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都会の受験生は、「ある点では絶対的に不利」であるが、そのことを理解されることはない不思議【誰もが「あたりまえ」を疑わないという心理】

今回も、個別指導塾CASTDICEの動画から。

動画の内容そのものには、違和感はないのですが、地方の人間から言わせてもらうと、

地方の受験生は、大変お気の毒ですね・・・

という前提となっているように見えてしまうスタンスに強烈な違和感があります(笑)。

都会の受験生には、アドバンテージしかないというスタンスは、恐らく地方の受験生の実態をご存じないのでしょう。

というのも、そもそも都会と地方の受験生の比較において、都会の受験生の方に不利な点があるという前提で考えたことがないからこういうことになるのではと思っています。

お二人とも誠実な方だと私は理解しているので、人間は、「考えないことは考えないものだ」という当たり前のことを実感させられています。

今回は、都会の受験生の方が絶対的に不利である点をひとつ指摘しておきます。

それは、時間です。

上記の動画で指摘のある通り、優良な塾は都会(首都圏)に多いことは事実でしょう。
しかし、自宅、学校、塾の三拠点間を移動するためにかかる時間を考慮した形跡がない。それが一方的にな地方不利の視点となっているのかなと感じます。

時間という点では、地方に圧倒的なアドバンテージがあります。

地方で大学受験の実績のある高校は、そのエリアのトップ高にほぼ限られます。政令指定都市の福岡市およびその都市圏でも、公立高校の3番手以降の学校から九州大学への合格者は激減します。

その結果、地方の塾の立地は、そのトップ高の近くにあるというのが多い戦略です。福岡市では、公立御三家である修猷館高校の近くの西新地区、筑紫丘高校の近くの西鉄大橋駅地区に多く立地し、福岡高校から比較的近い交通至便である香椎地区に塾は密集します。
この3エリアは、進学実績のある私立高校からも近く、合理性が高い。

受験生の目線で言えば、学校からすぐに塾にアクセスでき、塾が閉まるまで自習室で勉強。それが終わると、自転車で帰宅するか、多少遠くても保護者のお迎えがあれば15分以内で帰宅という生徒が大半です。バスや電車で帰宅しても1時間近くかかるという例は稀です。

一方で、首都圏にお住まいの場合、仮に総武線沿線に自宅がある受験生が、それなりの時間をかけて開成高校に通い、代々木にある鉄緑会に通うケースの場合、待ち時間+移動時間だけであっても、地方との受験生との「時間格差」は少なく見積もっても1日あたり1時間の差は出るでしょう。もっとかかるのが都会の生活の常識かもしれません。

これを一週間に換算すれば、5~7時間程度となり、これは受験生としての平均的な1日分の学習時間(自学時間)に相当し、1ヶ月換算なら4~5日程度の差となり、雑に計算しても年間では1ヶ月半~2ヶ月の差を生み出します。

このロスタイムは、地方の人間の目線では結構大きいと思うのですが、それは考慮されない。

それは、都会の方にすれば、移動時間がそれだけかかるというのは、「あたりまえ」だからでしょう。
地方の目線では、それはありえない時間の無駄に見えます。

大学受験では、時間は貴重なものです。都会の受験は、そのリスクを負っているという自覚はあってもいいのではと思います。

あと、前に都会の受験のデメリットを↓で書いています。

逆に言えば、地方の受験は、きわめて不利な立場なんだと思う必要はないと思います。受験を構成する要素は、多岐にわたりますし、情報格差が事実であっても、それが決定的な差になっているわけではないことこそ、本当の真実ではと思います。

そもそも多少の有利不利はあるのは、受験に限らず人生ではあたりまえなので、それをどうマネジメントするかが大事だと思います。

情報格差についても、ちょっと言いたいこともありますが、別の機会で触れることがあれば記事にします。

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