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私たちがこの30数年で失ったものを問う(1)【globe・KEIKOさんのニュースから】

大分県臼杵市出身のglobe・KEIKOさんが久々に公の場で元気な姿を見せられたとのこと。

大病、そしてリハビリ。私生活でも厳しい試練を経て、元気な姿を私たちに見せてくださったことは本当に良かったと思います。

このニュースに接して、久しぶりにglobeの曲を聴きました。

なつかしさの感情が収まると、そこには、かつてあったものが、今はないという現実を見たように思います。

30数年前に、当たり前にあったもの。

それは、未来は、きっと明るいという希望ではと思います。

globeがデビューしたのは、1995年。バブル崩壊が1991年とされていますから、もう経済は下り坂だったものの、

まだあの頃は、未来は、今よりきっと良くなるだろうという希望があった。

アーティストは、時代の空気をよくも悪くも切り取っているものです。
globeのデビュー曲のこの『Feel Like dance』には、希望が詰まっていると言っていい。理屈じゃなく、今の若い人にも理解してもらえるでしょう。

今は、そんな気配は微塵もない。

未来は、今よりきっと悪くなっているというのが多くの人が共有している未来予想でしょう。

それは、音楽マーケットの側面からも明らかです。globeの最大のヒット曲『DEPARTURES』が生まれた1996年には、ミリオンセラーは、30曲近くありました。若者がCDを買って聴くだけの経済力があったのです。

そして、2022年はシングル・アルバムそれぞれわずか1つだけ。

音楽の楽しみ方が変化したとはいえ、私たちは、貧しくなり、音楽にお金を使えなくなったというのは、間違った理解ではないでしょう。

音楽産業のマーケットがしぼむことは、音楽文化の裾野が小さくなり、豊かな才能が花を開くことが難しくなるということです。

人生において、苦しい時、辛い時、心支えてくれる音楽を手にする機会を失うということは、単に経済的な損失だけはない。

真っ逆さまに奈落に落ちているこの国は、いろんなことを失っています。その中に、間違いなく音楽は含まれている。

このような社会でいいのだろうか。

そんな根源的な不安と危機感に包まれています。

でも、globeの曲を聴くと元気になる。何とか若い人に少しでも豊かな文化に接してもらえる社会を作りたい。

改めて微力ながらできることを頑張りたいと思いました。それが音楽の力、文化の力なのでしょう。




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