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レンタルした「おっさん」さんに、悩みを聞いてもらう ~とあるOLの乳がん日記【54】

54.

店の入り口が見える場所に座って、いよいよ「おっさん」さんとの対面だった。
ここにきてやっと緊張してきて、どういう人だろう、変な人じゃないといいなと思った。

ちなみに人が少ない店をと思って入ったお店だったけれど、周りを見回すと、人が少ないどころか、誰もいなくて、ここで泣きだしたら逆に目立ちそうだなと思った。

しばらくメニューを見ながら、「おっさん」さんを待っていたものの、「おっさん」さんはなかなか来なかった。
おかしいなと思っていたら、「おっさん」さんから、どこにいますか?とメールが来ていた。どうやら店の前でずっと立っていたみたいだった。
中にいるので入ってきてください、と返事をしたら、少しして男の人が入ってきた。

現れた「おっさん」さんは、サイトに載っていたワイシャツにジャケット姿ではなくて、ラフな格好にリュックといった出で立ちだった。
でもそれ以外は、写真のままだったので、婚活とかの写真だと、写真とイメージがちょっと違うということがよくあるけど、全然そんなこともなくて、ちょっと感動した。

「おっさん」さんが来て、人が揃ったことを確認したお店の人がメニューを聞きに来た。
私はここのところ全然食欲がなかったけれど、何か頼まないと、「おっさん」さんも食べづらいだろうなと思って、食べられそうなものを選んだら、「おっさん」さんも、同じものを注文した。

ちなみに、「おっさん」さんに支払う代金は、時間単価×2時間分、交通費、食事代だけなので、「おっさん」さんからしたら、この仕事はボランティアみたいなものなんだろうなと思った。
そういえば、お店の人から見たら、私たちはどういう関係に見えるだろうと少し思ったけれど、なんとなくお店の店長と、面接希望者みたいな感じかなと思った。

そんなわけで、2時間はわりとあっという間だった。
「おっさん」さんは、私が今悩んでいることの内容を聞くと、色々とアドバイスをくれたので、それをノートに片っ端からメモした。
自分のことを話すと条件反射のように涙が出たけれど、聞くと「おっさん」さんは本業もカウンセラーだったので、つねに冷静に対処してくれた。

別れる時間になって、レストランフロアのエレベーター近くで「おっさん」さんに、今日はありがとうございましたと感謝の気持ちを伝えて、お金を渡した。
「おっさん」さんはまた何かあったら、いつでも連絡くださいねと言ってくれたけれど、私が「おっさん」さんを呼ぶときは、きっと一人では耐えきれないくらい辛いことが起きているときだと思うので、そういう辛いことはもう起きないでほしいなと思った。

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