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改造人間

少し前に「仮面ライダーBLACK SUN」という作品を観ました。

だいぶ前に先輩のクラッシャーマサキさんにオススメしてもらっていて

ずっと気になっていた作品でした。

「シン・仮面ライダー」もちょうど最近観ました。



僕はそれらの作品を観て

仮面ライダーが改造人間なのだということを初めて知りました。


今まで戦隊ヒーローとかウルトラマンとか仮面ライダーは

ただの子供向けの勧善懲悪作品なのだと思い込み

どういった経緯で、過程で

そういう超人に変化しているのかあんまり理解していませんでした。


子供の頃そういう作品は見ていたのですが

やっぱりあんまり深いところまでは理解していなかったのですね。



仮面ライダーは自分の意志とは反して

勝手に無理やり体を改造されて、とんでもない力を手に入れてしまって

その力を使って悪と戦うわけですが

元々の人間が正義感にあふれていないのに

改造され、紆余曲折を経て自分が戦わざるを得なくなるところが、

その戦う葛藤が僕にはすごくいいなと思いました。


仮面ライダーブラックサンでは

改造された人間というのは長年にわたって
迫害や差別を受けたりして弱い立場にある設定でした。

シン・仮面ライダーも仲間が殺されて

その復讐というか遺志を継いで戦うという設定で、

どちらもやはり戦うための元々のパワーが

痛みや悲しみ、不条理、非平和からきているのです。

正義を掲げて戦うパワーの源が
その反対側にある不義からなるものだという構図。


ひとまとめに言わせてもらうと「悪」というものがあるからこそ

正義のヒーローが存在するわけで

ヒーローみたいに強くて優しくなるには

その真逆の存在、要因が不可欠なのだということなのか。

つまりは「悪」は、よくないことは、
悲しいことは、この世界に必要なのかもしれない。

それを利用しなきゃいけないのかもしれない。


「正義」ってどうしてもキレイすぎて

それは絶対に正しいのだろうけど正しさを正当化して横暴になってやしねえかと

そもそも絶対に正しいことなんて存在すんのかなって思ってたりしていたので

自分を疑いながらもそれが正義と信じて戦う姿が

傷を負いながらその傷の分だけ自分の正義の糧にしていく姿が

仮面ライダーはとっても人間らしいなと思ったのです。


僕はどちらかと言えば自分が正しい人間だと思って生きてきましたけど、

思い返せばそんなことはなくて。


正義感持ってるつもりのくせに
色んな人に嫌なことさせてきてしまった覚えがあります。

あっちが悪いわけでもないのに。


助けなきゃいけない場面でも
見て見ぬふりをしてしまったこともありました。


思い返せば返すほどに

自分の不誠実な非正義な部分がぼろぼろと落ちてきます。


その落ちてきたカスを咀嚼して浴びてすすって
その苦みを五感で味わうことが僕には必要なのかもしれません。

痛みとか苦しみとかをしっかり知ってる人が

この世界では強くて優しい気がして。


僕はまだ、自分が傷つくことや本当の痛み感じるどころか

自分から落ちてきたその過去の不誠実らの苦いカスすらも
まだ味わえていない段階なのだ。


到底僕は仮面ライダーにはなれない。

痛みが足りないから。


強くて優しい人に出会う度に

その人の裏側に蓄積された痛みや悲しさを感じる。

想像はできない。

想像することも怖いし想像する力も僕にはない。


世界の悪を悲しみを、

自分から落ちてくる不誠実を少しでも浴びて、咀嚼して

僕は仮面ライダーに少しでも近づかなければいけないなと思いました。

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