奴はフィアレスだ(出版差し止めとか想像力)
(https://twitter.com/kadokawahonyaku/status/1731986486059573639より引用)
LGBTに対して批判的な本が圧力を受けて出版取りやめになったそうです。
これに対して、誤りがある本が出版取りやめになるのは当然とか、そもそも決断したのは出版社だとか、言論弾圧は権力者側がやることだ、とかいう意見が散見されました。
(https://twitter.com/EriHirakawa/status/1732049559168413737より引用)
(https://twitter.com/EriHirakawa/status/1732050002489512448より引用)
(https://twitter.com/zimkalee/status/1732164833280438455より引用)
まあこの辺の理屈が如何にヤベーかは少し想像力を働かせれば分かります。
間違いがある本は出版されなくて当然というなら、
歴史的誤報を二度もやらかし(しかも一つは二国間の関係に重大な亀裂を発生させた)朝日新聞は
直ちに発行差し止めされないとまずいでしょ。
彼らの出版する本も間違っている蓋然性が高いので出版差し止めですね。
特に原発関連と日韓関係についての本。
第一、出版されてない本の内容の「誤り」をどうやって検証するんでしょうか。事前検閲でしょ、それ。
我々「有識者」が事前確認してお墨付きを与えてやろう
とか言う気か?
それに、「言論弾圧は権力がやるものだ」「出版差し止めは出版社の判断」という理屈でいくなら、
例えば統〇協会が出版社や関係者に圧力かけて自分達に不利な本を出版差し止めに追い込むのはセーフ
になるわけですが。
それでいいのかな?
●
ちょっと考えればこの手の理屈の危険さは分かるはずなんですが。
この手のソーシャルジャスティス有識者、J・リベラルのセンセイ方の想像力のなさは今に始まったことじゃないですし、その辺は何度も書いたので割愛します。
彼らの思考は
① 我らは正しい。
② ①に該当しない場合は①に戻る
こんな感じなので、自分達は誤りなどないし、誤りがない自分達の意見が出版差し止めなんて当然ありえない、くらいの認識なんでしょう。
こんな思考だから草津でやらかして恥をさらすわけですけどね。
●
今回のこの出版差し止め騒動は何事もなかったかのように通って終わりでしょう。
他から出版されるかは分かりませんけど。
というのは、この本が差別的で問題があり内容が誤っているから……ではありません。
ほとんどの世間に人にとって関心のない出来事だからです。
それが良いことかどうかは分かりませんが、残念ながらそうです。
殆どの人にとって、LGBTもそれに関する本の出版差し止めも関心の埒外です。
ただ、それは立場が変わっても同じです。
ソーシャルジャスティス有識者センセイが認めた「LGBTについて正しく伝える」本が、民間からの圧力がかかって出版差し止めになっても、世間は何も言わないでしょう。
彼らが「不当な言論弾圧だ!」「言論の自由の危機!」と喚いても同じです。
だって関心が無い出来事だからです。
というかそもそも、絶対的に正しい思想って宗教にしかないと思いますけど。
かりに絶対的に正しい思想なるものがあったとしても、この世界は
「ただしいひとがわるいやつらにくるしめられているときに、わるいやつらをやっつけてくれるひーろーがさっそうととうじょうして、わるいやつらをたおしてせかいはただしくなるんだ、やったね」
なんて都合のいいことはないんですよね。
一部の過激な活動家が暴れるのはもうどうしようもないとして、出版差し止めとかそういうのには思想問わずに言論の危機、出版の自由の危機として対峙しないとダメなんじゃないですか?
自分達は「正しい」んだから、自分達が攻撃された時は世間は自分達を応援するはずだ!と思うならとんだ思い上がりですよ。
いずれにせよ、彼らの想像力というか危機感というか、そういうもののなさ……お目出度さと言ってもいいですが、は傍から見ていてちょっと心配になります。
本当にこの論の危険性に全く想像が及ばないのか、それとも自分達の正義の世界観が完全に内面化されているのか、非常に興味深いです。
とはいえ、もうこの手の話は行く所まで行って相互に攻撃し合い、全ての陣営が痛い目に会って、さすがにこれはヤベェと言葉ではなく心で理解するまでどうしようもないとは思ってますけどね。
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最後にいつものこれ。
「社会正義」を掲げて他人の振舞を支配する連中は十分に権力者ですよ。
権力とは国家権力!とかいつの時代の話をしてるんですか。
今は令和ですアップデートして下さい。
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