長期間の旅行へ出たい理由は色々ありました。

　未知の国、文化をこの目でじかに見たい。空気を感じたい。現地の人に会いたい。
　というポジティブな理由から、

　働きたくない。
　というネガティブな理由まで。

　ポジティブともネガティブとも言える理由としては、何物にも縛られることなく自由に行動したい、という欲求が強くあったように思います。

　仕事は辞めて何者でもなくなっていたので、できれば日本人という属性からも自由でありたかった。

　そして、時間からも。

　当時は携帯電話が一般的ではない時代、時間を知るのに腕時計をする人が今よりも多く、社会生活における必需品でもありましたが、敢えて腕時計をせず、時間や、できれば日付とかも忘れたい、と思っていたところがありました。
　そんなことは社会生活をしていたら許されず、恐らく一生の間、今日は何日で今は何時か、ということを意識せずに居られる時はないと思えたので。
　それは、今でも憧れます。

　結果としては、延べ4年半ほどの旅行期間中、時間を意識せずに居られた時はほとんどなかったように思います。

　どの国へ行ってもビザ期限など許された滞在期限があって、その期間内で行きたい街へ行き見たいものを見なければ、と気が付けば旅行の計画を考えていたし、バスや列車の時間など、時間は常につきまとい、もしかすると、全て自分で考えなければならない分、日本で働いていた頃よりも時間や日付を意識していたかも知れません。

　そして外国に居ると、自分が日本人であることは日本国内に居る時よりも強く意識せざるを得ません。それは周囲の人達が自分を日本人として扱うからです。

　ただ、時間を忘れる試みとして、数日の間この町に滞在して動かない、と決めて、その数日の範囲内で全く予定を立てず、好きな時に寝て好きな時に食べたり食べなかったり思いつきで行動したり行きたい所へ行ったりどこへも行かなかったり、ということは時々していましたが。

　それは働きながらの休暇中でもできそうですね。
　やはり時間から全く自由になることはできないというか、自分は本当はそこまで時間を忘れることは求めていないようで、ある決められた時間内で時間を忘れてリフレッシュする、ということは、これからも、特に旅行へ行かなくても、できそうです。

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