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呉田軽穂 SONG-BOOK with 松田聖子+


 初期のトーキー映画における大スター ”グレダ・ガルボ” の名前から採られた呉田軽穂くれだかるほは、松任谷由実さんがソングライターとして曲を提供する際に使われるペンネームです。

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(Greta Garbo 1905.9.18 - 1990.4.15)


 そして呉田軽穂さんの曲で思い出すのは、やっぱり80年代を代表するアイドル、松田聖子さんに提供された曲たちなんですよね。

 今回は、松田聖子さんの黄金期を支えたソングライターの一人、呉田軽穂さんについて "note" していきたいと思います。


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◎松田聖子さんへの12の提供曲

 松田聖子さんって、ほんと、ザ・アイドルだったんですよね~
 その強固なアイドル像があったからこそ、他のアイドルたちは別路線で進化していったのは間違いないと思うのです。
 そういう意味で、80年代アイドルの隆盛は、松田聖子さんの存在無くして語れないのです。

 そんな松田聖子さんには、多くのソングライターが関係しているので、いろんな角度から記事が書けるのですが、呉田軽穂さんとのコンビは特に印象的かもしれません。
 あの80年代、松田聖子さんに提供された呉田軽穂さんの曲は、すべて作詞:松本隆さん、また、特記があるものを除いて編曲:松任谷正隆さんのトリオで制作されています。
 アルバム用に作られた曲はなく、基本、シングル及びそのカップリング曲ばかりで、全部で12曲だけなのです。
 今回は、この12曲を一挙に紹介していきたいと思います。

(80年代の12の提供曲リスト)
「赤いスイートピー」8th
「制服」(8thカップリング)
「渚のバルコニー」9th
「レモネードの夏」(9thカップリング)
「小麦色のマーメイド」10th
「マドラス・チェックの恋人」(10thカップリング)
「秘密の花園」12th
「瞳はダイアモンド」15th(両A面)
「蒼いフォトグラフ」15th(両A面)
「Rock'n Rouge」16th
「ボン・ボヤージュ」(16thカップリング)
「時間の国のアリス」17th

 


「赤いスイートピー」8th 1982年1月

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 やっぱり、呉田軽穂さんの聖子さんへの提供曲というと、この曲がまっ先に思い浮かびますね。
 松任谷由実さん自身、「守ってあげたい」が大ヒットした後だったので、呉田軽穂さんってユーミンなんだってことが話題になりました。

「制服」(8th c/w)

 そして、シングル「赤いスイートピー」のB面だったのが、卒業ソングの名曲としても名高い「制服」なんですが、名曲として認知されていったのは、ちょっと後だった記憶があります。
 あれかな、「卒業」って歌が集中してリリースされた時期じゃなかったですかね…



「渚のバルコニー」9th 1982年4月

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 カラオケで歌うと、意外とAメロの低音部が苦しいんですよね~。
 でも、それを感じさせないとこが聖子さんのすごさなのです。

「レモネードの夏」(9th c/w)

 編曲:新川博

  いや~、呉田軽穂さんのシングルはB面も名曲ぞろいなんですよね。
 A面に負けず劣らず、夏のフレッシュさを感じさせるんです。



「小麦色のマーメイド」10th  1982年7月

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 初期の聖子さんのシングルは、ソングライターを一定期間、固定してた感じなのですが、呉田軽穂さんの第3弾シングルがこの曲です。
 しっとりした曲なんで、”間” や "溜め" のある歌唱が特徴ですよね。
 前作の「渚のバルコニー」といい、この曲といい、呉田軽穂さんの提供曲は、けっこう難しいと思うんですよね。
 「♫ 好きよ、嫌いよ ♪」と、揺れる感じの松本隆さんの歌詞も特徴的です。

「マドラス・チェックの恋人」(10th c/w)

 これも可愛い曲なんですよね~
 こういうテンポの時は聖子さんの可愛さが際立つ感じです。
 でも、意外と歌詞は大人の感じなんです。



「秘密の花園」12th 1983年2月

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 何かと ”ぶりっこ” と揶揄されていた松田聖子さんなんですが、当時、中学生だった自分も、そのあざとい感じには抵抗があったんです。
 ただ、この「秘密の花園」を歌番組で見て、可愛いものは可愛いんだと、なんか自分の中で突き抜けたものを感じさせてくれたんですよね。

 松任谷正隆さんのファンタジーなアレンジで、イントロ部分から惹き込まれちゃうんです。
 その後、ちょっとシリアスになって「♫ まじめに キスしていいの~なんて」と歌った後に、振りを付けながら「♫ ムードを知らない人、ぁあ~ あ~せ~るわッ♪」と、可愛いく歌う聖子さんは、まさに "無敵" だと思いました。



「瞳はダイアモンド」15th  1983年10月

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 実は、松田聖子さんの呉田軽穂ソングの中で、自分が一番好きなのは、この失恋ソングである「瞳はダイアモンド」なんです。
 こんな直球の失恋ソングは、それまで無かったように思うんですけど、このシングルで、聖子さんが一気に大人の女性になったような気がしたんです。
 曲もさることながら、松本隆さんの歌詞もいいです。
 Aメロ冒頭の「♫ 映画色の街~」から松本ワールドなんですが、やっぱりサビの歌詞が大好きなのです。

ああ 泣かないで MEMORIES
幾千粒の雨の矢たち 見上げながら 
うるんだ瞳はダイアモンド

「蒼いフォトグラフ」(15th 両A面シングル)

 両A面だったのですが、失恋ソングだった「瞳はダイアモンド」に対して、失恋の思い出を懐かしむような「蒼いフォトグラフ」は、やっぱりセットなんですよね~。



「Rock'n Rouge」16th 1984年2月

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 「赤いスイートピー」といい、「秘密の花園」といい、呉田軽穂ソングは春という季節と相性がいいんでしょうね。
 この春めく「Rock'n Rouge」も、聖子さんの最強ソングのひとつだと思います。
 サビの「♫ Kissはいやといっても反対の意味よ~♪」も、間違いなく "無敵" なのです。

「ボン・ボヤージュ」(16th c/w)

 「マドラス・チェックの恋人」もそうなんですが、こういうテンポの時の聖子さんの ”溜め” は、ほんと魅力的なのです。



「時間の国のアリス」17th 1984年5月

 編曲:大村雅朗

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 最後は、40周年コンサートでの様子を貼ってるのですが、やっぱ、やっぱですね、… 聖子さんの持つファンタジーは変わらないですね。


 2015年になって、映画主題歌の「永遠のもっと果てまで」という曲が、久しぶりの呉田軽穂ソングとしてリリースされたのは、ちょっと驚きでしたね。
 やっぱ、80年代の12曲が持つ輝きには届かない感じなのですが、懐かしくて仕方なかったのです。



◎その他の呉田軽穂ソング

 もちろん、松田聖子さんの後にも、呉田軽穂名義で提供した曲もあるんで、いくつか紹介しておきます。


薬師丸ひろ子「Woman "Wの悲劇"より」1984年10月

作詞: 松本隆/作曲: 呉田軽穂/編曲: 松任谷正隆

 ユーミンがセルフカバーしている数少ない呉田軽穂ソングのひとつです。


田原俊彦「銀河の神話」1985年2月

作詞:吉田美奈子/作曲:呉田軽穂/編曲:松任谷正隆

 トシちゃんへの提供曲もあったんですね~
 これも、セルフカバーでも聴いてみたい曲です。


山瀬まみ「メロンのためいき」1986年3月

作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂/編曲:松任谷正隆

 山瀬まみさんのデビューシングルです。


 そして、久しぶりの松本隆呉田軽穂コンビだった、綾瀬はるかさんの「マーガレット」は、80年代を思い出させて、なんか懐かしい感じだったりするんです。

綾瀬はるか「マーガレット」2010年8月

作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂/編曲:亀田誠治


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 呉田軽穂さんについて、松田聖子さんへの曲を中心に紹介してきましたが、数は少ないんですが、聖子さん以前にも、呉田軽穂名義で提供した曲があるんです。

 ブレバタのこの曲も、そんな呉田軽穂ソングのひとつなのです。

Bread & Butter「あの頃のまま」1979年7月

作詞・曲:呉田軽穂/編曲:細野晴臣・松任谷正隆

 これも、ユーミンがセルフカバーしている数少ない呉田軽穂ソングなんですが、やっぱ名曲なんです。はい。




(ユーミン関係 note)

(聖子さん関連 note)


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