覚悟

家の犬がやばい。

〝やばい〟とは、何にでも使える万能な言葉だ。それであってとても曖昧。
でも私は今、その曖昧さに感情を託したい。
委ねたい。
きっと、〝何がやばいの?〟と、疑問に思うことであろう。でも、その確実な言葉を言ってしまえば、その状態がその言葉に確定されてしまうような気がしてこわいのだ。


思い浮かぶ言葉としては、
〝末期〟〝最期〟

もう、嫌だという思いしかない。


わんちゃんの存在がいなくなることはもちろん寂しい、悲しい。だけど、それ以上の不安がある。母だ。



私のわんちゃんは、私の家族の中心のような存在だ。私の家庭は特に仲が良いわけでもなく、悪いわけでもないが、うまく機能していないような感じはあった。それをうまく円滑材と言ってはなんだが、助けてくれたのはわんちゃんだ。


今のわんちゃんの状態と言えば、歩けない。
寝たきり。
母は家にいる時間はつきっきりで傍にいる。
朝も夜も。

仮定ではあるが、わんちゃんの存在がいなくなってしまうことで、
母がどうなってしまうのか、
それが私が一番おそれることだ。



以前母はうつ病にかかったことがあったが、
そのような母はもう二度と見たくない。
トイレに向かって泣き叫び、笑い、私が心配して声を掛けると〝なんでもないよ〟と言う。
誰かと話すのも辛いのであろう。私とは口を聞いてくれなかったが、家事全般はやってくれていた。手伝う余地もないくらい、完璧に。

その時私は中学生だった。たしか。
助けたくても力になれない自分にもどかしさを覚えた。


わんちゃんがいなくなってしまうのは嫌だ。

でも早かれ遅かれいずれ来る。

その後に起こること。

もしかしたら、母が落ち込んでしまうかもしれない。

その時、私は何ができるか、そして今、何ができるか、考えなければならない。

#エッセイ #家族

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すもも

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