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妊孕性温存の話を聞きに行く ~とあるOLの乳がん日記㊼

47.

「おっさん」さんを購入した次の日になって、今度は予定通り、妊孕性温存の話を聞きに行くために、紹介してもらった病院に向かった。

昨日の告知でのダメージは、相変わらず引きずっていて、あまり眠れないし、お腹も空かないし、ぽんこつになっていたので、姉が一緒に来てくれることになった。

病院の場所は、通っている病院と同じ駅で、最初にガン告知をされたときに先生が提示してくれた4つの病院のうちの1つだった。
ちなみに、頭がうまく働いていなかったので、最初場所を間違えそうになった。

たどり着いた病院は、とても大きくて、ホテルみたいに綺麗で、さすが高そうなところだなと思った。
土曜日だったけれど、1階には人が結構いて、でも私が向かったフロアには誰もいなくて、ここであってるのかちょっと不安になった。

しばらくすると診察室に呼ばれていって、先生に妊孕性温存に関する詳しい説明と具体的な話を聞かせてもらった。
昨日に負けず劣らず、結構な情報量で、私の頭はとっくにキャパオーバーしていたので、先生は私に話しても無駄だと思ったのか、途中から姉に話しかけていた。

わかったことは、とにかく思ったより大変そうなことと、あと、卵子をとるために女性ホルモンを注射する必要があって、それは女性ホルモンをエサにしている私のガンにとっては、再発リスクを上げることに繋がるらしいということだった。

私はここに来るまで、多少お金がかかったとしても、子供を持つための可能性は残しておいたほうがよくて、なんだかんだ、妊孕性温存をしようと思っていたけれど、再発リスクを上げるという話に、怯んでしまって、迷ってしまった。

先生は、もし妊孕性温存をするのなら、また来るようにと言ったけれど、ここに話を聞きに来て、実際に受ける人は半分くらいですよ、と私の心を見透かしたように言った。


昨日みたいに落ち込みながら診察室を出て、当たり前だけれど心が上がるような新情報はなかったので、ずぅんと沈んだ気持ちになっていた。
少し待合室で待っているようにと言われたので待っていたら看護師さんが出てきて、お会計時の注意みたいなのを伝えられた。

看護師さんは、ウチの病院、ちょっと高いですよね、すみません、と申し訳なさそうな、少し怒ったような、茶化すような感じで話してくれて、少し笑うことができた。
ずっと暗い気持ちだったけれど、こんなちょっとしたことでも思いやりみたいなものに触れると、ぼろぼろの心にはとても効いて、いい看護師さんだったねと、姉と話しながら帰路についた。

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