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新宿に集う。

2009.11.4
夜の新宿にて。

フィルムカメラで撮った写真は、基本的に紙にプリントしないと見ることができない。
スキャナーなどというハイテク機材を所有していない私は、自室の壁にそれらしく飾った写真をスマホで撮影して取り込むという、超原始的な方法を採用している。
個人的には特に問題はないと思っているが、黒い写真だと鏡のように向かい側の光景が反射してしまうため、自分の姿が写り込まないよう注意が必要だ。

新宿駅南口。

バスタ新宿ができるのや、大塚家具のお 家騒動の勃発と企業ロゴが変わるのも、まだ先の話。
闇の中、めでたく50周年を迎えた吉本新喜劇の幟がスポットライトに照らされているのも、全くの偶然である。

自称、休みの日のほとんどを新宿で過ごす女。

新宿には映画館や本屋はあるし、ゆっくりコーヒーを戴きながら読書に耽ることができる喫茶店もある。
単に近いから、という理由もなきにしもあらずだけど、今も歌舞伎町近くのコーヒーチェーン店でこの文章を書いている。

先程まで、右隣りの席には、消防士と保育士と思われる男女がいた。おそらく、友達以上恋人未満なふたりと察せられ、今後の展開が気になるところだけど、それを知るすべがないのが残念でならない。

そして左隣りの席には、見た目は二十歳そこそこの二人の青年が、これからストリップを観に行く相談をしている。この辺りなら決して珍しくない会話であろうが、若い二人故、変なお店を選んで騙されないことをただただ祈るのみである。

ここで一旦、スマホの画面から顔を上げる。
もしかしたら、さっきからずっと一人しかめっ面でスマホを睨んでいる私を観察している、他の誰かがいるかもしれない。窓の外にはネオンが灯り、長居しすぎてしまったことに気づく。

そろそろお暇しなければ。
すっかり冷えたコーヒーを飲み干し、店を後にしたのだった。

#エッセイ
#写真
#フィルムカメラ
#新宿

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