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受験業界「だから」蔓延する、「情弱ビジネス」【保護者に求められる情報リテラシー】

大学入試共通テスト、2日目ですね。初日は、混乱もなかったようですね。二日目は数学がありますから、文系の皆さんは特に不安も大きいかもしれませんが、ベストを尽くし頑張ってほしいと思っています。

今日はこの記事から。

受験業界にいると、昨今、このような記事の蔓延を実感します。
結論を言えば、これはかなりヤバい記事です。

ヤバい理由は、講談社というブランドを背にここまで大噓を大胆に書いてしまうことだろうと思います。さらにいうと、具体例には正しいことも書かれており、それなりの説得力を持たせている点も見逃せません。筆者の結論に合わせて現実を都合よく編集、加工している点においては、恐ろしい記事なのかもしれません。

この記事が大嘘だと言える根拠はシンプルです。受験形態の属性によって、学生が優秀かどうかはわかないからです。当たり前ですが、どのような形態の入試方法であっても、優秀な学生「だけ」を集めることは不可能です。大学関係者であれば、当然そのことは理解しているでしょう。

なので、記事冒頭の
「総合型選抜で入学する学生は、本当に優秀です。一般入試で入る学生より明らかに目的意識が高いですから。読解力や創造力も豊か。大学に合格することが目標でなく、『入学したらこの分野を専門的に学ぼう』という考えをしっかり持っています」

の私大関係者って実在するのでしょうか。記事の箔付けのためにゴースト関係者のコメントを出したのではと疑ってしまいます。

今、確かに受験の仕組みは動いていますが、こんなはっきりと優劣が付くのであれば、文科省の監視下にあるとはいえ、大学側はもっと総合型選抜入試の割合を増やせと騒いでしかるべきですし、そんなに素晴らしい制度であるのであれば、さっさと一般入試なんか廃止すればいいだけの話です。

確かにヤフーの記事はインパクトが勝負とはいうものの、これはあまりに酷くないでしょうか。

「小論文の内容も、明らかに難しくなっています。例えば以前なら、室町時代の宣教師フランシスコ・ザビエルについて『来日の目的を50字以内で答えなさい』というのが一般的でした。今は違います。・・・

上記記事より

この記事は、50字の記述が小論文だと思える程度の理解であることもあり、信憑性に疑問があることはあることはわかりやすい方なのかもしれません。

ただ、受験と普段関りのない生活を送っておられる方は、「そうなんだ!」と思ってしまう場合もあるかもしれませんね。

当たり前のことですが、
一般入試の受験者にも、総合型選抜入試で入る学生より明らかに目的意識が高く、読解力や創造力も豊かで、大学に合格することが目標でなく、『入学したらこの分野を専門的に学ぼう』という考えをしっかり持っている人はたくさんいます。

定員の配分を見ても、一般入試の方がその数は多いとも言えます。

そもそも総合型選抜入試が優秀な学生をセグメントできる機能があるわけがありません。それは一般入試であっても同じことです。そんなことも分からずに、こんな記事を書いたのかと思うと驚きでしかありません。ライター氏は何を目的にこのような記事を書いたのでしょうか。

ひとつ言えることは、大学入試の現実に疎い人を狙った可能性はあることです。このような記事が蔓延する背景には、昨今の「情弱ビジネス」とも言える「知らないことをいいことに、やりたい放題やる」ビジネスの蔓延があります。

某映像授業サービス業者を筆頭に、塾・予備校業界の「合格実績」の怪しさ・酷さが、まだそこまで知られていないことを考えると受験業界も例外ではなく、むしろ受験業界だからこそ蔓延しているとも言えます。

今の時代、「今だけ金だけ自分だけ」が機能していることがこのような劣化を生んでいるのでしょうが、
Honesty pays in the long run.
を信じて頑張っている業者もいます。

お子様が受験を考える学齢に達してこられた場合、できるだけ早くこのような業界の「ウソ」を見抜くリテラシーを身に着けていただきたいと切に願います。

というのも、いつの世も噓つきはなくなりません。さらにいうと、「騙された方が悪い」のが現実です。だれが本当のことを言っているのかを見抜く「眼力」は、一朝一夕には育たないことも理解しておいてください。先の記事のように巧妙化していることも見逃せないからです。





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