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「シン・エヴァンゲリオン」初日感想(ネタバレなし?)

ひとことでいえば「やさしい映画」でした。

特に「Q」でいろいろありすぎて大変でしたが終ってみればこれでよし!といった内容。情報が多すぎて相変わらず理解できない点も多々ありますが、物語のとしては間違いない出来だったと思います。

とりあえず気持ちを吐き出しておきたいので以下よろしくお願いします。

なお「シン・エヴァンゲリオン」については自分なりにある程度、テーマに基づいた物語の希望を昨日メモしておきましたので自分的に参考にしつつ感想を書いていきたいと思います。

旧エヴァからの「コミュニケーション」の先を描く物語(WhyからHowへ)

上記の前日のメモにも書きましたが、私はエヴァンゲリオンのテーマは「コミュニケーション」だと思っています。

「人と人とは基本的にわかりあえない」という気づき(理解)
が旧エヴァまでの結論とするならば、
新劇場版、特に「破」以降はわかりあえないこそ
「少しずつでも対話で理解を広げることの大切さ」(表現)
「ともに助け合い、協働する」(行動)
という段階を経て
「ポジティブに日常を生きる」(幸福)
という物語の結末を考えていました。

その事自体「シン」でもおおむねそのような方向性で描かれており、ある程度、事前に想定していた通りでしたので本作での満足感はありました。そういったコミュニケーションの成長がこれまでになく丁寧に描かれており冒頭で申し上げた通り「やさしい映画」であると感じました。

キャラクター一人ひとりの描写もやさしい

でてくるキャラクターの物語も皆やさしい。一人ひとりが皆自分の課題に向き合い乗り越えていく納得がある。そこを丁寧に描いてくれたことも大変ありがたいです。(ネタバレ無しなのでこのへんで)

「エヴァンゲリオンが終ってしまうこと」への配慮

しかし、それだけでなくもう一つの意味でも「やさしい映画」だと感じる点がありました。

それは、今作の作り手側が見せる『「エヴァンゲリオン」を終わらせることについての真摯な対応』です。つまり「エヴァンゲリオンが終ってよかったな」と誰からもいってもらえるような映画になることがこの映画のひとつのミッションとして強く意識されており、そこがもう一つの意味で「やさしさ映画」であったのではないかと思います。一部のわかってるやつがわかればいいんだよ!的なものは本作にはないかと思います。(エヴァファンに対するやさしさ?)

なぜそこまで親切に本作はつくられたのか? それは、「なぜ、あえて新劇場版を作ったのか?」という意志が関係しているかもしれません。私が思うに旧エヴァ、特に旧劇場版で一度終わったエヴァンゲリオンというも作品は、内容自体としてはある意味きれいに完結している作品ではありますが、一方でその挑戦的な語り口により一部のひとには反発を招くような面はあったかと思います。もちろん、作り手としてはそういったナイーブさを打破すること自体を狙いだったと思いますが、伝えるべき内容は同じだとしても、伝え方によって、受けとり方が様々であるという意識があったのかという点においては疑問は残ります。既にその時点でエヴァが作り手のものだけでなく受け手のものとしても大きく育っていたことについても誤算もあったのではないでしょうか。エヴァンゲリオンが「コミュニケーション」をテーマと掲げつつ、シンジくん(視聴者)に「大人になれ」というならば「エヴァンゲリオンを終えること」というコミュニケーションの表現自体についてもっと大人に相応しい語り口があるはずだった、という課題が作り手に残ったのではないかと考えられます。

ある意味、受け手の言葉を想像した「聞く」というコミュニケーションの不足があったという心残りがあり、それが「新劇場版」を作る上で強く意識されていたのではないかと感じました。

本作は作り手が一方的に発信しているようですが、水面下でみえない受け手との「対話」がされた上での表現がされているように思います。(角が丸くなったとも言える)あたかも「エヴァンゲリオン」という名のコミュニケーションが成熟しておとなになったとも言えるかと思います。

そういった点が本作全体のやさしさにつながっていると思います。

【私】へ宛てた長い長い手紙

今作上映時間がかなり長いため、実際、お尻が痛くなったりはしましたが、本作はそれだけあらゆるファンからの「要望」に対してそれぞれ膨大な「答え」を返していっているのが特徴です。ある意味、真摯であるがゆえに長くなっているといった印象です。しかしそれは悪い感じではありませんでした。これだけ膨大な情報のある作品なため、一人ひとりがエヴァに求めるものは違います。しかし、そのどれもに対してまるで【私】(個別のファン)に対して長い長い手紙を通じて一つひとつ親切に答えを返してくれているところも本作の「やさしい映画」の部分だと感じました。これは今まで以上に作り手と受け手側がコミュニケーションが取れているような作りになっているということ嬉しいところです。(特に「Q」のあとなのでありがたい)

「さらば、全てのエヴァンゲリオン」→希望

このキャッチコピーは秀逸でした。もちろんこのコピーコンセプトに焦点を絞って物語や演出を緻密に積み上げた結果だと思います。
エンディング後はほんの少しの寂しさはあるものの、不思議と喪失感はありませんでした。それはエヴァンゲリオンがなくなった空白は、新たなクリエイティブが生まれていく余白として希望の形で描かれていたからだと思います。エヴァという超巨大コンテンツの喪失が呪縛のように残るのではなく、きれいに消え去っていき、あとのコンテンツ業界についても希望を残す「やさしい映画」ともいえます。

まとめ

とりあえず初見の感触のようなものをネタバレなしで書いたので、わけのわからない文章になっているかと思いますが、とりあえず他人の感想を見る前に一旦気持ちを吐き出せてよかったです。気が向いたらネタバレありの感想や、2回目の視聴もできたらよいなと思っています。
それでは。

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