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真夏の太陽の下で。

2010.8.17
千葉県・金谷港から出港直後の横須賀行きフェリーの甲板上より。

多分、solarisというフィルムを使って撮影した写真。

青色が深く濃く映えて、少し粗めでレトロな雰囲気が出せるからよく使っていたフィルムだったけれど、残念ながら数年前に製造終了となってしまった。

solarisは、ラテン語で"太陽"という意味らしい。

都会にカラス、湖に鴨、そして海にはカモメ。

鴨よりもカモメの方が動きが速く移動範囲も広いから、撮影する際の難易度はより高い。

風にのって、ほとんど羽ばたくことなく飛んでいるカモメは、すごく合理的な生き物だ。たっぷりの日差しを浴びつつ、自分の力を極力使わず、風の力を利用して移動している姿を見ると、自分ももう少し楽に生きていける術があるのではないかと考えてしまう。

もちろん、風にうまくのるためには風を読む技術が必要だから、実際にはカモメもそれなりに努力しているのかもしれない。

ただ、うまく風にのれた時の、肩(羽?)の力の抜き加減は見習いたいと思うし、時にはただ風に身を任せてみるのも大切な事だと思う。

そんな事を考えていたら、子供の頃よく耳にした歌を思い出した。

昔ギリシャの青年(なのだろうか?)イカロスが、ロウで固めた鳥の羽で太陽を目指し飛び立ったが、太陽の熱でロウが溶けてしまい、翼を奪われ落ちて命を絶たれた。そんなイカロスの"鉄の勇気"を受け継いで、僕らも明日を強く行きていく。

という、内容の歌詞。
嗚呼、なんと切ない結末。

そもそも、ロウで固めた鳥の羽で太陽を目指すことが"鉄の勇気"なのだろうか?何のために太陽を目指したのか不明だし、単なる無謀な試みにしか思えない。しかも、翼を奪われ落ちて死ぬなんて、お先真っ暗ではないか。

太陽に辿り着けなかったけれど、そのくらい高い目標を持って生きていけ、という事だとしたら、すごく辛い人生だと思う。

私なら、北風を負かした太陽みたいに、無理矢理ではなく自発的に上着を脱ぐように導ける機転が利く人になれたら、と思うのだけど。

今年の夏もそろそろ終わり。
とりあえず、日差しも少し和らいできたように思えなくもない今日この頃。
冬の優しい日差しに会えるのはまだまだ先だけど、冬は意外と紫外線が強い事を忘れがち。冬は冬で、ぽかぽか陽気に騙されないように気をつけなければと思うと、太陽は油断ならない存在である。

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