視線をかわすふたりの家ごはん。
日曜日の夜ごはんは、すこし早い。おもいおもいの休日をすごしたあと、夜はふたりで過ごしたいから。
わたしが行くときには、最寄駅でまちあわせて、ごはんにいくけれど。
彼がくるときには、最寄駅についたよってメッセージであたためなおす。だから、夕方くらいにできあがるくらいがちょうどいいんだよね。
おおきな鍋をゆっくりとまわしながら、炊飯器をみる。もうすぐ炊きあがることを確認して、フライパンをとりだした。
視線をかわす、ごはんのために。
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つきあってから3カ月もすると、連絡があまりこなくなるらしい。わたしからしたら、連絡よりも、ごはんのときにテレビばかりみている彼がきになってしまう。
幼いころ、両親がいっていた。ごはんのときは、ごはんに集中ねって。それはきっと、ごはんを囲んで、おいしいねって言いあうためかなぁなんて思う。
これ、おいしいねって、家でもいいたいたいなぁ。そんな気持ちのまま、あのオーナメントを選んだ。お店ではなくて、画面のなかで。
お休みエンドロール。
お休みの日にアクセスできるふしぎなサイトだ。キラキラとしたふりそそぐオーナメントをえらぶと、メッセージがもらえる。
おみくじのようなものかなっと軽いきもちだった。
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深めのお皿によそったカレーライスをテーブルにおく。
にんじん、たまねぎ、お肉だけのシンプルなカレー。いつもより具がすくないけれど、いつもよりもスパイスをきかせた。
これがいいのだ。
福神漬け、らっきょうをコトンとおいたら、もうひと往復。
いちばんおおきなお皿2枚をおくと、スマホをみていた彼の目がかがやいた。
「うわぁ。」
彼の驚きの声をきいて、口元がゆるんでしまう。そうなのだ、今日はただのカレーじゃない。
たくさんの野菜をおおきめにきって、じっくり焼いたもの。ナスやピーマン、おくらにきのこ。カリッとやいたスライスのにんにくも。
べつのお皿には、からあげやフライドポテト。ゆでたまごと新鮮なトマトとレタスをそえて。
すべてを煮込んだ、具だくさんのカレーもいいけれど。えらぶ楽しみのある、ビッフェみたいなカレーだ。
「好きなののっけてね。野菜はまだたくさんあるよ。」
彼は、待ちきれないっというようす。どれをのっけようかと考えている。
そんな彼をみて、くすくす笑いながら。ふたりして、野菜をのせては食べる。
つぎは、これもいいなっていいながら。ラストの野菜をとりあいながら。ときに半分こしながら。
スパイスのおかげかスプーンの往復が、とまらない。焼いた野菜は、歯ごたえがあるし、甘みや苦味がいきている。
「また、食べたい。」
その言葉にスプーンをはこんでいた手をとめて、彼をみる。
「このカレー、また食べたい。つぎは、俺も買ってくる。」
なんかさ、バーベキューのときのカレーみたいだなっと、にかっと笑って、カレーをほおばる。その言葉と笑顔に、胸の奥がきゅっとなった。
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お休みエンドロールは、なんでもお見通しだったのかな。
胃袋をつかんで、視線をかわすごはんをたべよう。ふたりの時間のスキがスパイスです、
カレーを思いついたのは偶然だったけど。このメッセージがなかったら、バーベキューのことを思い出せなかったものね。わたしたちのであった、バーベキューでの野菜もりもりカレーのこと。
胃袋をつかむのも。視線をかわすのも。
そのひとのことを考える。そして、ふたりのこれまでもふりかえる。その時間は、これからどうしたいって問いかけながら。
この時間のおかげで、スキをふりかえれたんだね。だからこそ、目があってこんなにも嬉しいんだ。
それにしても、彼の笑顔はずるい。くしゃっとわらう笑顔に、わたしの方がきゅんとしちゃったみたい。
来週もおねがいねっとおもったのと、彼のおかわりの声は一緒だった。
いつも読んでくださり、ありがとうございます♡