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山本粧子の Hola! ジャガイモ人間      ~ペルーからコンニチワ~┃ 第1回

ブエノスディアス! 初めまして。山本粧子(やまもとしょうこ)です。
これから月に1~2回、不定期で創元社noteに連載をもつことになりました。
 
私は、2023年の11月からJICA青年海外協力隊として、南米ペルーのイカ州パラカスミュージアムに派遣されることになりました。
ペルーに行くことに決まり、いろいろ調べる中で一番驚いたことは、ペルー(厳密にはアンデス)はジャガイモの原産地で、今でもなんと3000種類ものジャガイモが存在している! ということでした。
驚きと共に、その3000種類のジャガイモがどんな人のもとで、どのように生産され、調理され、どうやって食べられているのか(3000種類は、本当なのか? も含めて)興味を持ちました。
 
本連載は、ペルーでジャガイモを通して出会う人々について、そしてミュージアムでの私の活動もお話できたらと思っています。

第1回目の今日は、私の自己紹介と、どうしてペルーのミュージアムで活動することになったのかをご説明したいと思います。

タカラヅカを目指して

私は、大学では主に西洋の芸術学を学びました。教授に「山本さんは、とにかく、本物を見てきなさい」と言われ、アルバイトでお金を貯めては、海外のミュージアムや劇場に行って本場の作品を見に行っていました。
というのも、中学高校の6年間はバレーボール部で体育館と家の往復だったため、美術の知識はおろか生きる世界が極端に狭かったのです。ですから大学時代は、とにかく海外に行って力をつけようというコンセプトで生活をしていました。
また、在学中に油絵を描くことが自分は楽しいのだと知り、「人間とはなんだ」というテーマで定期的に個展を開催したりもしています(ペルーでも個展を開催できればいいなと思っています)。

こんな感じの絵を描いています①


こんな感じの絵を描いています②

大学卒業後、幼い頃からの夢「宝塚歌劇団の演出家になること」を叶えるためにはどうすればいいか考えた結果、さらに芸術的な感性をみがくため、フランスのストラスブールで2年間生活してみました。
帰国後、入団試験を受けましたが、残念ながら夢は叶わず。縁あって入社したイベントデザイン会社でディレクターとして働きました。
 
イベントディレクターを7年半ほど続けた後、そろそろまた活動のフィールドを海外に移したいなと思っていた矢先に、たまたま、JICA海外青年協力隊にミュージアムでのイベント企画運営の要請があることを知りました。
まさか、そういう職種があるとは思わず、見つけた時は本当に驚きましたが、応募条件を見て自分にピッタリじゃん! と小躍りして応募しました。
そして、その年にこの職種の協力隊員を要請していた派遣先が、ペルーのパラカスミュージアムだったのです。

ひょんなことから、未知の国ペルーへ

応募するまで知らなかったのですが、海外協力隊の派遣が決まる過程としては、「現在この国のこの場所にこういう仕事があります」という要請一覧を確認して、希望の要請に応募し、書類選考、面接、合宿を経て派遣という流れになります。
ミュージアムでのイベント制作(特に青少年向け)を希望していた私は、こうして、ペルーという私にとって未知の国へ派遣されることになったのです。
 
私が滞在予定のパラカスミュージアムは、ペルーのイカ州パラカス国立自然保護区という場所の中にあります。野生動物が多く「リトル・ガラパコス」と言われ、フンボルトペンギンやアザラシ、フラミンゴなどが生息しているそうです。

パラカス(PARACAS)という地名は、強い気流が砂を運ぶ地域のため、ケチュア語<*1>の「雨(PARA)」と「砂(ACO)」から名付けられたそうです。リゾート地で、海沿いで、砂漠地帯です。
首都リマから250kmほど南下したあたりに位置しており、バスで3時間半くらいだそうです。ペルーに行くというと、高山病大丈夫? と聞かれますが、パラカスの標高は5メートル程度なので、その心配はなさそうです。
 
私は、こちらでミュージアムの収蔵品にまつわる教育プログラムの開発や、住民(特に児童)や観光客を対象としたワークショップ等の企画運営を行う予定です。イベントを通してミュージアムを知ってもらうとともに、来場者増加とファン層拡大を目指すことがミッションなのです。ミッション遂行のためにはスペイン語が話せないと話になりませんので、、、今は勉強に励んでいます。

ということで、ペルーに行くことになったのは偶然というか、本当にたまたまなのですが、せっかくの機会ですので私が見たペルー情報を発信できればと思っています。

それでは今日はこの辺りでアディオス!


ペルーには多種多様な色、形、大きさのジャガイモが存在するという……。
いったいどんなジャガイモに出会えるのでしょうか?(※想像図)

<*1> ケチュア語…南米の広い範囲で話されている言語で、ペルーではスペイン語、アイマラ語とならんで公用語のひとつ。

〈プロフィール〉
山本粧子(やまもと・しょうこ)

神戸市生まれ。大阪教育大学教育学部教養学科芸術専攻芸術学コース卒業。卒業後、国境の街に興味があったことと、中学生の頃から目指していた宝塚歌劇団の演出家になる夢を叶える修行のため、フランスのストラスブールに2年ほど滞在しながら、ヨーロッパの美術館や劇場を巡る。残念ながら宝塚歌劇団の演出家試験には落ち、イベントデザイン会社で7年半、ディレクターとして国内外のイベントに携わる。また、大学時代より人の顔をモチーフに油絵を描いており「人間とはなんだ」というタイトルで兵庫県立美術館原田の森ギャラリーや神戸アートビレッジセンターにて個展を開催。趣味は、旅行の計画を立てること。2016年からは韓国ドラマも欠かさず見ている。2023年秋より南米ペルーのイカ州パラカスに海外協力隊として滞在し、ペルーとジャガイモと人間について発信していく予定。