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#75 韓非子【第三冊】

“韓非子【第三冊】”
君主論のような内容がまだまだ続いている内容でこれまた興味深い!
人の考えは変わりすぎるものと決めた上で、変動が激しいものを信じて政治を行うこと自体間違っているということを大前提として論を展開している内容が続いている。
3冊目ともなると段々とこの思考法を理解できてきた。
言い切り口調が非常に面白く感じてきた。

特に印象に残ったのは下記の3点。

  • 人のためにしているという心を持っていると、人を責めたり恨んだりすることになる。自分のためだと思えば、事は順調に運ぶ。

  • そもそも良薬は口に苦い。それなのに知者は努めてそれを飲むが、それは体内に入って自分の病気を治すことがわかっているからである。忠言は耳に逆らう。それなのに賢明な君主はそれに耳を傾けるが、それは実際に効果をもたらす事がわかっているからである。

  • 君主は二つの目で国中を見るのだが、国中の人は何万という目で君主を見ているのだ。虚心静寂で無為でいて、外には何も表さないことで、自分の隠れ場所とするのだ。

第三冊も面白かった!
以下、学びメモ。

ーーーーー
・★人のためにしているという心を持っていると、人を責めたり恨んだりすることになる。自分のためだと思えば、事は順調に運ぶ。★
・★利益のあるところには民は集まり、名誉の上がるところには士は命を捨てる。★
→それゆえ、法に外れた功績で賞を与えたりすると、上に立つ君主は下々から利益を収めることができなくなり、法に外れた名誉で栄誉を与えたりすると、士人は名声ばかりに努めて君主の利益を積み上げようとしなくなる。
・小さな信義が守られなければ、大きな信義も確立する。だから賢明な君主は信義を積み上げる。賞罰に信義がなければ、禁令を出しても守られない。
・★そもそも良薬は口に苦い。それなのに知者は努めてそれを飲むが、それは体内に入って自分の病気を治すことがわかっているからである。忠言は耳に逆らう。それなのに賢明な君主はそれに耳を傾けるが、それは実際に効果をもたらす事がわかっているからである。★
・★孔子は言う「君主という者はちょうど器のようであり、民衆はちょうど水のようである。器が四角であれば水も四角になり、器が丸ければ水も丸くなる。(何事も君主次第ということだ。)」★
・★君主が臣下を治める三つの方法★:
①君主の権勢によって変えられないような臣下は除き去ること
②君主は臣下の利害が集まっている中心である。その利害を射当てようと狙う者は多いため、君主の独断を行うこと
③他人に自分の腫れ物を潰させることができること(人情に背きながら法を守ること)
・★君主は二つの目で国中を見るのだが、国中の人は何万という目で君主を見ているのだ。虚心静寂で無為でいて、外には何も表さないことで、自分の隠れ場所とするのだ。★
・★孔子曰く「疑う者がいるからそいって、それで自分の見抜いたことを諦めないというのは難しいことだ」★
・★信賞必罰であれば人民を戦わせることができる。親戚も貴人も遠慮なく、寵愛する人にも法を適用することで法が行き届く事ができる。★
・★そもそも、臣下は死力を尽くすことによって君と取引し、君主は官爵俸禄をぶら下げることによって臣と取引をするのである。君臣の関係は親子関係ではない。利害の計算から出たものである。★
→君が政道をわきまえておれば、臣は力を尽くすばかりで悪事は起こらないが、政道をわきまえていないと臣は上では主君の目を塞ぎ、下では私欲を成し遂げるであろう。
・賢明な君主は小さい悪事を微細なうちに見抜くから、民衆に大きな陰謀はない。小さい処罰を微罪のうちに行うから、民衆には大きな反乱はない。また、功績を立てた者は必ず賞を受けるというのであれば賞を受けた者は君主のお陰と思わず、自分の努力で得たと思う。また、罪を犯した者は必ず罰を受けるというのであれば罰を受けた者はお上を恨んだりせず、自分の罪で招いた思う。
→★「最上の君は、下々では君がいると知っているだけ」というのはこういうことである。★
・賢明な君主は人々に私欲を棄てさせ、人を騙して暮らすような者は禁止する。努力を仕事に傾け、利益をお上に差し出す者は必ず上申させ、上申された者には必ず賞を与える。逆に汚いことをして私利を図る者は必ず上告させ、上告された者には必ず罰を下す。そのようにしていると、忠臣は公のために忠を尽くし、士民は家のために力を尽くし、百官は朝廷で精励(せいれい)する。
・★知力では物事を全て知り尽くすわけにはいかない。そこで知力に頼らないで物事に頼って物事を治める事が重要である。また、自分だけに頼らないで人に頼って人を知ることだ。そのようにすると、体を疲れさせなくとも仕事はうまくゆき、知力を働かさなくとも悪事は暴かれる。★
・★臣下が誠実であるかごまかしをするかは、君主の態度次第である。★
→君主が明察で厳格であれば群臣は誠実であり、君主が惰弱で暗愚であれば群臣は誤魔化す。隠れたものを見抜くのを明察といい、処罰を断行するのを厳格という。

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