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【採用面接】 面接の返答は <過不足なく> <厳密> に答えてはいけない

面接の返答は過不足なく厳密に答えてはいけない。

出だしから何を言っているんだ?

「言葉足らずが良いのか?」

「余分にダラダラと話すのが良いのか?」 

「話を盛れと言うのか? 嘘をつけと言うのか??」

と感じるかもしれないが、当然そうではない。


面接でも 過不足なく 誠実に 適切に 答える事は重要だ。

ただ、「テストで答える回答」とは違うという事だ。


テストの場合、一方通行の回答になるのが一般的だろう。中には出題者との対話と捉えて双方向だと解釈する方もいるかもしれないが、それでも回答できる機会は1問に対して1度きりだろう。

その為、テストの回答は、出題者(採点者)へ誤解が無いように「厳密」にそして「過不足なく」答えなければ高評価(点数)を得ることができない。


一方、面接は双方向の「対話」だ。テストとは異なり質問者の問いが過不足なく明快であるとも限らない。そこで質問の意図と話の流れを理解して答えないと対話が続かない。

いうならば、テストは主として知識量思考力が試されるが、面接はコミュニケーション力が試される。

(もちろん、コミュニケーション力以外にも試される重要要素はあるが、新卒なのか中途なのかオープンポジションなのか人員補充なのか・・・などにより力点が変わる中、コミュニケーション力を重視しない事はよほどの技術者でもない限りないだろう。)

この「対話」であり「コミュニケーション力が試される」という視点で考ええると、「面接の返答は過不足なく厳密に答えてはいけない」と思うのである。


面接担当を経験して 自らが面接された経験を通して感じた事

僕はここ数年、新卒採用の一次面接をする機会に恵まれた。

この採用一次面接を経験する中で「面接の返答は<過不足>なく<厳密>に答えてはいけない」と感じるようになった。

また僕自身も過去に面接を受けた経験を改めて振り返ると、テストのように<過不足> なく <厳密> に 答えようとしていた事を思い出した。


過不足なく答えるというのは、例えば次のような事だ。

(学生時代に取組んだ事としてサークル活動の経験、実績を語った後として) Q「サークル活動の経験の中で、○○さんの担った役割はどのようなものですか?」

A「会計を担当していました。」

「会計を担当していました」 会計と言う役割であれば面接官も大体イメージも尽くだろうし、嘘でなければ、過不足なく伝えているといえるのだろう。テストでは正解とされるのではないかと思う。

だが、これは面接である。

質問者はどんな意図を持って聞いたのだろうか?

会計をしていた事が知りたかったのか? リーダーだったのかを知りたかったのか? あるいは違う役割の名前が知りたかったのか?

僕が面接担当であれば「役割そのものに興味はない。」 これは面接経験者の多くは同意してくれると思う。この質問で知りたいのは、

「役割も知りたいが、<どうしてその役割を担う事にしたのか?> とか <何を考えて活動していたのか?> とか <その役割で具体的に何をしてどうなったか?> とか <その役割を通じて学んだことは何か?>といったことを知りたいのだ。」 

「会計を担当していました。元々、興味があったわけではありませんでした。実は私のサークルは毎年活動費を始めに集めているのですが、払う人と払わない人がいて不公平感がサークル内にありました。代表が『自分たちの代でこの伝統を変えたい。誠実でサークルのメンバーからも信頼のある私であれば、きちんと集める事が出来るのではないか? 一緒にやってくれないか?』と相談されました。良くない風習を変えられるなら…との想いから代表と一緒に挑戦する事にしました」

どうだろうか? 

「会計を担当していました。」よりも 会話を続けたくならないだろうか?

「質問には過不足なく答えているのだから、面接担当者が細かく聞けば良いじゃないか?」

という意見もあるかもしれない。確かにそれでも知りたい事を知る事はできるだろう。

しかし、これは面接である。

試しているのは知識量ではなく、コミュニケーション力なのだ。その点で考えた場合、どちらをコミュニケーション力があるとあなたは判断するだろうか?

もし後者だとすれば僕と同じ意見であり、過不足なく答えた前者よりも過不足のある後者の方が良い回答である事がご理解頂けただろう。


次に「厳密」の話だ。これは僕自身が面接を受けた体験でもある。当時、僕は大型複合施設を企画立案してプロジェクト進行する仕事をしたいと考えていた。

Q「どんな施設を創りたいのですか?」

A「住居もオフィスも店舗も病院も娯楽施設もある複合施設を創りたいです。」と僕は答えました。

すると面接官から「六本木ヒルズみたいな建物を創りたいと言わないのは何故ですか?」と指摘されました。

僕としては六本木ヒルズとは別なものをイメージしていたので、そのように答えたのですが、明確に何が違うとも言語で表現できない程度の違いでした。

この場合、「六本木ヒルズ」 または お互いにイメージできる固有名詞による回答が適切であったのだと思います。

仮に六本木ヒルズに病院が無いとすれば、厳密にいえば間違いとなる回答だ。しかし、質問者とイメージを共有するという点においては問題になるレベルではないだろう。

「六本木ヒルズみたいな建物を創りたいです。」という後者の方が適切な答えだと判断するならば僕と同じ意見だ。

厳密に答える事よりも相手に同じイメージを伝える事の方がコミュニケーション力が高いと判断するのではないだろうか。


これらの事から

面接の返答は過不足なく厳密に答えてはいけない。

と思うのである。


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