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胸の奥にひめた想いのトビラがひらく夜。



テーブルにおいたまま、いつもなら朝までふるえないスマホがうごく。ディスプレイには、見なれた名前。おもわず、頰がゆるむ。


通話のボタンをおすと、こぼれてくる声。電車ごしの声でも泣いているとわかる。おそらく、頰にはつたうものがある。


よわよわしい声で今すぐにでも会いたいと伝えられる。
その声に今すぐにでもこたえたいけれど、時計をみあげて困ってしまう。


どうしようもならないけれど、伝えずにはいられない。
ただ、伝えられた方は頭をかかえてしまう。


そんなワンシーンをテレビのなかでみていることがあるからだろうか。
伝えたいけど、伝えずに。
胸の奥にひめる言葉がある。


それはたいてい夜なのは、静けさがくらやみが、トビラの鍵をあけるからかもしれない。


会いたいっと言いたくなる夜。
声がききたくなる夜。
そんな夜がある。


伝えることが、ワガママだったとしても。
物理的にむずかしいとしても。
聞きわけのない子どもっぽさみたいなものだも。
困らせてしまうとわかっていても。
言いたくなる夜がある。



いつでも相手のことを考えたい。
だから、困らせたくもない。


伝えてしまうことがワガママだってことも。
物理的にむずかしいってことも。
聞きわけのない子どもみたいなことも。
痛いほどわかってるのに。
それでもいま、こう思ってるって伝える夜があってもいいんじゃないかな。


そんな夜があるから、会えたときのうれしさがおおきくなるんだ。
そんな夜があるから、相手への好きがおおきくなるんじゃないかな。


胸の奥にひめた想いのトビラをすこしだけひらいた夜って、きっとあるよ。

いつも読んでくださり、ありがとうございます♡