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【読書記録】残像に口紅を:うむ、本の帯は誤解を生みますぞ。

どうも、一休誰絵です。久々に読書記録を更新いたします。今回は、休学中の目標の一つであった「話題の書を読む」の一環として読んだ本をつーらつらと書いていきます。

今回読了した本はこちら。「残像に口紅を」。
TikTokでバズったといえば、これではないでしょうか。

地元の図書館で借りたのですが、図書館にあったもの、なんと復刻版でした。最終ページにある発行年月と図書館の蔵書印も、今年。確かバズってから4回くらい重版したそう。

あらすじとしては、みなさんご存知かと思うのでざっくりと。話が進むごとに使える文字が制限され、その文字が入ったワードが使えなくなる、といったもの。例えば、「あ」が消えると「愛」「あなた」というワードが使えなくなる、みたいな感じです。

作者の技術を見るための小説

読み切った感想としては、「作者自身が、持っている表現技術の限界に挑戦するための小説だった」と。ストーリーは、ぶっちゃけあまり重視して読みませんでした。
先述したのですが、一つずつ使える文字を消していくので、中には制限してしまったら致命傷ともいえる文字もあるのです。例えば、「た」とか。(過去形が使えなくなるますよね)
この文字を消してしまったら、話が終わってしまうというプレッシャーの中での戦いだったのだろうなと思います。筒井さんすごすぎます。

個人的にすごかったなぁ、というのは、情事の場面ですかね。結構文字が制限されていたのですが、驚くほど生々しくしつこかったので、人によっては嫌悪感を抱きそうなものでした。一方、制限された中でここまで書き上げるのも、技術がある所以ですね(上から目線でごめんなさい)

後半から畳み掛けるように、使える文字がなくなった焦燥感がひしひしと伝わったので、個人的には後半からが面白かったです。

あとは…校正めちゃめちゃ大変だっただろうなと思います。編集者の方もすごい。

本の帯に騙されるな

一方、私は販売されている本の帯に疑問があるのです。
書店に置いてあるものをご覧いただけるとわかるのですが、蛍光ピンクの帯に「TikTokで超話題」という謳い文句が載せられています。まあ、そこは良いとして、私がモヤモヤするのは「究極に切ない恋愛小説」というキャッチコピー。

でも人の感性はそれぞれなので、断言してはいけないですが…少なくとも私は「恋愛小説ではないでしょう」と首を傾げてしまいました。ちょっと、釣りじゃない??とつい思ってしまいました。

こういう本の読み方もあるんだな

ついついストーリーに、なんらかの意味を見出そうとして本を読みがちですが、こちらの本を通してみると、本って娯楽として見るのも楽しいなと思いました。
新たな知見を見出した本です。

でもな…ストーリーを楽しみにしていた方からすると、「あれっなんか思っていたのと違う」という思いが出てきそうです。個人的には、ノンフィクションや重たい長編小説で疲れたあとに、休憩がてら読んでみなよ、という意味でおすすめするかな〜と思います。

好き勝手書いてしまいました。ごめんなさい。




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