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終盤がとっ散らかった 「HELLO WORLD」感想 第2回

こんにちは。雪だるまです。第2回は「HELLO WORLD」です。監督はSAOの伊藤智彦監督、題材はSFという、これだけ聞くとどこかSAOっぽさを感じますね。これもtwitterでつらつら書いてた感想を基に書いていきます。(ネタバレあり)

序盤はまあいい感じ。グッドデザインはどうだろうか?

序盤の10年後直実の協力のもと瑠璃と付き合うために奔走するまでの部分はテンポもよく、行動理由も納得できるものである。なにより、データ世界というSF要素と未来の自分とともに女の子と付き合うために行動するという青春要素がいい塩梅でかみ合っている。そのあとの2人の直実が協力して瑠璃と恋仲になるまでの過程も丁寧に描かれて良いのだが、1つ気になる点がある。チートアイテム、グッドデザインだ。

青い手袋のようなこのアイテム。効果はイメージしたものを何でも出せる優れもの。最初に10年後直実は主人公にこのアイテムを瑠璃と付き合うためのお助けアイテムとして貸す。だが、このアイテムは実際はあまり役に立ってない。というのも10年後直実が、自分と瑠璃が付き合うまでを書き記した日記帳を持っているからだ。これに沿って行動していけば100%付き合えるし、実際付き合う作戦もこのノートに沿って主人公が行動していくというものだ。グッドデザインの出番がない。一応花火大会で瑠璃を救うときに使っているが、序盤の使いどころはそこだけだ。実際にこのアイテムをバリバリ使うのは後半からだ。序盤では存在が妙に浮いているアイテムなので、わざわざここで出さなくても良かった気がする。

序盤の盛り上がりポイントは君の名はレベルの衝撃

本作で最も評価できるところ、10年後直実が瑠璃を連れ去るシーンだ。ここの転換点の演出は個人的には君の名はレベルだと感じている。最初は瑠璃と直実の恋物語だったのがこの転換点でデータ世界と現実世界を股にかけた物語へと変わり、一気に世界観が広がる。ここに関してはここ10年のアニメの中でも最高レベルの演出だと思う。本当はもっと評価の言葉を並べるべきだが、拙筆のためそれができないのが残念で仕方ない。

SF要素が散らかっている終盤

最高の転換点のあと、正直終盤は物語としてはまとまりがないと評価せざるを得ない。一応、主人公と瑠璃、10年後直実と未来の瑠璃がそれぞれ幸せになるエンディングで終わるのは制作陣の中で決めていた(筆者の予想)ようなので、映画全体的には起承転結がしっかりしているのでギリギリ置いてけぼりにはならない(SFになれてない人は無理かもしれないが)。ただ、映画の中で一番盛り上がるはずの直実が瑠璃を助け出すシーンがとっ散らかっている。
10年後直実の世界もデータ世界という展開、何の脈絡もなく出てきた京都駅の大階段、2人の直実がシリアスな話をしているときに違うところでビックバンを起こそうとしている博士…。いろんな要素が多すぎる上、全くまとまりがない。2時間の映画としてまとめるならもっと要素を少なくするべきだったと思う。

凡作だけど…

正直なところ、全体的な評価としては凡作だろう。終盤は要素が多すぎて整理しきれていなかった。ラストも考察要素と意外性を狙ってのものだろうが、終盤で物語の軸を十分に示せなかったせいで、結論を投げたような印象になり今ひとつ観客のウケが良くなかった。面白そうな展開を示しておきながら、映画の一番盛り上がるところでそれを活かせなかったのが本作だ。
だが、序盤のテンポと途中の転換点の圧倒的な演出は素晴らしかったし、なによりヒロインがめちゃめちゃ可愛かった。キャラデザの可愛さもそうだが、1つ1つの仕草からだんだんと主人公に対し心を開いていく様子が丁寧に描かれていて観る者を引き込んでいく。凡作といっても、ただの凡作と片付けるには惜しい作品なのだ。2時間の枠に十分な分量で描ききればむしろ傑作になり得たかもしれない。

以上で「HELLO WORLD」の感想を終わります。語る要素も多かったし、一行さんが可愛かったので上映中はとても楽しかったです。伊藤監督の次回作があればまたみたいです。凡作と書きましたが、1800円は無駄にならない作りで、オススメできる映画だと思います!
ここまで読んでいただきありがとうございました!

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