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職場崩壊の原因にもなり得る!?「コミュニケーションエラー」を防いで組織力を強化しよう

職場における人間関係は、仕事の成果に大きな影響を与えます。関係が悪化すると、社員のモチベーションが低下し、精神的なストレスや疲労によって生産性が低下するケースがあります。さらには、そういった社員が続出した場合、職場崩壊につながる可能性もあるのです。

以下では、職場で人間関係が悪化する原因と、その結果組織に及ぼす影響について解説します。さらに、人間関係が悪化してしまった場合の改善方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。


職場の人間関係で悩む人はどのくらいいるのか

職場の人間関係に悩みを抱えている人は、どのくらいいるのでしょうか。日本労働調査組合による調査によれば、職場での人間関係に疲れや悩み、ストレスを感じている人は、全体の約3割にのぼることが明らかになりました。さらに同調査では、職場の人間関係に悩んだ結果、退職を検討した経験がある人の割合は、全体の約6割であることが判明しました。

社員が職場の人間関係に悩むことは、モチベーションの低下や精神的なストレスにつながり、退職を検討する要因となります。より働きやすい組織を創り上げ、離職率を下げるためには、職場での良好な人間関係を築くことが重要です。

人間関係悪化の原因となるコミュニケーションエラー

職場での人間関係の悩みは、心の健康だけでなく、体や行動にも悪影響を及ぼすことがあります。これを未然に防ぐためには、まずは人間関係の悪化の原因となるコミュニケーションエラーを防ぐことが重要です。
コミュニケーションエラーとは、コミュニケーションがうまく働かず、すれ違ってしまっている状態を指します。

たとえば、上司が部下に業務を振ったのに、進んでいない状況があったとします。上司が進捗状況を確認すると、部下は「わからない点があったので、時間がかかっていました」と答えました。それを受けて上司は「何故早く相談しなかったのか」と叱責しました。

しかし、もし部下が自分で解決しようと努力していた場合、叱られるのは不当な扱いを受けたと思うかもしれませんし、「そもそも上司が最初に基本的な知識を伝えていないからだ」とさえ思っているかもしれません。

このケースでは、仕事を依頼する段階でコミュニケーションが取れていれば、トラブルを回避できたでしょう。互いがどのような姿勢で仕事に取り組むべきかを、擦り合わせてから業務を開始すべきでした。

コミュニケーションエラーが生じると、上記のようなトラブルが起こり、結果として人間関係が悪化する可能性があるのです。一度トラブルが起きると、当事者同士のコミュニケーションが難しくなり、関係悪化に拍車がかかります。

職場の人間関係は誰が作っているのか

職場の人間関係が悪化してしまった場合、多くの人々は「どうしてこんな職場になってしまったのか」と不平不満を抱くかもしれません。しかし、職場の人間関係はいったい誰が形成しているのでしょうか。

ここでは、スペインの哲学者であるホセ・オルテガ・イ・ガセットの考え方を参考にしてみましょう。彼は人の存在について「人とは、人とその周りの環境である」と定義しています。つまり、人間が環境を作り出し、その環境によって人間はまた影響を受けるということです。人間と環境は密接な関係にあり、互いを独立した存在として考えることはできません。

職場の人間関係に不満を感じている場合も、その悪い雰囲気を形成しているのは、職場を構成する一人ひとりなのです。不満があるのであれば、自らがアクションを起こすことも考慮してみるべきです。自分自身が人間関係の改善のきっかけとなることができるのかどうか、考えてみることも大切です。

関係が悪化すると、当然業務にも悪影響が出ます。「分からないところを質問しにくい」「仕事を振りにくい」といったことが重なると、離職や業務のパンクが発生し、末路として職場崩壊を招くこともあるのです。

職場崩壊の前兆

組織に対する職場崩壊の影響は、業務の品質低下だけでなく、職場の体制にも関わるため、未然に防止することが求められます。ここでは、職場崩壊の前兆について説明します。前兆に早めに気づき、問題が深刻化する前に対策を講じましょう。

1.メンタル不調の社員が多い

心の問題を抱えている社員が多く在籍している場合、職場の崩壊につながる可能性があります。株式会社Mediplatが産業医500人を対象に行った「従業員のメンタル不調に関するアンケート調査」によれば、メンタル不調の要因の7割は上司が原因であることがわかりました。

メンタルの不調を訴える人が多いということは、それだけ人間関係に深刻な問題があるということが予想されます。もちろん、性格的に職場に適応できず、周囲とうまく人間関係を築けないというケースもあるでしょう。

また、仕事が思うように進まず、自分を責めてしまってメンタルに不調をきたすことも考えられます。しかし、どのような場合でも、コミュニケーションを欠かすことなく、良好な人間関係を築けている組織であれば、本人のメンタルに悪影響が出る前に対策を講じることができるはずです。

2.従業員エンゲージメントが低い

従業員のエンゲージメントが低い場合も組織が崩壊する際の特徴として挙げられます。エンゲージメントとは、働く人たちの貢献意欲や組織ビジョンへの共感の度合いを指します。

エンゲージメントの低下は、ほとんどの場合、コミュニケーション不足に原因があります。

最近では、テレワークの普及により、職場内でのコミュニケーションの頻度と質が大幅に低下しています。実際、日本労働組合総連合会の「テレワークに関する調査2020」によると、約38%の人がコミュニケーションの量と質、上司や同僚とのコミュニケーションが不足したと回答しました。十分なコミュニケーションが取れていないと感じる場合は、従業員のエンゲージメントが低下している可能性があるため、注意が必要です。

3.短期間に多くの離職者が出る

もしも、短期間に離職者が続出するということがあれば、それは職場が既に深刻な問題を抱えている可能性があることを示しています。問題を放置していると、職場は崩壊の一途を辿るかもしれません。表面化していない人間関係のトラブルが発生しているか、または職場に対する不満を抱いている可能性があるため、原因を早急に明らかにしなければなりません。

職場の人間関係を改善して職場崩壊を防ぐには?

職場の崩壊を予防するためには、どのようなことに注意するべきでしょうか。職場の崩壊は、目に見えない要素から生じるため、アプローチが困難です。

雰囲気の悪さを感じたり、チームのメンバー間で価値観の違いが生じたりするといった些細な要因が次第に大きな問題に発展していきます。

従って、できるだけ早い段階から「職場の設計」に力を入れることが重要です。職場の設計が不十分だと、優れたメンバーで構成されたチームでも目標を達成できない場合があり、成果が上がりません。また、人間関係悪化の原因にもなり得ます。

すでに組織内の人間関係が悪化してしまった場合には、人事改革に取り組むことも一つの手段です。とくにリーダーは職場において非常に重要な存在であり、雰囲気やチームのカラーにも影響を与えます。リーダーの交代によって組織が良い方向に向かった事例は数多くあり、リーダーをはじめとする構成員の変更は、組織の業績向上につながる可能性があります。さらに、リーダーは以下の要素に配慮しながら組織改革を進める必要があります。

1.社内コミュニケーションの活性化

冒頭でも述べたとおり、コミュケーションエラーは職場崩壊の原因となります。そのため、職場の崩壊を避けるには、社内のコミュニケーションを活性化させることが重要です。リーダーは社員同士が積極的にコミュニケーションを取れるような環境を整える必要があります。

社員同士の交流が活発になることで、業務外の話題や趣味なども雑談するようになり、関係性が良好になります。その結果、業務上のコミュニケーションもスムーズになり、業務効率の向上につながるのです。

具体的な手法としては、社内報を通じてお互いの活動を知る機会を設けることや、社内チャット、社内SNSなど気軽に交流できる場を作ることがおすすめです。また、1on1ミーティングなどの面談の場を設け、ミーティングの回数を増やすことも有効です。さらに、クラブ活動などの課外活動を推進することも、コミュニケーションの活性化に大いに貢献します。

2.コミュケーションスキルの強化

社内コミュニケーションの活性化だけでは、職場の崩壊を防ぐことはできません。職場の崩壊を予防するためには、コミュニケーションスキルを向上させることが効果的です。コミュニケーションスキルの明確な定義は存在しませんが、意思疎通や業務における人間関係を円滑かつ良好に維持する能力を指すことが一般的であり、コミュニケーションスキルを身に付けることで人間関係をスムーズに構築できるでしょう。

コミュニケーションスキルを向上させるためには、対話やディスカッション、ファシリテーションやレトリックなどの手法があります。また、研修によってコミュニケーションスキルを向上させることも可能です。コミュニケーションスキルに関する詳細は、以下の記事でご紹介しています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

3.共通言語を作る

同じ組織の中にいても、一人ひとりは異なる個性を持つ存在です。価値観や考え方の相違は当然のことです。

しかしながら、価値観の違いによって理解が食い違うこともあり、その食い違いが長期化すれば、お互いにストレスを抱えた関係性に発展する可能性があります。

そういった事態を避け、異なる価値観を持つ人々が円滑に意思疎通するためには、組織内に共通言語を設けることが効果的です。共通の言葉を持つことで、コミュニケーションの際に相手の意図や反応を考える必要がなくなり、心理的な障壁も低くなるでしょう。その結果、効率的に気持ちや情報を伝え合う関係を築くことができます。

まとめ

職場における人間関係は、企業の業績に大きな影響を与える非常に重要な要素です。組織のリーダーは、積極的にコミュケーションスキルを向上させ、良好な人間関係の構築に力を入れましょう。

職場の人間関係を改善するためには、共通の言語を確立し、業務外でのつながりを促すことが効果的です。また、コミュニケーションツールの導入などでコミュケーション頻度を高めて社員同士の相互理解を深めていくことも重要です。

職場のコミュニケーションを活性化させることで、組織力を向上させ、職場崩壊を未然に防ぎましょう。