美しい僕達へ
僕の体に潜む満ち満ちとした孤独は
君を前にしても一つも消えることなく
「寂しいからそばにいて」なんて台詞、うそだったんだと息を吐く
暗い部屋
部屋に溢れる月の寂しい光が僕らを揺らす
君の鎖骨に降りた静かな沈黙はまるで湖のようで、美しさに息を詰まらす。
君は美しい。形容するのがなんとも切なくなるほどに美しい。
僕の脳みそは君を目の前にしても憎たらしく回る。
美しいという記憶は確かに美しいものなのに、そこに存在していた美しさ故の苦しさは僕らみんな忘れてしまってありきたりな言語になってしまう。
全ての快楽には苦しさがあり、それも含めて美しがるのが芸術だ。
僕にはまだ君を芸術とするほどの勇気はなく、苦しさを保存するのを恐怖している。
美しい君へ
どうか僕の醜い部分も芸術にしてくれないか
君だってその穢れた心でぼくを美しいと思っているんだろう
君が僕を、僕が君を
芸術にできたら
忘れられる苦しさを 抱きしめてあげられたら
僕らは永遠に美しいまま孤独から解放されるんじゃないかな
そう、小さく泣いて、孤独なまま君を抱きしめた。
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