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奄美大島でみたもの

奄美大島の郷土料理、「ミキ」を作りました。
ミキというのはお米を発酵させた飲み物で、奄美ではスーパーで牛乳パック入りのものが売られている。

米粉をしとらせ、沸騰したお湯へ入れてかき混ぜひと煮。フタをして10分ほど蒸らしたら、砂糖とサツマイモをすりおろした絞り汁を入れ、木べらでかき混ぜる。冷めるまで何度もかき混ぜる。冷めたらミキサーにかけて滑らかにしておく。常温に置いておくと、2日もすれば発酵して泡が出てくる。そうしたら、冷蔵庫で冷やして飲む。ドロッとしていてヨーグルトのような酸味とお米のほんのりした甘み。甘酒のようなものだが、麹ではなくサツマイモと砂糖で発酵を促す。暑くて何も食べる気がしないときに、いい。

母方が奄美大島で。
でも、私にとっては一度も訪れたことがない知らない土地。
それがあるとき突然、「奄美」というものが私の中で大きくふくらんできたんです。それで、奄美大島を訪ねました。

スーパーマーケットを覗いてみます。食いしん坊なので、地元の人たちが何を食べているのかが気になるんです。そこで、件の「ミキ」に出会いました。他にも「くびき茶」という薬草茶や、ひきゃげ、舟やきもち、あく巻きという餅菓子、パパイヤの漬物…、初めて見る食べ物。

エコツアーに参加してみました。ガイドの方が山を案内してくれます。山は南国の木々や草花が鬱蒼と生い茂っています。けれど土はさらさらしている。本州の山と違う。「奄美には微生物がたくさんいて、あっという間に有機物を分解する。だから、こんなにさらさらなんだ。海もいわゆる磯臭さがないだろう? これも微生物のおかげだ」

街でギャラリーを覗くと、微生物をテーマにしたイラストが展示されていました。たくさんの微生物が集まり、大きな一つの円を形成している。

微生物。

「発酵」に惹かれ、ヨーグルトやパンや味噌作りを始めていました。そんな私の前に、まるで符牒のように現れます。

「なりみそ」これは、奄美大島のいたるところに生える蘇鉄の木の実「なり」から作る味噌。蘇鉄の実は生では毒がある。発酵すると毒が消えて、おいしい味噌になる。

「泥染(どろぞめ)」という染めの手法は鉄分豊富な泥田の泥を使う。鉄分が足りなくなると、泥田に蘇鉄を放り込む。文字通り「鉄」を「蘇」らせる。泥染のもう一つの材料、車輪梅という木は、煎じた後は薪になり灰になる。その灰は焼き物の釉薬に使われたり、スーパーで売っていた「あく巻き」=「灰汁巻き」に使われます。

循環とつながり。循環と、循環のサポートを担う目に見えないものの働きが、彼の地では、こうして目の前にダイナミックに緻密に展開されています。絵空事でなく本当に、すべてがつながっている。そのように完璧にデザインされている。精巧でいてやわらかい幾何学模様。そのカタチを思うとき、懐かしいような恋しいような気持ちになる。それは私の血統に奄美の血が流れているから、ということではなく、古い古い、太古の記憶が呼び覚まされるような気がする。なぜなら、私も、私の中も外も循環とつながりの中に常にいるから。


泥染についてはこちらにも書きました。

ミキの材料(約1リットル分)
・米粉 2カップ
・砂糖 60g
・サツマイモ 握りこぶし半分弱くらいの大きさ
 (すりおろして絞り汁を使う)
・水 1リットル

※米粉はお米をフードプロセッサーで粉砕しても。私は水に浸けて発芽玄米にしたものを使いました。これならわざわざしとらせなくてもすでに湿っているのでそのままお湯へ投入してOK。
※発泡がものすごいので、炭酸用のペットボトルに入れるのがオススメ。口いっぱいまで入れないほうがいいです。栓を開けるときには少しずつ炭酸を抜きながら!

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