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経営と従業員で在宅勤務という働き方の評価が違うのではないだろうか

テレワーク、中でも在宅勤務の利用が2020年、大幅に増加しただろう。

経営・従業員の双方で「少なくとも一定のレベルでは使える手応え」を感じたのではないだろうか。
例えば、店舗での接客業などは、難しいかもしれないが、台風などの天災時に無理に出社しなくても勤務できる・勤務してもらう事ができるという実感を得ている人は多いと思う。

そして従業員側では、就社の条件に「テレワークや在宅勤務の在り方」を含めた人も増加しているのではないだろうか。(転職活動という行動ベースまでは表面化していないかもしれないが、検討ベースではかなり増えているのではないだろうか?)

一方、在宅勤務を継続する中で、在宅勤務を「日常のスタンダード」にしようとする企業は、従業員の希望と比較すれば多くないと思われる。(現実として多くないからこそ、テレワークや在宅勤務が就社の条件、選択の条件になりえるのだろう。)

今回は、従業員側の希望に対して経営側が在宅勤務を「日常のスタンダード」にしない理由を考えてみた。

生産性は落ちたが、テレワークは継続したい

公益財団法人日本生産性本部が行ったアンケート調査によると、「自宅での勤務で効率が上がったか?」「自宅での勤務に満足しているか?」というアンケートを実施したところ、「やや」「どちらかと」まで含めると約6割が「効率ダウン」約6割が「満足」しているという結果が示された。

この結果から在宅勤務を経営、従業員ではそれぞれ次のように読み取るのではないだろうか?(在宅勤務でも、ある程度業務実施可能である事が前提)

経営側:「できるけど効率が落ちる。だから出社の方が良いのでは?」
従業員側:「できるし、自分の時間効率が良くなる在宅勤務の方が良いのでは?」

これは経営側としては非常に悩ましい結果ではないだろうか?
効率が上がる × 満足 → 積極的に活用
効率が下がる × 不満足 → 消極的活用、活用しない
と結論付けできるのだが、

効率が下がる × 満足 となると、株主から経営を任されている経営側としては、「積極的に活用しよう」と結論づけるのは、難しいと思う。

できるの解釈、評価に経営と従業員に差があるように感じる。

判断に悩ましい企業にとっての在宅勤務の「できる」とは?

前段に記載した通り、効率が上がり従業員満足が高ければ悩む必要はない。また、仮に今が効率が下がる、不満足という状態でも対策を講じることにより解消が見込まれるのであれば、費用対効果を考慮の上で積極的な活用に踏み出すだろう。

では判断に悩ましい企業にとって在宅勤務の「できる」効率水準はどのようなものなのだろうか?

想像の域を出ないが、10だったものが5以下の半減するような状況であれば、壊滅的な状況になるだろうから、消極的活用や活用しないという判断がされるだろう。
もう少し上で壊滅的な状況ではないが効率ダウンしていると「空気的に感じるレベル」が悩ましい企業の効率水準であり、数字にするなら「10が 7とか8 になっている」水準ではないだろうか。(これよりも下だと空気ではなく結果に出てそうだし、9に近いと認識しにくいのではないか?)

それでは、この状況を受けて経営は、「効率が下がる」から「在宅勤務を積極的活用をしない」と結論付けるのがベターなのだろうか?

私はそうではないと考える。

判断基準は「業務効率」や「個人の時間効率」ではなくて【企業レベルでの効率】ではないか

ここまで効率の話が出てきたが、恐らくこの効率は、「個人」の業務効率の話だ。そして同様に満足度も「個人」の話だろう。

個人の業務効率も大事だが、企業が在宅勤務制度を活用をするか否かは、「企業レベルでの効率」により判断すべきだと考える。

個人の業務効率が10から7,8になれば、単純に考えれば企業レベルでの効率も下がるはず。一方「在宅勤務を行わなければ企業レベルの効率は10のまま」となるだろう。

この想定から「企業レベルの効率で判断すれば在宅勤務を積極的に活用すべきではない。」
となりそうだが、ここで立ち止まりたい。
果たして本当に「在宅勤務を行わなければ企業レベルの効率は10のまま」なのだろうか?

確かに短期的には10に近い水準だろう。
しかし、従業員としては不満足が一定数発生する。この不満足について在宅勤務がクリティカルな事項なのかにもよるが、クリティカルな事項であった場合、エンゲージメントの低下が発生するだろう。(個人的には、就社の条件とする人も増えているとすればクリティカルな事項なのだと思う。)

エンゲージメントが低下すれば業務効率が下がる、あるいは最悪の場合、離職もありえるのだろうと思う。特に会社への業績貢献が大きく期待される従業員が離職となれば、企業レベルの効率への打撃は大きいだろう。
10だったレベルが7や8どころではない結果になるかもしれない。

一方、積極的活用をした場合はどうなるのだろうか?

個人の業務効率が下がっている為、短期的には企業レベルの効率は下がるのだろうと思う。

しかし、長期スパンで見れば、在宅勤務の積極的活用は、離職防止につながる可能性があるし、他社でエンゲージメントの下がった優秀な社員を確保する事に繋がるかもしれない。
満足度が高まる事で従業員のエンゲージメントが高まり既存社員がこれまで以上に力を発揮する可能性もある。

また、在宅勤務を積極的に活用すると「非同期」のコミュニケーションが増えるはずだ。「非同期」のコミュニケーションが増えると、社員のこれまで開発できていなかった能力の向上(※)も見込まれると思う。

※「準備する力」が向上すると考えている。内容を過去の投稿「口頭決裁文化の会社にテレワークは向かない」の中に少し記載しているので興味のある方は読んで欲しい(※末尾にリンクあります

これらを総合すると、10だったレベルが結果的に10以上になっても不思議は無いと思うのである。

とすれば、在宅勤務は積極的に活用するという選択が「経営にとっても従業員にとってもプラスになるのではないだろうか?」

それでは、これを前提にした場合、経営と従業員は一体どうすれば良いのだろうか?

(個人の)効率と個人の満足度はトレードオフの関係じゃない!!

業務効率と個人の満足度で見るとこの関係はトレードオフの関係に見えてしまう。 『業務効率下がるけど、在宅勤務に満足しているし実施したい』

しかし、ここまでまとめた通り、そうではないはずだ。(少なくともそうでない可能性はある。)
個人の業務効率を企業の事業効率へ視座を高めると個人の満足度は、企業の事業効率と相関の関係のはずだ。(クリティカルな事項の満足度はエンゲージメントに繋がるという前提)

経営、従業員の双方が一段高い視座から物事を見る事でトレードオフの関係から相関の関係に変わる。部分最適から全体最適に考える事にも似ているが、この視点から互いに考えを理解するのが大事だと思う。

しかし、このような事は意外と気が付かない事でもあると思う。
そこで、このような場合に、そこを繋げるのが管理部門スタッフ(ゼネラルスタッフ)の役割ではないだろうかと思うのである。

評価、認識の違いを埋め、HAPPYを創っていきたい。


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