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ロッキンのユーミンは神様だった。

8月5日のロッキンジャパンフェスに参戦した。
ユーミンを観た。結果から言うと「良すぎた」の一言でしかなく、全ての五感を持って逝かれたためにしばらく、何を聞かれても

「………ユーミン……。」

としか話すことができなかった。今やっと通常ボキャブラリーが回復してきたのでここに感想を書く。



8月5日のロッキンで見た松任谷由実は、わたしの人生の中で網膜に写った景色で、一番美しく尊い光景だった。ベストオブ網膜de賞受賞。



16:45 音楽と爆発共にユーミンが登場した。カウボーイのような麦わら帽子とKISSのワッペンが付いた赤いチェックのシャツ、黒いショーパンで颯爽と現れたユーミン。初めて見たユーミンは64歳とは思えないほど完璧なプロポーションで、でもわたしが小学生の頃にMVとかで観たユーミンそのものだった。


ロッキンでも今までのライブでも、めちゃくちゃ好きなアーティストが満を持して登場したときはワクワクのメーターが振り切れテンションがブチ上がり

Fu〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!

と両手を上げて叫べたりするのだが、ユーミンを見たときは息が詰まり、身体が硬直し、涙が溢れてしまった。
その理由は2つあってまず一つには、本物と対峙したときの圧倒的なオーラと、綺麗さ、美しさというのに胸が溢れた。
もう一つはわたしの人生に後押しをしてくれていた存在であったことを身を以て感じたのだと思う。頭より先に体で感じたことだ。
わたしは物心ついたときから母の影響でユーミンを聴いて育ってきた。ライブに行ったこともないし、Twitterもフォローしていないし、最新の曲は分からない。


だけれども、恋を知らず歌詞の意味もよく分からない小学生が、なんだかよく分からないけど好きなユーミンのアルバムたちを繰り返し繰り返し細胞すみずみまで行き渡るように聴いて、それが中学生、高校生、大学生、社会人になると共に歌詞の意味が分かる恋をしたりして、自分の恋愛や人生を彩ってくれていた。ユーミンの曲は、わたしの人生の近くにずっといたのだということを爆速で思い出し、そこから号泣した。


ここからはセットリストと感想を書こう。

1曲目の「Sign of the time」が終わってユーミンが開口一番「こんにちは!!清水ミチコです!!!」と言ったのも粋だった。笑うところなのに泣いた。


2曲目は「Hello,My Friend」を歌った。もう駄目だった。めちゃ聴いた曲。嗚咽し、でもこの瞬間を目に焼き付けねばと思い顔を上げるも、ユーミンが視界に入ると胸がいっぱいになり、また嗚咽をするというスパイラルに陥った。なんとなくユーミンは、例えフェスでも自分の世界観を大切にしてコアな曲しかやらないような気がしていたので「今日はみなさんが知っている曲もたくさんやりたいと思いま〜す!」って言ってくれて驚いた。


3曲目は「守ってあげたい」だった。もうイントロで察する。反応は2曲目に同じ。なんであんなシンプルな歌詞なのに突き刺さるんだろう。「遠い夏 息をころし トンボを採った もう一度あんな気持ちで 夢をつかまえてね」って。。。美しい愛。尊い愛。フルで歌っているのにあっという間に終わってしまう。1曲1曲終わってしまうのがとても惜しかった。


4曲目は「やさしさに包まれたなら」ですよ。もうね〜〜〜〜イントロがね。「目に映る全てのことはメッセージ」って。今目の前でユーミンが歌っていること、本当になによりのメッセージですよ。生きていけますって。なんでこんな歌が作れるんだろう。。。


でMC。ユーミンからのご報告。なんと午前11時でユーミングッズが完売したそうな。流石すぎる。
原文ママではないが、ざっくりこんなことを言っていた。

フェスは初参戦で平成最後に滑り込んで参加した。平成はCDがすごく売れて、そして売れなくなった時代。平成になったとき、自分で言っちゃうけれど、メガヒットの火蓋をわたしが切って、CDが売れるようになった、他のアーティストにとってわたしはいわばライト兄弟のような存在だった。今日はもしかしたらお母さんと一緒に来ている人もいるかもしれないけれど、CDが売れていたときは、ここに来てくれた人たちのお母さん、お父さんが恋愛していた頃。きっとここにもわたしの歌のおかげで今いる人もいると思います。お母さんお父さんのお手伝いをしていました

いい意味で謙虚じゃなくてよかった。本当にまさにその通りでユーミンは母が恋愛していたときに聴いていて父と出会い、わたしが爆誕した。ユーミンのおかげでわたしはここに立てているのかもしれない。そのことに気づきまた泣く。


5曲目は「夕涼み」知らない曲だったが、MCの言葉の感動を引きずっていた。聴いているとその曲の世界にトリップして、人の遠い過去の恋の記憶に引っかかってくる。そよ風を感じる曲だった。


6曲目は「ひこうき雲」ユーミンのファーストアルバムの曲であり、映画風立ちぬの曲。この曲はユーミンの亡くなった同級生のことを歌った歌。悲しいけれど、曲調はやわらかくて優しくて「けれどしあわせ」の歌詞の部分がずっと心に残る曲。泣く。(n回目)


7曲目は「真夏の夜の夢」最初のパーカッションで全てを察する。イントロドンはお手の物だ。小学生の頃はこの曲が大好きで歌い方を真似して歌っていたが、なかなかど直球な内容の歌詞である。だんだん大人になるとその歌詞の意味が自分の実体験と重なって分かるようになるので、子どもの頃にユーミンを仕込んでおいて本当によかったと思う。というか、ユーミンの曲を仕込んでいたから大人になって自然と恋愛をするようになったのかも。ユーミンがセクシーに踊りながら歌っていた。


またMCがあって、メンバー紹介。ユーミンは一人ずつ丁寧に紹介してくれた。ここまでスクリーンに映し出される美男美女おじさまたちが、タダ者ではないことは予想が付いたが、特におじさまたちがすごかった。ギターがはっぴいえんどの鈴木茂様。ギターの演奏が素晴らしかったし、松本隆氏や大瀧詠一氏とともに活動した仲間をここで見ることができるなんてと感動した。そしてピアノは松任谷正隆氏。ユーミンのダーリンである。中央フリーウェイをデートで走ったりして、職場結婚したんだって。中央フリーウェイも名曲だよな。。。メンバーとの出会いや馴れ初めまで丁寧に教えてくれた。最強の布陣でユーミンが聴けて本当に嬉しかった。


8曲目は「春よ来い」メンバー紹介を受けて改めてユーミン以外のメンバーの演奏を見ると本当に素晴らしい。そして曲ごとにガラッと雰囲気が変わる。お客さんの心も布団をひっくり返すようにガラッと変える。


そしてラストは「卒業写真」。ここまででやっと涙が落ち着いてユーミンを目に焼き付けることができた。きっと母世代の人たちに届けたのだろうと思う。わたしはこの曲を心から噛み締められるようになるには、もう何十年か必要かもしれない。これからも体内に仕込まれたユーミンの曲が、年齢を重ねることである日タイムカプセルみたいにポンと開く瞬間に出会えることが嬉しかった。生きるのが楽しみになった。


パフォーマンスしてくれた45分間本当にあっという間で、ユーミンは頭の先から足元までセクシーでカッコ良く、チャーミングで明るくパワフルだった。こんな女性になりたいと思った。謙虚すぎず愛があって自分で確実に積み重ねてきたという自負がある女性に。
ユーミンの曲の全てが心のすみずみまで突き刺さり、涙が止まらなかった。神様だった。今まで生きてこられて本当に本当に本当によかった。


ユーミンを聴いている間、曲を教えてくれた母のことを思っていた。母はユーミンが大好きだが体力的にはコンサートやフェスに行ったりが難しい。だからこの表現は不適切なのだけれど、遺影を持ってきて一緒に聴いているような気持ちで見ていた。まだ死んでないけど。全然生きてるけど。そのことを母に話したらめちゃくちゃ笑って、「わたしも麟さんがユーミン観に行くって聞いたとき、遺志を継いでくれたんだなという気持ちになったわ!」と話していた。考えることが同じで笑った。全然生きてるけど。全然生きよーねまだまだ。


本当に自分の今までの人生が凝縮されたような45分間の感動は、生きてきて今まで一番の思い出。
ユーミンを教えてくれた母と、ロッキンに連れてきてくれたマイダーリンには本当に感謝である。

最後にユーミンのTwitterのロッキンの写真でこのnoteを終える。
このキラキラした気持ちが風化しないよう文章にできて本当によかった。


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