解説してきました。上司の方の部下育成マネジメントの一助になれば幸いです。最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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