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となり同士のスキとキライに、一筋のひかりを。



キーボードを打つ音がひびいてる。ときおり、電話でのやりとりだけのフロアの空気がふわりと和らいで、ざわざわしはじめる。


パソコン画面の右下にめをうつすと、時計がお昼をつげていた。うでを思いっきりうえにあげて、かたまった肩や背中をのばす。


お店にいくひと、社食にいくひと、買ってくるひとであっという間に和やかな雰囲気になる。そっと席をたって、給湯室の冷蔵庫にむかう。


今日はお弁当。
キライなものが入った、てづくりのものだ。



大人になると、キライをスキになるきっかけが少なくなるみたい。そう感じたのは、ランチセットのなかに、苦手なたべものをみつけたからだ。


そっとお皿のすみによける。子どもっぽいことをしている自覚もあるのだけど、やはり苦手なものは苦手。


そんなことをしても、誰もなにも言わないし。好き嫌いしないで食べなさいっと言う人だって、いないのだから。

キライって、スキを知らないだけってこともあるよ。


スーパーでの買いものの途中、メッセージがあたまにうかんだ。お休みエンドロールというサイトからもらったメッセージだ。
占いともちがうのだけど、ふしぎと、今のじぶんにぴったりの言葉をくれるんだ。

キライなものか…。
野菜売り場でぱっと目にはいったのは、旬のきのこだ。そのなかでも、しいたけに目がいく。


しいたけの味や食感は、嫌いではないのだけど。あの裏側のかんじがどうしても苦手で、好きこのんではたべないもの。


たとえばっていったら、これだよなぁっと手にとったパックに並ぶしいたけ。しばし、悩んでからカゴにいれる。自分からすすんでかうなんて、はじめてだ。


やってみようかな。


今日はハンバーグがたべたい。付け合わせにしてみたらいい。あんかけのソースでもいい。どうしようもなかったら、細かくきざんでお肉にまぜてしまおう。

逃げ道があるのなら、挑戦のハードルがひくくなるものだなぁなんて、思いながら。家路についた。



チン!っという音とともに、ほんのすこしあけていたふたの隙間から、おいしい香りがふる。
レンジであたためた、てづくりのお弁当。きのうの夕ごはんとほぼおなじだけれど、好物のものなら、気にならない。


ハンバーグのようだけど、くるりと裏返すと、しいたけとピーマンがかおをだす。予定変更して、しいたけとピーマンの肉詰めをつくったのだ。


これだと、あのしいたけの裏側はお肉だから、もくもく食べられてしまう。むしろ、この組み合わせは好きみたいだ。まさか、こんなことでしいたけを、おいしく食べられてしまうなんてね。

キライなものは、キライ。
でも、一歩だけ歩みよることができるのも大人だよね。


ちょっとしたことを行動にうつせた自分と、きっかけをくれたメッセージがなかったら、このおいしさには出会えなかったんだもの。


つぎは、どんなお料理をしてみようかな。好きになる道のりも、けっこうおもしろいっとほおばる。
はやく週末になったらいいのになぁっと思うこのきもちは、きっとつづいてく。


いつも読んでくださり、ありがとうございます♡