見出し画像

7点【感想】東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか(中村淳彦)

〝その日暮らしは十分できます。
もっと経済的に厳しい人がいるのも十分承知はしています。
けど、ずっとギリギリの生活で、なんの贅沢もしていないのに貯金すらできない。
年齢ばかり重ねて、私はいったいどうなってしまうのだろうって〟

貧困は、経済的な貧しさ、病気、希薄な人間関係、孤独、救済制度の知識不足など、ネガティブな要素が重なって深刻さが増していく。

特に、家賃が高く、地域の縁が薄い東京暮らしは、躓いて貧困に陥りやすい。

東京の貧困女子の苦境を聞きながら、なんとかならないかと何度も思ったが、自己責任の言葉は止まらないので、状態はもっと悪化するとしか思えない。

無理解が蔓延する現状ではSOSを出しても、どこにも届かない可能性が高い。

いつ誰が転落するかわからない社会である以上、
貧困女子たちの声は誰にとっても他人事ではないはずだ。

どこかのタイミングで女性から中年男性にシフトチェンジするかもしれない。

私自身、取材で出会った彼女たちと遠くない未来の自分の姿がダブって怖くなった。

***

  奨学金という名の数百万円の借金に苦しむ女子大生風俗嬢、
  理不尽なパワハラ・セクハラが日常の職場で耐える派遣OL、
  民間企業よりもひどい、まじめな女性ほど罠に陥る官製貧困、
  明日の生活が見えない高学歴シングルマザー…。

貧困に喘ぐ彼女たちの心の叫びを「個人の物語」として丹念に聞き続けたノンフィクション。

東洋経済オンライン1億2000万PV突破の人気連載、待望の書籍化! 

いま日本で拡大しているアンダークラスの現状が克明に伝わってくる。

出版社HPより)

オススメ度 7/10(悲惨な現実を知ることができるが、希望が殆ど無いため辛いので)

▷基本データ

(とうきょうひんこんじょし。かのじょたちはなぜつまづいたのか)

【著者等】
 中村淳彦
 (なかむらあつひこ)

【出版社・レーベル】
 東洋経済新報社

【読む前の独断と偏見によるジャンル】
 東京砂漠の解説本

【その本を選んだ理由】
 「貧困」で検索して、すぐに借りれる新しいめの本やったのんと、この人が貧困関係の本をいくらか書いてるから。
 どうでもいい話やねんけど、東洋経済新報社のホームページが検索しにくすぎ!トップページからどこに行けば、書籍検索できるのかわからへんし!!

【貸出日・購入日・もらった日】
 2020/11/21貸出

▷この本から学べたこと

◎近年、親世代の収入の低下により、奨学金(学生ローン)を利用する学生は約50%にも上る。

◎さらに、奨学金を親の生活費に充てているケースすらある。

◎家庭教師や塾講師の単価も下がっており、東京で大学生が生活費を稼ぐには一般的なアルバイトでは収入が不足する。

◎学業に支障をきたすような長時間労働を避けるため、女子大生は性風俗で働いたり、パパ活をし、男子大生は違法なスカウトや高齢者詐欺などの犯罪行為をしてしまう。

◎卒業寸前(22歳時)に奨学金が多額の借金であることに気づき、本業と性風俗とのダブルワークとなる女性が多い。

◎望まない性風俗で働くことが原因で、精神を病んだり、アルコール依存症になってしまったり、人生を棒に振る若者も多い。

◎低所得世帯でも大学や専門学校に行かざるを得ないのは高卒の求人数が40万人程度と少ないため。

◎低賃金重労働の介護職や保育士も規制緩和が大きな原因であるため、官製ワーキングプアの一種。

◎障害年金と児童扶養手当の両立が不可能。

◎生活保護をもらっても障害加算と母子加算のいずれかしか受給できない。

◎障害年金をもらっているとひとり親家庭支援の制度が利用できない。

◎日本の現状の制度では、障害のあるひとり親については、子供を施設に預けろという家族の分断が推奨されてしまっている。

▷感想

 この本は読んでたら暗くなってしまうことが多くて中々読み進められんかった。
 ただただ、希望のない暗い人生を送っている、送ることがほぼ定められている女子大生や非正規雇用の女性単身者、シングルマザー、家族からも見捨てられた中年女性等について、淡々と綴られているだけやったから。
 ほんで、本のあとがきで日本三大ドヤ街のひとつである寿町にいる、明らかに生活保護を受給していると思われる人たちの様子が描かれるねんけど、昼間から酒を飲んだりして楽しそうにしているこの人たちの方がこの本に登場した貧困女性たちよりも明らかに安定した生活をしているねんな。
 こんな風に、女性たちにスラム以下の生活を強いることで経済を回している日本社会はやっぱり改善せんとあかんと改めて思った。

この記事が参加している募集

読書感想文

私の考えや活動に賛同し、金銭的にご協力いただける方は、サポートをよろしくお願いいたします。 頂いた資金は、社会をより良くする、貧困を無くすための活動に最大限、活用させていただきます。